伝統の長距離戦・
天皇賞・春(GI、芝3200メートル)が5月2日に、阪神競馬場で行われる。例年、舞台となる京都が改修工事のため、今年は阪神で開催。そこで、大阪サンスポの山口大輝記者(29)がコースの特徴をつかむべく、ひと足先に潜入。今年2月の松籟Sでのみ施行された変則的なコースを、自分の足で確かめ、好走馬を導き出すヒントを探った。
阪神競馬場が改修された2006年以降、阪神芝3200メートル戦は今年の松籟Sだけ。運動不足の体には酷だが、攻略ポイントを探りたい。まずは、事前に情報収集。松籟S2着の和田竜騎手に企画を説明すると「(疲労で)倒れるで~」と笑いながら答えてくれた。
「阪神は京都よりスタミナが必要だね」
その言葉を胸に、いざ阪神競馬場へ。3000メートルの
阪神大賞典は内回りのみ使用するが、3200メートルの
天皇賞・春は1周目が外回り、2周目が内回りを走る。スタート地点から、最初のコーナーまでは約321メートル。内枠有利の傾向が強い京都芝3200メートル戦より約39メートル短い。
3~4コーナーはほぼ平坦で、下り坂が特徴の京都とは大きく異なる。カーブは緩やかで、内ラチ沿いもそこまで荒れていない。意外と楽チン!? だが、余裕があったのはここまでだ。
外回りの直線は、ゴールまで476・3メートルと右回りのコースで最長。その先の1コーナーは、はるか遠く…。気も遠くなる。和田竜騎手は「1周目の直線が長いので、(スピードが出やすく)息を入れづらい」と話していた。ゴール前の急坂は高低差1・8メートルで、勾配は1・5%。きつい。足にくる。スピードに乗ったまま駆け上がったら、かなり体力を消耗するに違いない。
2周目は、内回りの3コーナーへ。外回りよりカーブの角度がきつく、コーナリングの得手不得手もポイントになりそう。内回りはゴールまでの直線が359・1メートルと短いため、早めに仕掛ける必要もありそうだ。
そして最後に、2度目の上り坂。もう、ふくらはぎはパンパンだ。気力を振り絞ってゴールし、“歩破時計”は1時間35分58秒1。長い直線、コース1周した後からのロングスパート、2度の急坂…。自分が馬だったらと思うと、ゾッとする。
「(京都と比べて)よりタフになる」
和田竜騎手の言葉通り、阪神芝3200メートルが舞台の今年は、スタミナ豊富なステイヤーが有利になりそう。その観点からすると、同舞台の松籟Sを勝った
ディアスティマは怖い存在。3400メートルのGIII・
ダイヤモンドS2着
オーソリティも気になる。他にもスタミナ自慢がいるかも? 穴党として、今週も入念に取材して好配の使者を探したい。 (山口大輝)
◆今年の松籟Sを勝った北村友騎手「どちらかといえば、内枠のほうが競馬がしやすいのかなと思います。周りが動いたときに(自分が)どう乗るかですね」
◆松籟ステークスVTR…例年、京都芝2400メートルで行われる3勝クラスのハンデ戦で、今年は阪神芝3200メートルで施行。14頭立てで2番人気の〔8〕枠(13)番
ディアスティマが、マイペースの逃げに持ち込み3馬身差でV。勝ちタイムは3分14秒9。2番手から運んだ11番人気の〔3〕枠(3)番
タイセイモナークが2着だった。
◆馬場状態良好…
天皇賞・春は例年、京都開催の2週目に行われるが、今年は改修工事のため阪神で施行。阪神は2月13日から毎週、開催されており、馬場状態が気になるところだ。阪神競馬場の沼田馬場係長は「例年より4週長くやっていますが、いつもの開催最終週と変わらない状態です」と胸を張る。先週の
マイラーズC(芝1600メートル)の勝ち時計も1分31秒4と速く、馬場コンディションは良好だ。
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天皇賞・春の特別登録馬(想定騎手入り)はこちら 調教タイムも掲載