堅軸判定も、メンバー強力。
　
　ずっとレイデオロを高く評価してきて、ここで評価を落としたら、ポリシーがないと怒られる。
　起動力の高さ、スタミナ、キレ、どれをとっても一級品で、気性が肉体に付いてくれば、もっと高いパフォーマンスを発揮できる。
　よってこの枠も問題なし。大きなトラブルさえなければ楽に勝ちきってくれるとみている。

　キセキの何が気になるかと言えば秋の使い方。一昔前なら当たり前の古馬王道フル参戦も、いまは時代が違う。大事に使って狙ったところを取りに行くスタイル。
　狙って完璧に仕上げられた馬と、平均して良い形に調整する作り方のどちらが良いかといえば、間違いなく前者だろう。
　追い切りだけで判断すると、背中が硬くなってきたのか、クビの使い方がいい頃と比較するとあまり良くない。
　
　最も取捨に困るのがブラストワンピース。切らずに入れておくのが無難。距離不足に泣いてきたか、そもそもベストが中距離でG１を勝てる程の実力がないのか。常に好走する雰囲気は持っている。トゥザワールドやオーシャンブルーらが同じタイプでも、彼らには一瞬鋭い脚が使えた。大外ぶん回しでは間に合わない。後方からでもインを突く競馬が叶うなら。
　
　マカヒキは、すでに中距離質のスピードが出せなくなっているので、2000ｍだと勝負にならず、それを越す距離でも上がり勝負になると分が悪い。キセキが逃げて誰も絡んでいかなければ流れはスローになってダメ。たとえば中盤で、高い賞金を取りに行くかのごとく、サクラアンプルールやリッジマンのような器用なタイプが捲り上げて後半のラップを重くしてくれるなら期待値は多少上がるのだが。トレセン調整なので、デキに関しても不安は残る。
　
　クリンチャーは凄く良い馬でまともなら勝ち負けできる力を持っている。春の天皇賞を使って直接フランスに遠征したのは、有馬記念分の余力を取っておきたかったからか。どちらにしても、追い切りの動きから、現時点での自身のパフォーマンスをフルに発揮できることは間違いない。
　
　シュヴァルグランが前日段階で全く売れていない。ボウマン騎手が騎乗するというのに。売れにくいタイプとは言え、ここまで売れていないとちょっと萎えてしまう。
　とはいえ、前走も前々走の敗因ははっきりしていて、まともな体力勝負になれば、少なくとも前走よりも良い走りは見せてくれるはずだ。陣営としても、本当に取りたいのはここのはず。前走の消極的なレース内容からも、そう捉えていいと思う。頑張って前付けして欲しいところ。鞍上の腕に託すだけ。
　そういえば、ボウマン騎手は、今年の宝塚記念で、香港馬ワーザーに騎乗し2着。内が有利な馬場コンディションにおいて、最後方付近から大外を回して押し上げ、勝ち馬にクビ差にまで詰め寄った。この騎乗には異次元のものを感じた。
　
　ミッキーロケットは機動力の高さで、どこまで食らいつけるか…といったところ。
　
　パフォーマプロミスも競馬が上手。宝塚記念では後手を踏んでしまって普段の実力を発揮することができなかったが、上手く立ち回れるセンスと持ち前の瞬発力をもってすれば見せ場を作れるのではないか。
　
　宝塚記念で思った競馬ができずに着外に敗れた馬で、かつ、最後まで脚を伸ばしていた馬はみなその後の重賞で好走している。
　
　そういう見方をすれば、サトノダイヤモンドにしても無下にはできない。宝塚記念ではゲートで立ち後れ、後方からの競馬となった。残り800ｍ付近で一気に加速し、大外を回して出し抜けを図ったが、伸びる内めをロスなく立ち回った馬には敵わない。結果６着に敗れてしまった。しかしこの結果は最も嵌まらなかったパターン。いまや時計勝負では通用しなくなっている。超高速決着となったジャパンCは、そういう意味でも論外だし、外にもたれる左回りはパフォーマンスを十分に発揮できる舞台ではない。デキはずっと良いので、今回こそG１で一矢報いて欲しい。絶好調のアヴドゥラ騎手にも期待している。