昨年から牝馬限定重賞となったブリーダーズＧＣ。昨年は、サンビスタがこのレースを制して躍進し、ＪＢＣレディスクラシックのタイトルを手にしました。しかし、今年もこのままの勢いで強いレースを続けるかと思われたサンビスタは、牝馬相手の前走・スパーキングレディーＣで3着に敗れたことで、状況が一転。上位混戦ムードとなったのです。

　確かに目下3連勝目でエンプレス杯を勝ったアムールブリエは強いし、3歳馬ホワイトフーガも確実に力をつけています。しかし、アムールブリエは今回が約5ヵ月の休養明けで始動戦。また、ホワイトフーガは前走の関東オークスは大外枠で揉まれない競馬をしたことが圧勝へと導いた感もあります。

　前走のサンビスタは、3コーナーあたりから手応えが怪しく、4コーナーではこりゃやばいというレース内容。今年前半の勢いならば勝てていたかもしれませんが、素直に基調の低下と判断するのも早計でしょう。なぜならサンビスタは、これまで同馬の万年2着だったトロワボヌールよりも、前走ＪＲＡのオープン特別勝ちのサウンドガガを強く意識したのか、サウンドガガを負かしに動いたことでトロワボヌールの餌食になったようなレースだったからです。

　本来は、トロワボヌールは、サンビスタの後方からレースを進めて末脚を生かしたい馬。しかし、前走・スパーキングレディーＣではよりによって2番枠。トロワボヌールは進路を失わないようにしかたなく出してサンビスタよりも先に動こうとしたのに、サンビスタ自身が自ら動いて、トロワボヌールにとっては好ましい展開に持ち込んでしまったのです。

　トロワボヌールもサンビスタに前に入られないように必至に抵抗していたあたりから、地力強化が伺える一戦でした。しかし、かしわ記念5着凡退の内容などから、けっして絶好調といえる状態ではないのに、トロワボヌールを侮り過ぎすような競馬をしたのが敗因でしょう。理想を言えば、それでも勝って欲しかったところはありますが、レース内容としては見限れるほど悪くはありません。少なくともアムールブリエやホワイトフーガよりも信用に足ると思っているので、今回意外と人気のない(10)サンビスタを◎とします。

　○は前走のエンプレス杯では、サンビスタに優るとも劣らない高指数で勝利した(7)アムールブリエ。今回が始動戦となるために狙い下げましたが、この先の重賞線戦でサンビスタとの大勢逆転は十分あると見ています。

　▲は前走・関東オークス圧勝の(8)ホワイトフーガ。確かに前走はとても強い内容でしたが、前走を大目標にした後の一戦で疲れが気になるところでもあります。また、揉まれた場合の不安もあるでしょう。

　あとは△に前々走のヒダカソウＣでは、今回穴人気に支持されているサンバビーンを降して勝利した(15)ルージュロワイヤル。確かに前々走は斤量に恵まれたことも勝因のひとつですが、今回もメンバー中で一番軽い53㎏。サンバビーンを物差しにした能力の対比からも前々走の走りを再現できれば、今回でも上位争いに加われるでしょう。前走は前々走で激走したダメージで、サンバビーンの2着に敗れましたが、ローテーションから今回で一発が見込めるのはこちらです。