『ダートグレード特集』でも掲載してあるように、このレースは南関東勢が活躍のレースです。また、今年の地方勢は、年度代表馬がゼロになりかねない状況ですから、南関東勢は勝負大勢でしょう。南関東勢は、確かにＪＢＣクラシック組のほうが強いですが、前走を大目標にした馬、Ｇ1を目標にせずとも激戦の後の一戦は、しばしば凡退することがあるもの。

　よって、◎には東京記念で、今年のマーキュリーカップを圧勝したユーロビートと同タイム4着の(3)タイムズアローを推します。この馬は今年1月の東海Ｓでマイネルクロップに先着したこともあれば、昨夏の阿蘇Ｓでは中央交流重賞2勝でマーキュリーＳでは1番人気に支持されたメイショウコロンボの2着の実績がある馬。その馬が前走・埼玉栄冠賞で、生涯初の逃げ戦法で心肺機能を鍛えあげるレースをしたとなれば、この馬を狙わずにはいられません。この馬がもっとも勝負度合いが高いことは確かなので、能力が少し足りないことには目を瞑り、上位入線を期待します。1着は厳しくとも、2着、3着ならばあるのではないでしょうか。

　○は今年に入ってさらに勢いが増し、中央のオープン2勝の(2)ドコフクカゼ。例年の浦和記念は、中央の中距離オープン勝ちの実績があれば通用するし、実際にこの馬はPP指数の能力値ナンバー1で勢いも能力もあります。しかし、今回は休養明け2戦目。前走のパフォーマンスがそれなりに高く、今回で反動が出る可能性もあるので狙い下げました。また、今回の枠順から勝ちを意識するならば、先行させるしか手がなく、そういう競馬だと5着に終わった昨年のブリリアントＳのように脆さを出す可能性もあります。

　▲は春のかしわ記念3着、帝王賞3着、そして中央の強豪が集結した前走のＪＢＣクラシックでも5着の(5)ハッピースプリント。昨年は、東京大賞典を狙いに行って年度代表馬になり損ねましたが、その教訓を生かして今年はここに出走してきました。コパノリッキーやホッコータルマエ不在ならば勝てると踏んでのここ出走でしょうから、今回も上位入線はするでしょう。しかし、昨年のＪＢＣクラシックの上位2頭が次走で大凡退したことを考えると、積極的に狙えません。

　以下特注馬として、さすがに日本テレビ盃を完勝したかつての勢いはありませんが、今年は佐賀記念でマイネルクロップとタイム差なしの2着、ブルリアントＳでは○ドコフクカゼとタイム差なしの2着に善戦している(11)ソリタリーキング。今回は再び立て直されての2戦目。前走でＪＢＣクラシックを使っていないというのも好ましく、前走からさらなる上積みがあれば通用するでしょう。

　△に今年のさきたま杯で2着の実績があるように、ハナへ行ってこその(4)リアライズキング。しかし、この馬はテンの速い逃げ馬ではないために、この秋は中距離戦への転戦を目論み、1200ｍ→1400ｍ→1600ｍへと距離を伸ばして来ました。前走のマイルグランプリではテンの速いソルテにハナを奪われましたが、鈍足な馬が多いこの距離ならば、楽にハナへ行けそうです。

　あとは今春の佐賀記念、マーチＳを連覇した(9)マイネルクロップ。休養明けの前走・みやこＳは9着に終わりましたが、ひと叩きされて春の勢いを取り戻せば連対圏内突入でしょう。ただ、前走はそこまで見せ場のある内容でもなかったので狙い下げました。
　他では昨年のこのレースの勝ち馬で、その後の東京大賞典、川崎記念でもともに3着に健闘した(7)サミットストーン。3走前のアンタレスＳではまさかのタイムオーバーでしたが、今回は立て直されて3戦目。前走のＪＢＣクラシックではコパノリッキーについて行こうとする元気さを見せていたので、今回で変わり身があっても不思議ではありません。

　最後に今年のマーキュリーカップを制して、地方勢では唯一の古馬重賞ウイナーとなった(8)ユーロビート。ただ、マーキュリーカップは外枠から1～2コーナーであり得ないくらいペースが緩んだところで、一気に先頭に立つ、100点満点のレース運びでした。あのパフォーマンスをもう一度求めるものは厳しいものがありますが、ハッピースプリントやサミットストーンと差のないところまで力をつけているのは確かでしょう。マーキュリーカップで自己ベストのPP指数をマークした後の一戦とはいえ、前々走の東京記念ではペースに恵まれながらもプレティオラスにまたもや先着を許してしまいましたが、印上位馬がダメージや完調手前で走られなければ連対確保はあるかもしれません。