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中山記念の追い切りが20日、東西トレセンと門別競馬場で行われた。美浦では昨年のマイルCSを制したステルヴィオが、3頭併せで迫力ある動きを披露。パワーアップした姿でターフに帰ってくる。栗東坂路で豪快に先着したラッキーライラック、美浦Wコースで小気味いいフットワークを見せたウインブライトの2頭が、サンケイスポーツ調教評価で最高の『S』となった。
若きマイル王が一段とパワーアップして帰ってきた。4歳を迎えたステルヴィオは、筋肉のよろいをまとい、マイルCSを勝った3カ月前とは見違えるほど。動きに重さはなく、Wコース4ハロン53秒6-12秒6と流れるように加速。初コンビを組む丸山騎手が絶賛した。
「すごくいい馬。無駄な動きもなく操縦性が高いし反応もすごくいい。乗りやすさはイメージ通り。週末の楽しみが増しました」
道中は3頭縦列の真ん中でタイトな間隔でも人馬の呼吸はぴったり。先に脱落した内パラダイスリーフ(新馬)を尻目に、外ランガディア(OP)を手応えで圧倒して併入した。
見守った木村調教師も「週ごとに良くなればと思ってやってきたことをクリアできた」とうなずく。「体が大きくなり、どんどん男馬らしくなっている。キャンターにおろす一歩目も今までより力が入るようになった。それが成長だと思う」と急成長を実感する。
前走のマイルCSを「枠順や馬場状態、展開と全ての運が向いた」とトレーナーは振り返るが、35回の歴史で3歳馬のVはわずか5例。その中にはタイキシャトル(GI5勝)やアグネスデジタル(同6勝)と海外で活躍した超一流馬がいる。どこまで飛躍するのか、夢は膨らむ。
その背を託された丸山騎手はデビュー11年目の有望株で、藤田菜七子騎手の兄弟子だ。17日の小倉大賞典で今年早くも重賞2勝目をマーク。「菜七子の記事(フェブラリーS5着)の方が大きかった」と自虐気味に笑ったが、近年の活躍がオーナーサイドの目にとまったのは確か。
「依頼が来たときはドキドキした。今は楽しみが大きい。信頼されるジョッキーになりたい」
フレッシュな人馬のコンビが、豪華メンバーがそろった一戦で破竹の勢いを見せつける。 (板津雄志)