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デビュー1年目に第12Rで6勝をマークする活躍を見せ、「最終のタケゾー」として一躍その名を広めた永野猛蔵騎手(20)=美・伊藤圭。騎乗数が増えた現在も複勝回収率80%の水準を維持しているが、実は最終レースよりも際立って好相性を示しているレースがある。デビュー以来9勝を挙げ、単勝回収率129%、複勝回収率102%を記録している新馬戦だ。特に芝の新馬戦での活躍が目覚ましく、【8・6・5・89】で単勝回収率191%の数字をたたき出している。そんな〝メイクデビュー男〟に好成績を残すための秘訣(ひけつ)を迫った。
データを伝えると、どことなく腑に落ちた表情を浮かべた永野騎手。しばし思考を巡らせた後、次のように切り出した。
「逃げにこだわっているわけではありませんが、スムーズな競馬ができるので、素直な馬でスタートが出られれば、前につけてあげたいなという気持ちではいます。そこがうまくかみ合っているのかもしれません」
実際に、ここまでマークした9勝中8勝が4角4番手以内と、積極策から押し切る競馬が目立つ。7月16日に福島の新馬戦を制したレオエンプレスも、好スタートから先手を取り、そのまま逃げ切るといったレース内容だった。「馬に前に行きたい気持ちがあれば、あえて後ろに下げる必要はないですね」と永野騎手。スローペースになりやすい新馬戦の傾向を踏まえても、先行策は理にかなっていると言える。
「馬の仕上がりや気性に合わせなければいけない」新馬戦。初めての環境でナーバスになる馬が多く、他のレース以上にジョッキーと息を合わせられるかが鍵となる。そのような状況下においても、永野騎手が最大限ポテンシャルを引き出せたのは、馬本位の先行意識の賜物だった。
今週は、自厩舎のアカキチノイレブン(土曜新潟3Rダート1800メートル)とドレスメイカー(土曜新潟5R芝1200メートル)で初陣に臨む。「どちらも素質はありますし、面白いですよ」と腕を撫す。〝新馬のタケゾー〟から好勝負の気配が漂っていた。(東京サンスポ・山口遥暉)