秋競馬開幕週のメインとなる産経賞セントウルステークス（９日、阪神、ＧＩＩ、芝１２００メートル）の追い切りが６日、栗東トレセンで行われた。高松宮記念を制したファインニードルは坂路で追われたが、仕上がり途上の印象。目標のスプリンターズＳ（３０日、中山、ＧＩ、芝１２００メートル）に向けて、ここはあくまでも前哨戦という位置付けで臨む。

　秋本番はまだ先だ。夏の名残を感じさせる日差しを浴び、ファインニードルが登坂。手綱を取った川田騎手のジャッジも、先々を見据えたものだった。

　「本番は次なので、ここを使って良くなりそうだなという雰囲気でした。無事に秋初戦を走って、本番に向かえる競馬ができればと思います」

　整地直後の坂路を単走でスタート。水分を含んで重くなった馬場をゆったりと進む。徐々にスピードを上げ、ラスト１ハロンで促されてさらに加速。ゴール前は少し右にモタれながら、４ハロン５３秒０－１２秒０でフィニッシュした。稍重馬場を考慮すれば時計的には十分だが、仕上がり途上の感は否めない。動きを見届けた高橋忠調教師は「先週も少し踏ん張りきれなくて、力が逃げるところがあった。いいときの素軽さが少し足りない。正直、６、７分かな」と完調手前を認めた。

　４月の香港ＧＩ・チェアマンズスプリントプライズ４着以来、４カ月ぶりの始動戦。高松宮記念に続く、春秋スプリントＧＩ制覇に照準を合わせる陣営の意図は明確だ。師は「次が本番なので、ここで仕上がり過ぎると昨年のスプリンターズＳのようになる。１回使えば良くなりそうで、次を見据えてはいい状態できています」と説明する。昨年は、前哨戦のここを勝った勢いに乗ってＧＩに初挑戦したが１２着に敗れた。同じレースでも、ＧＩウイナーとして臨む今年は調整過程から違うというわけだ。

　高橋忠師は「大きなレースにいい形で出すことが大事。まだ完成されていないので、まだもうひとつ良くなると思う」と結んだ。今週末の阪神競馬場周辺は雨予報。実績断然で注目を集めるファインニードルだが、苦手な道悪競馬を含めて今回は割引材料がある。　（川端亮平）

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