交流重賞となって今年で18年目を迎える全日本2歳優駿。古馬重賞はＪＲＡのほぼ独壇場ですが、このレースは中央勢12勝に対して、地方勢5勝と意外と地方勢が活躍するレースです。ダートの番組が少ない中央勢に対して、地方勢はデビュー時期が早いことや、番組が豊富で、たくさんレース経験が積めるメリットが大きいからでしょう。

　しかし、今年は平和賞・ハイセイコー記念の重賞2勝馬ストゥディウムや兵庫ジュニアＧＰを勝ったジャジャウマナラシ、鎌倉記念を勝ち、ハイセイコー記念2着のオウマタイム、平和賞2着のコンドルダンスなどの出走がありません。また、ブリーダーズＧＴの勝ち馬で、兵庫ジュニアＧＰで2着の道営オヤコダカの出走もありません。

　なかには本当に調子が悪くて回避した馬もいるのでしょうが、これらの多くは中央勢が逃げたものでしょう。中央勢が強いから逃げたのではなく、おそらくは全日本2歳優駿でへたに活躍されて、中央に移籍されたのでは困るという、地方勢の消極的な姿勢。金銭が絡むことなので、ここを勝って快くＪＲＡに送り出せとは言いませんが、ある意味、大きな問題提起かもしれません。

　今年は南関東勢がなかなか強いのに、ＪＲＡ勢で上位の印を固めるしかないジレンマ。上位人気のワンダフルラスターやタップザットは、ヤマボウシ賞の勝ち馬が兵庫ＧＰでどうなったか(?)、プラタナス賞の勝ち馬が北海道2歳優駿でどうなったか(？)を考えれば推測が成立するように、人気ほどＰＰ指数が高くありません。また、北海道2歳優駿の勝ち馬で、1番強いと言えるディアドムスは、前走で大幅にパフォーマンスを上昇させている点が「？」。未勝利戦を圧勝後のプラタナス賞ではダメージが出て凡走するような馬ですから、過度な信頼はできません。

　よって、◎は芝デビューのダート馬(6)タイセイラビッシュを推します。この馬はディアドムスのように、ダートで素質が開花して2戦2勝とダートでは底を見せていない馬です。確かに相手が強い今回で底を見せる可能性もありますが、中央勢としてはキャリアが豊富なクチ。また、他の有力馬よりも自在に立ち回れる強みを評価しました。

　○はデビューからダートで2戦2勝の(9)タップザット。この馬もダートで底を見せておらず、今回でアッサリ勝たれても不思議ではありません。しかし、断然の1番人気に支持された兵庫ＧＰのキャプテンシップのように、キャリアの差が出る形でぶっ飛ぶ可能性もあるので狙い下げました。ただし、ヤマボウシ賞の激走でダメージが出て北海道2歳優駿をスキップしたキャプテンシップよりも順調に来ている点は加点できます。

　▲は北海道2歳優駿の勝ち馬(7)ディアドムス。前走圧勝のパフォーマンスは当然、賞賛されるべきものですが、前々走のプラタナス賞凡走が、北海道2歳優駿でのパフォーマンスを引き出した最大の要因なので、今回は狙い下げました。

　以下特注馬として、今回が初距離になりますが、ダートで連対率100％の(3)ワンダフルラスター。前々走のヤマボウシ賞ではキャプテンシップに先着を許しましたが、速い流れをキャプテンシップよりも前で立ち回った点は評価できます。

　△にデビューから4戦4勝で3走前の浦和の条件戦では、北海道2歳優駿の勝ち馬ジャジャウマナラシを2着に降して圧勝した(12)ラッキープリンセス。今回は休養明け3戦目で巻き返しの一撃を警戒します。

　他では前走・北海道2歳優駿でも積極的なレース運びで3着に食い込んだ(4)クラバズーカー。この馬はそれまでもブリーダーズＧＴの勝ち馬で兵庫ジュニアＧＰの2着馬オヤコダカなどの一線級相手に差のない競馬を繰り返してきた馬。地味に地力強化しているので、今回でも面白い存在です。

　あとは初ダートの前走・兵庫ジュニアＧＰの5着に食い込んだ(13)タケデン大ガー。前走は上位馬にけっこう突き放されての5着でしたが、前と内枠が有利な流れだったことを考えれば、悪くはありません。ダートに慣れての上積を考慮すれば、ノーチャンスではありません。