ラップギアコース適性値【瞬３平６消１】に近い比率の馬が有利
番馬名　　　【ラップギア】瞬発指数
01ガイアフォ【瞬２平２消１】１０９
02シェルビー【瞬２平１消０】１０２
03プラダリア【瞬４平０消０】１０２
04ボルドグフ【瞬１平２消０】１０４
05ヤマニンゼ【瞬１平２消０】１０３
06ビーアスト【瞬３平０消０】１００
07アスクワイ【瞬１平４消０】１０１
08マイネルト【瞬１平１消１】　９８
09シホノスペ【瞬１平３消０】　９９
10セイウンハ【瞬２平１消０】１０３
11ドゥラドー【瞬３平０消０】１０６
12ヴェローナ【瞬１平３消０】１０３
13ディナース【瞬０平２消１】１０１
14アスクビク【瞬１平３消０】１０９
15ポッドボレ【瞬２平２消０】　９９
16フェーング【瞬１平３消０】１０８
17ジャスティ【瞬３平１消０】１０７
18セレシオン【瞬２平１消０】１０６


　菊花賞で重視すべきキーワードは、『距離が延びても強気の競馬』。

　もう２０年以上も前から「最近の菊花賞はスローペースから直線だけの競馬なので、距離適性は関係ない」なんて言われているのですが、そんなことはない と思います。たとえスローから上がりの勝負になっても、それでも菊花賞は『後方で折り合いに専念して、追い出しは直線まで待とう』という馬のレースではありません。３コーナー、自分から仕掛けて行くぐらいでないと。

　実際に菊花賞で敗れた１番人気馬の多くは４角後方のレースをしており、しかも４角後方がレース前から容易に想定できる馬でした（例外はただ１頭、ディープインパクト）。それは多少なりとも『距離に対する不安がある』という陣営の（騎手含む）心理も働いているからです。

たとえば、ひと昔前『菊花賞では何が何でもを買うべき』と言われていたダンスインザダークの産駒ですが、実際に菊花賞を勝った同種牡馬の産駒、ザッツザプレンティ、デルタブルース、スリーロールスの３頭は、いずれも４角先頭に近い競馬をしていましたし、レース前からそういう形の競馬をすることが容易に推測できる成績でした。

４角４番手以内だった ダンスインザダーク産駒の成績　３戦【３-０-０-０】
４角５番手以下だった ダンスインザダーク産駒の成績　８戦【０-２-０-６】



　多くの3歳馬にとって、距離は延びれば延びるほど未知数であり、未知である以上 不安は常に付きまとうもの。たとえ１８００メートルや２０００メートル、２４００メートルであっても、それは騎手や陣営の考え、つまりは『後方で折り合いに専念』というレース振りとなって形に現れます。一般的に距離は延びればペースは遅くなるので、距離に不安がなければ（強い馬は）自然と前目に付けることになるはず であるにも かかわらず。

　それを体現してみせたのが、２０１５年の菊花賞で◎を打ったキタサンブラックでした。母の父サクラバクシンオーという血統から、３歳時は走るたびに距離不安を指摘されていたキタサンブラックでしたが、そんな声とは裏腹に、キタサンブラックのレース振りは距離が延びるほど前へ、前への強気なものに。２４００メートルの日本ダービーで１４着に大敗しても その積極性が変わることはなかったのですから、陣営の"距離に対する自信"は相当なものだったのではないかと考えられますね。

　極論すると、他の長距離戦はともかく、この菊花賞に限っては『本当に長距離が得意かどうか』よりも『陣営が距離に自信を持っているかどうか』のほうが よほど重要だと思うのです。それは騎手や陣営のコメントに現れるものではなく（それは希望的観測も含まれるものなので）、前へ、前への積極的なレース振りに現れるものです。

　京都競馬場改装のため、今年も阪神競馬場で施行される菊花賞ですが、阪神芝２０００メートルの秋華賞と同じく、基本は例年どおりの菊花賞と考えても良いのではないかと考えています。むしろ例年以上に菊花賞の特徴が出る菊花賞になるのではないかと。



そういったレース傾向も踏まえ、本命に推せる馬は(14)アスクビクターモア。指数的にも適性的にも訝しく思うようなところはなく、実は春のＧ２・弥生賞でもドウデュース（当時３戦３勝で１番人気）を差し置いて◎を打つぐらいには評価していた馬です。その馬が弥生賞を勝ち、皐月賞、ダービーでも好走してみせているのだから、そこから評価を落とし必要もない という話です。

