競馬ニュース > 記事
マイル女王を決めるヴィクトリアマイルの追い切りが9日、東西トレセンで行われた。滋賀・栗東トレセンでは、リスグラシュー(栗東・矢作厩舎、牝4歳)が、坂路での併せ馬で確かな伸びを見せ、体調の良さを誇示。悲願のGIタイトル奪取に向け、騎乗停止から3週ぶりに復帰する武豊騎手も手応え十分だ。
雨が上がった朝一番の栗東坂路を、リスグラシューが余力十分に駆け上がった。頂点に立つためにあえて力を温存。矢作調教師は納得の表情で切り出した。
「折り合い面を考えて馬の後ろで。折り合いは問題なかった。予定通り、指示通りにできた。以前に比べて明らかにトモ(後肢)が良くなっている」
僚馬エンパイアガール(500万下)の真後ろにつけて、序盤は折り合いに専念。うなるような手応えで直線に向くと、内から徐々に馬体を併せていく。雨の影響で水分をたっぷり含んだ不良馬場をものともせず、馬なりで加速して僚馬にクビ差先着でフィニッシュ。
長距離輸送とイレ込みやすい気性面を考慮して4ハロン54秒4-12秒2と全体時計は抑えめだが、理想的な右肩上がりのラップを刻んだ。1週前追い切りで4ハロン49秒9と2日の栗東坂路の一番時計をマークしていて、仕上がりは問題ない。調整役の岡助手は「やり過ぎず、やらなさ過ぎず、いい感じで気持ちが乗っています」と好気配を伝えた。
心強いパートナーも、戻ってくる。4月22日の京都競馬で斜行し、騎乗停止中だった武豊騎手が、今週末から復帰。「ワクワクしています」と笑顔の名手は、1週前追い切りにまたがり好感触をつかんでいる。「昨年の今ごろと比べると、力強くなってパワーアップした。もともと調教は動くタイプだけど、さらに動いている。先週はすごくいい動きで気持ちよさそうに走っていた」と成長ぶりに目を細めた。
前走のサンケイスポーツ杯阪神牝馬Sは、超スローペースに泣いたが、ラストはしっかり伸びて、勝ち馬とタイム差なしの3着。前哨戦として悲観することはなく、ひと叩きして筋肉の張りや毛づやが良くなった。東京マイル戦は、2歳時のアルテミスS、今年2月の東京新聞杯と、重賞を2勝した得意舞台だ。
武豊騎手は「昨年は惜しいレースが続いたので、今度こそという思いはある。このレースが一番、GIを勝つチャンスがある。力を出してGIウイナーにしてあげたい」と締めくくった。