ヴィクトリアマイルが16日、東京競馬場で18頭によって争われ、断然人気の
グランアレグリアが、2着の10番人気
ランブリングアレーに4馬身差をつけて圧勝。GI5勝目を飾るとともに、史上初の
安田記念、
マイルCSを含む古馬芝マイルGI3戦全制覇を決めた。鞍上のルメール騎手は昨年の
アーモンドアイに続くV2で、
NHKマイルC(
シュネルマイスター)から2週連続のGI勝利。3着は5番人気の
マジックキャッスル。2番人気の
レシステンシアは6着だった。
たったのムチ2発、
グランアレグリアにはそれだけで十分だった。直線であっという間に外から抜け出し、4馬身差の楽勝。桁違いの強さでGI5勝目を手にした。
「きょうは違うレベルでしたね」
この日の9RでJRA通算1400勝を達成したルメール騎手は、事もなげに振り返る。先行馬がそろったメンバー構成で位置取りは中団になったが、馬の力を信じて不利を受けない外側に誘導すると、ホームストレッチでは独壇場だった。
「すばらしい手応えでした。直線で大外に出したら、自分からハミを取ってギアアップしてくれました。レースごとに賢くなって大人になっているので、乗るのは簡単です。加速がすごくて気持ち良かったね」
昨年の
アーモンドアイと同じ着差でのV2で、このレース単独トップの3勝目を飾ったルメール騎手。昨年の
安田記念では
アーモンドアイの馬上から、グランの強さを再確認させられたという。「あの日はグランの方が強かったけど、両方ともレベルが高いです。2400メートルで勝っているぶん、アーモンドの方がちょっと上かな」と、引退した史上最強馬と比較しながら笑みを浮かべる。続けて「(グランは)またGIを勝てます」。5歳春、その完成度は
アーモンドアイ級のスーパーホースに近づいている。
第1回
ヴィクトリアマイルを
ダンスインザムードで制した藤沢和調教師にとっては、来年の2月で定年のため、これがキャリア最後の参戦。「あのときも追い出しを待ったけど、きょうも外から長く待ったね」と、晴れやかな表情を見せた。次走は、連覇がかかる
安田記念(6月6日、東京、GI、芝1600メートル)が濃厚。さらには
天皇賞・秋(10月31日、東京、GI、芝2000メートル)挑戦の可能性もある。「
大阪杯はスタンド前の発走。東京なら1コーナーだし、(2000メートルでも)もちそうな気がする」と、トレーナーは意欲満々な口ぶりで、ルメール騎手も「良馬場なら2000メートルのGIを勝てるレベルにあります」と、
大阪杯の雪辱に向けて力を込めた。
この日、年内引退が明らかになった
グランアレグリア。残るレース全て、完全燃焼で臨むつもりだ。(柴田章利)
★16日東京11R「
ヴィクトリアM」の着順&払戻金はこちら
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グランアレグリア 父
ディープインパクト、母タピッツフライ、母の父タピット。鹿毛の牝5歳。美浦・
藤沢和雄厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。戦績12戦8勝。獲得賞金8億4903万7000円。重賞は2018年GIII
サウジアラビアRC、19年GI
桜花賞、GII
阪神カップ、20年GI
安田記念、GI
スプリンターズS、GI
マイルCSに次いで7勝目。
ヴィクトリアマイルは
藤沢和雄調教師が2006年
ダンスインザムードに次いで2勝目、クリストフ・ルメール騎手は2017年
アドマイヤリード、20年
アーモンドアイに次いで3勝目。馬名は「大歓声(スペイン語)」。
★クリストフ・ルメール騎手…昨年に続く3勝目で最多。JRA・GIは通算38勝目。JRA重賞は通算114勝目。
★
藤沢和雄調教師…JRA・GIは通算33勝目で歴代1位。6年連続Vは1984年のグレード制導入後、歴代3位タイ。JRA重賞は通算125勝目。
★
ディープインパクト産駒…2018年(
ジュールポレール)以来の通算4勝目で
フジキセキ産駒と並ぶ最多。JRA・GIは通算63勝目。JRA重賞は通算261勝目。また、JRA・GIにおける同産駒の1~3着独占は16年ダービー(1着
マカヒキ、2着
サトノダイヤモンド、3着
ディーマジェスティ)以来3回目。
★
ディープインパクト産駒の同一JRA・GI多頭数出走…出走馬18頭の内、10頭が同産駒。15年
天皇賞・秋の9頭を更新する過去最多。84年のグレード制導入後、同一種牡馬産駒の同一GI最多出走は、04年
秋華賞のサンデーサイレンス産駒11頭。
★サンデーレーシング…JRA・GIは通算59勝目。JRA重賞も通算201勝目。
★ノーザンファーム…19年(
ノームコア)から3年連続8勝目。JRA・GIは通算164勝目。JRA重賞は通算693勝目。
★売り上げ、入場者数…
ヴィクトリアマイルの売り上げは166億9365万6200円で、前年比105・0%。入場人員は4686人だった。