紆余曲折を経て、結局は前年の１番人気と２番人気馬がそのまま１番人気と２番人気に収まりそうな天皇賞。その後２勝を挙げている(１)ゴールドシップよりも２戦未勝利の(13)キズナのほうが人気を集めているもの不思議なところだが、この一年、これらを脅かす存在は現れなかったのだろうか？

ラップギア☆ブログ:◆『競馬 最強の法則』　２０１５年５月号
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週末の予想に先駆けて、天皇賞(春)というレース自体の見解は『競馬 最強の法則』　２０１５年５月号に掲載させて頂いた。全文掲載とかはアレだと思うので、かいつまんで抜き出すと、

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過去10年天皇賞・春“１～３着馬の平均上がり３ハロン”は34秒８。
　同じ３０００ｍ級のレース、阪神大賞典では無類の強さを見せるゴールドシップだが、実は阪神大賞典、過去10年“１～３着馬の“平均上がり３ハロン”は36秒１。重馬場施行でレースの上がり３ハロンに40秒６を要した２００９年を除いても35秒９。距離的には似ているように見えて、阪神大賞典と天皇賞・春はまったく別物のレースだということになる。
　ちなみに宝塚記念の過去10年は35秒７であり、有馬記念は35秒２。皐月賞は35秒０で、日本ダービーは（不良馬場施行で39秒７を要した２００９年を除くと）34秒４。さらに菊花賞35秒１、天皇賞・秋とジャパンカップは同じく34秒１で京都大賞典は34秒０。このあたりまで列挙すれば“１～３着時の上がり３ハロン平均”３５秒３であるゴールドシップの好走レンジが浮き彫りになってくるだろう。
　ゴールドシップが古馬になって挙げた５勝の内訳は、阪神大賞典、阪神大賞典、阪神大賞典と宝塚記念、宝塚記念。ゴールドシップがこの両レースや菊花賞、有馬記念に強いのは当然という話になるし、日本ダービーやジャパンカップ、京都大賞典での惨敗も何の不思議もない出来事と認識できるはずだ。
　それだけではない。天皇賞・春は年々高速化している。この記事を書くにあたって、過去10年ではなく１９９０年からの天皇賞・春勝ち馬を調べてみたのだが、１９９３年メジロマックイーンの頃は“１～３着時の平均上がり３ハロン”が36秒台だったのに対し、２０００年テイエムオペラオーの頃は35秒台後半、２００７年メイショウサムソンの頃は35秒台前半と勝ち馬好走レンジの高速化が進み、過去10年ではつにい34秒台の34秒８に。
　しかもそこにもとどまらず、２０１３年と２０１４年勝ち馬のフェノーメノは34秒２（当時）と34秒４、ついに34秒台前半にまで突入してきている。
そういった観点で過去10年の天皇賞・春勝ち馬一覧を見てみると、34秒１ディープインパクトは言うに及ばず、スズカマンボの平均は34秒５、マイネルキッツ34秒８、ヒルノダムールも34秒６でビートブラックも芝に限れば34秒７。鈍足に見えた馬たちも、ちゃんと34秒台に好走レンジを持っていたのだ。
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という感じで、読みづらいのはご勘弁。この記事に付随した「評４」のデータ、今年の出走馬に当てはめると、こんな感じになる。現代の天皇賞(春)、これが３４秒９を超えるような馬には「速すぎるレース」であり、３４秒１の(13)キズナには「遅すぎる」レースという論法だ。

■天皇賞・春出走想定馬の“１～３着時の平均上がり３ハロン”タイム
ゴールドシップ ３５秒３
カレンミロティック ３４秒５
ネオブラックダイヤ ３５秒０
ラストインパクト ３４秒５
タマモベストプレイ ３４秒９
ホッコーブレーヴ ３４秒８
トーセンアルニカ ３５秒４
スズカデヴィアス ３４秒５
クリールカイザー ３５秒１
ラブリーデイ ３４秒５
フーラブライド ３４秒３ ※ダート戦は除く。
デニムアンドルビー ３４秒８
キズナ ３４秒１
フェイムゲーム ３５秒０
サウンズオブアース ３４秒８
ウインバリアシオン ３４秒４
アドマイヤデウス ３４秒４

その記事では出走想定の中から
◎サウンズオブアース
〇フェノーメノ
▲ウインバリアシオン
☆トーホウジャッカル
△デニムアンドルビー
△フーラブライド
というシルシを提出したのだが、そこから〇フェノーメノと☆トーホウジャッカルが回避して
◎サウンズオブアース
▲ウインバリアシオン
△デニムアンドルビー
△フーラブライド
という状態に。もうこれは(15)サウンズオブアースで決まりということか？

いや、この記事を書いた時点で出走想定に入っていなかった馬が３頭いる。(２)カレンミロティック、(３)ネオブラックダイヤと(７)トーセンアルニカ。上記のタイムが３５秒０の(３)ネオブラックダイヤと３５秒４の(７)トーセンアルニカは厳しいとして、問題は３４秒５、絶妙の位置にいる(２)カレンミロティックの存在だ。この馬が出走想定の中に入ってたら〇か▲の位置には入っていただろうし、(15)サウンズオブアースを超えて◎にしていたかも知れない。

そう考えさせられる根拠はある。まず能力的な問題、２０１３年有馬記念６着と２０１４年宝塚記念２着、香港Ｇ１・５着。Ｇ１では通用しないということはあるまい。Ｇ２、Ｇ３でも４着続き、勝ち切れない競馬が続いているのだが、その負けにこそ着目してみたい。

まず前提として、条件馬時代の(２)カレンミロティックは大変高く評価していたのだが、オープン入り以降は１度たりとも本命にしていない。なぜならラップギア適性値「瞬８平２消１」の瞬発馬。瞬発戦を勝ち上がってきた馬なのに、オープン入り以降はほとんど瞬発力勝負のレースを使われていないからだ。

それに加えて上記“１～３着時の平均上がり３ハロン”的な話。３４秒５の平均を引っ提げて勝ち上がってきた同馬が、オープン入り以降は
札幌日経ＯＰ ３７秒８
金鯱賞 ３６秒１
有馬記念 ３６秒７
中山記念 ３６秒９
大阪杯 ３６秒３
鳴尾記念 ３５秒０
宝塚記念 ３５秒６
阪神大賞典 ３５秒９
と、上がりの掛かるレースばかりを使われてきた。つまり得意レンジで勝負させて貰えたことは１度もなく、それでこの成績なら十分なのではないか。“１～３着馬の平均上がり３ハロン”が３４秒５～３４秒８ぐらいが想定される天皇賞(春)、オープン入りから約２年を経て、初めて(２)カレンミロティックの本領が発揮されるのかも知れない、そんな期待が持てるデータなのではないか。

(13)キズナは前年に続いて不可解な人気。（あまり誰も言わないけれど）実はまだＧ１・１勝馬なんだよね。これがディープインパクト級の馬だと思うなら、諸々の事情には目をつぶり、能力だけに期待するという手も無くはないのだろうけど。

もう１頭の人気馬、(17)アドマイヤデウス、前々走の日経新春杯、前走の日経賞ともに◎を打った馬だが、それはラップギア平坦戦想定だったから。ラップギア適性値「瞬１平５消０」の同馬、ここでは瞬発力不足が明らかで。



※印や金額は発走の約１時間前に確定。それまでは変更の可能性があります。