毎年3月下旬に行われる春のスプリント王者決定戦。短距離戦では「大型馬が強い」と言われがちだが、このレースも例外ではない。前走の馬体重が460キロ未満だった馬の好走例は、新中京で施行された2012年以降、2014年3着のストレイトガール（1番人気）の1頭だけ。連対馬は旧中京施行の2004年の1～2着馬を最後に出ていない。性別に関係なく小柄な馬は、それだけで大きな減点材料になる。あとは、前走の着順も重要なポイントのひとつ。大波乱となった2019年を除くと、2012年以降の連対馬はすべて前走5着以内。前走で大きく崩れていた馬は、たとえ実力馬だとしても「あって3着まで」と決めつけてもいいぐらいと言える。（各種データ、原稿は本年のレース発走前のものとなります）

【人気】
別表を見ると、1番人気の成績は好水準。中京リニューアル以降に限定しても【2.1.3.4】と、勝ち切れないまでもなかなかの安定感を示している。2012年以降の勝ち馬10頭のうち9頭は5番人気以内かつ当日単勝オッズ1桁であり、2～3番人気もトータル【5.6.3.6】という高値安定の成績。ゆえに、人気サイドが相応の結果を残していると考えていいだろう。対照的に2桁人気の連対は2019年2着のセイウンコウセイ（12番人気）1頭のみで、いまだ勝利は果たしていない。1～2番人気のワンツーフィニッシュや、1～3番人気の上位独占も珍しくなく、順当決着の傾向はかなり強い。

【脚質】
脚質面では、先行勢が優勢を誇っている。2012年以降の勝ち馬10頭中8頭が4角で6番手以内に位置していた。ある程度は前めのポジションを取れないと、勝ち切るまでには至らないと考えていい。ただし、逃げ馬&4角先頭馬は分が悪い。中京リニューアル以降の好走馬は2013年3着のハクサンムーンと、2020年に2着入線で繰り上がり1着となったモズスーパーフレアの2頭だけ。好位で競馬をしたいタイプにとって、逃げ馬&4角先頭馬は格好の目標になる。基本的には割り引いて考えるべきだろう。

【枠順】
枠順については、いかんせんリニューアル後の施行回数が少ないため、評価が難しい。内枠では2～3枠が好調。5頭の勝ち馬を含め、連対馬を8頭輩出し、毎年のように馬券に絡んでいる。一方、外枠である7～8枠は2勝だが、6番人気以下で3着以内に入った7頭のうち4頭が該当しており、軽視できない存在だ。視点を変えて、当日単勝オッズ3番人気以内の馬が内枠（1～3枠）を引いた場合の結果を検証してみると【3.2.1.2】。対照的に外枠（6～8枠）は【2.3.1.6】。一目瞭然、内枠と比較して見劣る感は否めない。つまり、「人気サイドが内枠に入れば信頼度が上昇、外枠の場合はアテにならない」ととらえればいいということである。

【血統】
2012年以降の好走馬を振り返ると、キングカメハメハ、サクラバクシンオー、アドマイヤコジーン、フジキセキ、タイキシャトル、クロフネ、ロードカナロアなど、芝のマイル以下のG1を制している種牡馬を父もしくは母の父に持つ馬の活躍が目立つ。大系統では、サクラバクシンオーやアドマイヤコジーン、トニービンなどが属するナスルーラ系を父もしくは母の父に持つ馬の相性が良く、毎回のごとく馬券に絡んでいる。5番人気以下で3着以内に入った8頭中6頭がこれらの条件に該当。人気の有無に関わらずマークすべきだろう。なかでも妙味があるのは、アドマイヤムーン（ミスプロ系）×ナスルーラ系の組み合わせを持つ馬である。具体例を挙げると、2013年10番人気3着・2015年6番人気2着のハクサンムーン（アドマイヤムーン×サクラバクシンオー）と、2017年5番人気1着・2019年12番人気2着のセイウンコウセイ（アドマイヤムーン×カポーティ）が低評価を覆す奮闘を見せており、適性の高さは疑いようがない。同様のタイプが出走してくれば、積極的に狙うべきだ。