川崎記念は川崎競馬場の2100メートルが舞台。コーナー6回のダート長距離戦という珍しい条件での1戦。それだけに、特徴や求められる能力も割とはっきりしている。

まず、過去5年の走破タイムは
2022年　2分14秒9　馬場状態：良
2021年　2分14秒9　馬場状態：重
2020年　2分14秒1　馬場状態：不良
2019年　2分15秒0　馬場状態：良
2018年　2分14秒9　馬場状態：稍重

概ね2分14秒～15秒の間にまとまっており、極端な差が見られない。

これは、コーナー6回というコース形態により、どうしてもコーナーでスピードが緩むが故、前半から中盤にかけてなかなかペースが上がりにくいということに起因することと言える。

つまり、道中のスピードがなかなか上がりにくいが故に、勝負どころまでは割と一定のペースでレースが流れていくのがこのレースの特徴。

そして、勝負どころになると、各馬一斉に仕掛けに入り、レースが大きく動きだす。

昨年の川崎記念のラップタイムは

6.8 - 11.3 - 13.0 - 13.3 - 12.9 - 13.1 - 13.5 - ※12.1 - 12.8 - 13.1 - 13.0

※の部分を見てもわかるように、残り800メートルで一気にペースが上がっている。

そして、残りの3ハロンは 12.8 - 13.1 - 13.0と、ほぼ同じペースで減速を最小限にとどめて走り切っているということが分かります。

つまりは、このレースでは、800メートル付近でこれまでの淡々とした流れから、一気にギアチェンジをして加速していくことが求められるとともに、残りの3ハロンは、減速率を最小限に抑えてトップスピードを維持しながら走り切るという2つの力が求められる。

では、そうした能力に長けた血統はどのような血統か。

一気にギアチェンジを行い、加速することが得意な血統の一つがステイゴールド系。

ステイゴールドは、代表産駒であるオルフェーブル、ゴールドシップ、ナカヤマフェスタなど、阪神2200メートルや中山2500メートルといったいわゆる非根幹距離の大舞台で強さを発揮する産駒が多い種牡馬。

阪神2200メートルや中山2500メートルは、まさに勝負どころでのギアチェンジからの加速が重要になるコース形態であり、川崎記念で要求される能力に非常によく似た力が要求される舞台

今回の出走馬の中で、そのステイゴールド系のオルフェーブルを父に持つのが、ウシュバテソーロ

昨年暮れの東京大賞典で初の重賞制覇がJpnⅠという快挙を成し遂げた同馬。

東京大賞典は、どちらかと言えば終いの3ハロンに入る前に一旦タメを作り、脚を溜めて直線で末脚を伸ばす切れ味が有効な舞台

自身の適性の真逆の能力が要求される舞台でも圧勝してしまったパフォーマンスが、現在の同馬の充実度合いを物語っていると考える。

オルフェーヴル産駒は、昨年ダートグレードを連勝したショウナンナデシコのように、一度波に乗ると、その充実期が長期にわたって続く傾向がある。

6歳を迎えた今が一番の充実期と言っても過言ではなさそうで、今回も好レースを期待したい。