ダービーを勝った直後に「ドウデュースは凄い馬」みたいな風潮になっていたのですが（ダービーは３番人気）、ドウデュースと(14)アスクビクターモアは今まで４度一緒に走って４度とも差のない競馬。ドウデュースと４戦して４接戦ということは、能力的にも世代上位グループに属す１頭と見て問題は無いはずです。

■アスクビクターモア対ドウデュース
アイビーＳ(東京)０．１秒負け
弥生賞(中山)　　０．０秒勝ち
皐月賞(中山)　　０．０秒負け
ダービー(東京)　０．３秒負け

前走のセントライト記念は敗れたとは言え、３～４コーナー中間から仕掛けて追い通しで真剣に勝ちに行った(１)ガイアフォースと、持ったままで先頭、直線は(１)ガイアフォースの脚を測って追い出しを待った(14)アスクビクターモアの差。結果的には その丁寧すぎる競馬が敗因になってしまったのですが、これが すでに賞金が足りている実績上位勢の余裕というモノだったのかも知れません。

『距離が延びても強気の競馬』このキーワードが当て嵌まるのは(14)アスクビクターモア。そういった点からは、仮にドウデュースやイクイノックス、ダノンベルーガ、ジオグリフが菊花賞に出ていても、本命は この馬にしていたはずなので、それらが出走しない菊花賞、アスクビクターモアの勝機は より一層堅固なものとなると考えています。


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※【ラップギア】とは、各レースラップのラスト４ハロンのみに注目した適性分析です。ＪＲＡ発表のラップタイムを一定の公式に当てはめ、誰でも簡単に算出することができます。数値が大きければ良いというものではなく、コース適性値と“比率”の近い馬が有利だと考えられます。

※　瞬発指数は、“走破タイム”を一切考慮せず、ラップタイムを一定の公式に当てはめて算出した競走馬の能力値です。数値は全階級に対しての絶対値であり、下限70～上限130辺りだと考えられます。競走馬の能力は変動相場であり、１走ごとに変化します。

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再掲載特別付録コラム：なぜ単勝なのか。

馬券の正式名称が『勝馬』投票券（かちうま とうひょうけん）なので。……というのは半分冗談で、ひとことで言うと馬券成績を記す上で、運に頼りたくないからです。早い話、２着とか３着を当てるという行為は、運の要素が強いと私は思っているのですよ。

たとえば１９８６年以降のＪＲＡ全レースで『５戦連続１着』になった馬は８４頭いるのですが、５戦連続３着とか５戦連続４着馬などは下記のとおり、ほとんど存在しなくなります。これが何を意味するのかと言うと、着順が下になるほど運の要素の絡んでいるということだと思うのです。

■５戦連続で同じ着順になった馬
５戦連続１着馬　84頭
５戦連続２着馬　101頭
５戦連続３着馬　18頭
５戦連続４着馬　14頭
５戦連続５着馬　9頭
５戦連続６着馬　9頭
５戦連続７着馬　8頭
５戦連続８着馬　5頭
５戦連続９着馬　0頭

５戦連続２着馬は１着馬より多い１０１頭なのですが、ご存じのとおりＪＲＡ競馬は勝ち上がり方式。格上挑戦を除く、ほとんどの２着以下は同じクラス（もしくは降級）で走り続けるのに対し、１着馬は前走より強い相手と対戦することになるわけで、『５戦連続１着の難易度』は『５戦連続２着』の２倍～３倍以上なのではないかと考えられます。

繰り返しますが、２着になるか３着になるか４着になるかなんて、結構“運次第”だと思うのですよ。だから２着馬や３着馬のことを考える余裕があるなら、その時間や労力をもっと１着馬の予想に向けるべきではないかと。ゆえに私の馬券予想は単勝中心なのです。

たとえば○や△の印を打つとき、◎を決める時と同等の深さで思考していますか？　◎にくらべると、わりと適当に決めてませんか？

あと、ワイドや複勝を除く賭式は、同着を除くと基本的に当たる馬券は１点だけ。２点目以降はハズレることを前提に買うことになるのです。押さえや保険的馬券は言うに及ばず、多くの場合、２点目以降は無駄なのですよ。たとえトリガミでも押さえが当たらなきゃ資金が回らないという話も聞きますが、１つ１つの予想に信念や確信があれば そんな考えには至らないはずです。

※2019年4月14日コラムの加筆、再掲載です