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平成最後のGI天皇賞・春が28日、京都競馬場で13頭によって争われ、ルメール騎乗で1番人気フィエールマンが叩き合いを制して2度目のGI制覇。史上最少キャリア(6戦目)Vを達成し、ルメールは史上3人目の8大競走完全制覇を成し遂げた。クビ差2着は6番人気のグローリーヴェイズ。
ゴールデンウイークの熱気に負けない、火の出るような叩き合いが繰り広げられた。約400メートルにわたる攻防を制して新時代の長距離王に名乗りを上げたのはフィエールマン。“平成最後”の盾を手にしたルメール騎手が笑みをこぼした。
「激しい戦いでした。外から競りかけられても、また頑張ってくれた。次も楽しみですね」
スタートがひと息で、序盤は中団後方で折り合いに専念。「長い距離なので、最初はリラックスさせたかった。それができたら、ポジションを上げていけるというイメージでした」という狙い通り、2コーナー付近で進出を開始した。2周目の3コーナーで早くも先頭に並びかけると、4コーナーで並びかけてきたグローリーヴェイズとの猛烈な競り合い。一旦は詰め寄られたが、残り100メートル付近で突き放し、最後はクビ差抜け出した。
名手は、これで保田隆芳(故人)、武豊に次ぐ史上3人目の8大競走完全制覇を達成。桜花賞、皐月賞に続くGI3連勝を果たすと、直後の京都12Rを制し、JRA通算1000勝にも王手をかけた。平成最後の中央競馬となる29日は、新潟で5鞍に騎乗。大台到達が期待される。
フィエールマンはデビュー6戦目でのVで、菊花賞に続いてレース史上最少キャリア記録を更新。今年初戦のAJCCは中間に微熱があるなど、万全とはいえない状態で2着に敗れた。ただ、レース後の疲れはなく、しっかりと乗り込みを消化。手塚調教師が「菊花賞前ぐらいのデキに戻るかなという感じはありました」と抱いた自信どおりの強さだった。
淀の夕焼けの先に、ロンシャンの空が少し見えたかもしれない。凱旋門賞(10月6日、仏パリロンシャン、GI、芝2400メートル)には登録済み。手塚調教師が「いろいろな選択肢があります。凱旋門賞も選択肢に入れながら」と話すように今後は流動的だが、ルメール騎手はちゃめっ気たっぷりに見通しを語った。
「(凱旋門賞でも)チャンスはあると思います。母はフランスで走った馬だし、(フィエールマンも)フランスが好きかも。馬場も料理もね」
初めての斤量58キロ、3200メートルと厳しい条件を乗り越えてつかんだ栄冠。果てしない伸びしろを感じさせる4歳馬が日本馬の悲願をかなえるのは、間もなく訪れる令和元年かもしれない。 (山口大輝)
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★競走中止
(4)ヴォージュはゴール手前で和田騎手が下馬。右前浅屈腱不全断裂と診断された。
★入場&売り上げ
天皇賞・春の売り上げは191億7728万1000円で前年比96・9%とダウン。今年のGIで売り上げダウンは桜花賞に次いで2レース目。一方、京都競馬場入場者は7万3662人で前年比106・3%のにぎわいだった。
フィエールマン 父ディープインパクト、母リュヌドール、母の父グリーンチューン。鹿毛の牡4歳。美浦・手塚貴久厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。戦績6戦4勝。獲得賞金3億5689万3000円。重賞は2018年GI菊花賞に次いで2勝目。天皇賞は手塚貴久調教師が初勝利。クリストフ・ルメール騎手は18年・秋レイデオロに次いで2勝目。馬名は「気高く、勇ましく(音楽用語)」