古くはジャングルポケットやマツリダゴッホ、近年もゴールドシップやロゴタイプなど、十指に余る“のちのＧ１馬”を輩出している札幌２歳ステークス。注意すべきは、それらＧＩ馬の多くが、このレースを勝ててはいないという点か。このレースへ出走すること自体、陣営の期待の現われ。札幌２歳ステークスは出走すること自体に価値のあるレースだと言えるだろう。

今年注目されるのは、新馬戦をレコード勝ち（２歳レコード）した(８)タガノアシュラだろうか。（ゴールドシップなどが）０．１秒や０．２秒刻みで更新されてきた、過去のコースレコードを、一気に１．１秒も更新する破格の逃げきり１分４９秒９。しかもその新馬戦で４馬身ほど置き去りにした２着馬（サトノアリシア）が、その後未勝利とオープン特別を連勝するというオマケ付きだ。

ただ、その時計だけを理由に「札幌２歳Ｓを勝てる」と評するのは、早計ではないか。函館競馬場と札幌競馬場の違いがあるとはいえ、札幌芝１８００ｍの２歳レコードは現在のところ１分４８秒４。(８)タガノアシュラが函館で記録した１分４９秒９が、札幌で更新されたのは１６年前（２０００年）のことだし、この札幌２歳ステークスの勝ち時計も良馬場なら１分５０秒を切るぐらいのところ。

仮に(８)タガノアシュラが再度１分４９秒９で走ったとしても、確勝というわけではない。更なる上積みが必要という点に於いては、(８)タガノアシュラにしても他馬と変わりがないということだ。

ラップ的な特徴を見ると、この札幌２歳ステークスは「ラスト１ハロンで加速」した勝ち鞍を持つ馬が好成績を挙げている。今年の出走馬で言うと、(９)コリエドール、(12)アドマイヤウイナーと(13)ブラックオニキスの３頭か。

ラップギア的な観点からは、瞬発戦を勝っている馬が優勢。「瞬０平１消０」のような平坦馬の勝ちは、１０年前のナムラマースまで遡らなければならない。しかし今年はそういったタイプの人気馬がいないようなので、こちらはあまり関係ないか。

あと、２歳重賞においては（東京スポーツ杯２歳Ｓ以外）「１戦１勝馬」を嫌っていたのだが、この札幌２歳ステークスにおいても２０１３年コディーノ、２０１４年ブライトエンブレム、２０１５年アドマイヤエイカンと「１戦１勝馬」が３連勝。潮目の変わりどきか。もうこの辺りは気にしないことにする。

この時期の１８００ｍは古馬３０００ｍにも匹敵する長距離戦と考え、そういった観点からは牝馬にとっては厳しいレースであるはず。アヴェンチュラやレッツゴードンキも含め、ウメノファイバーやテイエムオーシャンなどのＧ１牝馬がここをまったく勝てていないのが、その証左。ならばここは牝馬の(13)ブラックオニキスではなく、牡馬・(９)コリエドールか。ベルーフの半弟、近親にステイゴールドやショウナンパンドラがいる良血馬だ。



※印や金額は発走の約１時間前に確定。それまでは変更の可能性があります。
※適性値（ラップギア）や能力値（瞬発指数）について
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