【TAROの競馬研究室】中山芝は「内枠有利」というより「外枠不利」でスタート/セントライト記念展望
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セントウルSはテイエムスパーダが逃げ切り勝ち。ブービー人気、単勝万馬券という大波乱だった。同馬は昨年のCBC賞の覇者ながら、以後は不振続き。7戦連続で掲示板にすら載れない状況だったが、開幕週の馬場を生かした逃げで一変した。
振り返れば阪神開催時のセントウルSは開幕週ゆえに夏競馬の延長戦の色が濃く、幾度となくスピードのある馬が波乱を巻き起こして来た。2015年には3歳馬アクティブミノルが10番人気の低評価を覆し逃げ切り勝ち。同馬は前年の函館2歳Sの覇者だったが、その後は勝てておらず、前走の大敗もあり人気が急落していた。2017年にはアイビスサマーダッシュを8番人気の低評価を覆して制したラインミーティアが、引き続き6番人気という低評価ながら2着と連続激走。
阪神開催のセントウルSはスピードが生きる…というのは、来年以降も覚えておきたい。
~結局競馬は同じことの繰り返し
もっとも、これはセントウルSに限らず、基本的に競馬は同じことの繰り返し。だいたいが同じ日程で繰り返されているのだからそれも当然だろう。セントウルSであれば昨年までの中京開催時は例外で、それよりも4年前までの阪神開催時にヒントがあった。
一方、昨年までの傾向がそのまま参考になりそうなのが中山開催。昨年秋の中山芝はほぼ一貫してイン有利が続き、雨の影響を受けた2週目の3日間開催時以外はイン有利。最終週のスプリンターズSも内枠のジャンダルムが最短距離を走って穴をあけた。
今年の開幕週の傾向にも注目していたが、やはりイン有利でスタート。もっとも、データソフト等で先週の中山芝の枠別傾向を見ると意外なほどフラットに見えるかもしれないが、これには少しトリックがあった。
例えば先週の中山芝の8枠の成績は以下の通り。
・9/10-11 中山芝8枠成績(2-3-2-17)
これだけ見るとそれなりに8枠が走っているように見えるが…その実態はといえば少頭数ばかり。データ上は8枠といっても、馬券に絡んだ7頭の馬番の内訳は以下の通りだった。
・8枠8番 1頭
・8枠9番 3頭
・8枠10番 3頭
ご覧の通り。そこで、改めて馬番別の成績を見てみると、やはり先週の中山芝は外が明らかに不利だった。
・9/10-11 中山芝12番より外枠の成績(0-0-1-14)
唯一馬券に絡んだのは紫苑Sのシランケドのみで、この中には紫苑Sで1番人気に支持されながら10着に敗れたグランベルナデット(7枠14番)も含まれている。以上からも、今年の秋の中山開幕週の芝はイン有利、より正確にいえば外枠不利でスタートしたとみて間違いない。今後の天候次第だが、極端に悪化することがなければ、最終週のスプリンターズSまで、昨年のように内が伸びるレースになる可能性が高いかもしれない。
それでは最後に先週からの狙い馬と、今週末の注目馬を。
【次走狙い馬】 9/9(土)中山6R ピカリエ 5番人気2着
スタートで立ち遅れたために位置取りは悪くなったが、後方から道中で楽に盛り返して外から追い上げ、直線もしぶとく伸びて2着を確保。かなり下手なジョッキーである柴田大知騎手が足を引っ張っていた馬だが、今回は鞍上強化で変わり身を見せた。もともと能力的に1勝クラスなら上位。引き続き中山ダート1200mで続戦なら軸としての信頼度は高い。
~今週末の注目馬~
今週はセントライト記念から。
・シャザーン(岩田望来騎手)
注目はシャザーン&岩田望来騎手。
春はすみれSでショウナンバシット(皐月賞5着馬)を差し切って勝利。皐月賞では6着、日本ダービーでは9着と及ばなかったが、G1でもそれなりに戦えたようにポテンシャルは高い。セントライト記念は上がり馬よりも実績馬に妙味があるレースで、特に春のクラシックで勝ち負けまでは持ち込めなかったような馬がしばしば穴になる一戦。母クイーンズリングは同じ2200m重賞のエリザベス女王杯勝ち馬で、本馬もこれくらいの距離が一番合いそうだ。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
栃木県出身、競馬予想家。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)など著書多数。最新刊は『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)。 |
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【伊吹雅也のピックアップ競馬データ2022年03月06日号】特選重賞データ分析編(296)~2022年フィリーズレビュー
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次週の注目重賞を、伊吹雅也プロが様々なデータを駆使していち早く分析! もっとも重要と思われる<ピックアップデータ>に加え、<追い風データ/向かい風データ>や<注目馬チェック>など、貴重な情報が満載なウマニティ会員専用コラムとなっております。ぜひ皆様の予想にお役立て下さい。
■【伊吹雅也のピックアップ競馬データ】コラム内容について詳しくはこちらをご覧ください。
⇒https://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=7321
<次週の特選重賞>
G2 報知杯 フィリーズレビュー 2022年03月13日(日) 阪神芝1400m内
<ピックアップデータ>
【枠番別成績(2019年以降)】
○1~4枠 [4-2-1-17](3着内率29.2%)
×5~8枠 [0-0-2-28](3着内率6.7%)
近年は圧倒的に内枠有利。外寄りの枠を引いてしまった馬はほとんど優勝争いに絡めていません。枠順やオッズ次第で柔軟に構えるべきでしょう。
主な「○」該当馬→未定
主な「×」該当馬→未定
<他にも気になる! 追い風データ/向かい風データ>
【追い風データ】
○「前走の馬体重が450kg以上」だった馬は2019年以降[3-2-3-21](3着内率27.6%)
主な該当馬→サブライムアンセム・テイエムスパーダ・ナムラクレア
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伊吹雅也のPOG分析室 (2021) ~第7回ワールド上位者考察
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JRAの夏季競馬が先週をもって終了。今週からはいよいよ秋季競馬がスタートします。
2021年の夏季競馬シーズン中に施行されたJRA、かつ2歳のレースは177競走。既に1300頭がデビューを果たし、約13%にあたる170頭が勝ち上がりました。重賞も既に4レースが施行され、7月17日の函館2歳ステークス(2歳G3・函館芝1200m)をナムラリコリス(ナムラキッスの2019)が、8月29日の新潟2歳ステークス(2歳G3・新潟芝1600m外)をセリフォス(シーフロントの2019)が、9月4日の札幌2歳ステークス(2歳G3・札幌芝1800m)をジオグリフ(アロマティコの2019)が、9月5日の小倉2歳ステークス(2歳G3・小倉芝1200m)をナムラクレア(サンクイーン2の2019)が勝利。各ワールドのランキングにも大きな動きが出てきたところです。
今回は、9月5日終了時点における各ワールドの上位プレイヤーと、その指名馬をひと通りチェックしていきたいと思います。まだスペシャル以外の各ワールドでは仮想オーナー募集枠が順次解放されていますし、そもそも最終的な順位を左右するようなビッグレースが施行されるのはかなり先。好スタートを決めたプレイヤーの指名戦略を読み取り、今後に向けた対策を検討しましょう。
なお、2020年、かつJRA、かつ2歳のレースにおける競走馬ごとの本賞金額(9月5日終了時点)トップ20は下記の通りでした。
【1位】ナムラクレア(サンクイーン2の2019) 4880万円
【2位】ナムラリコリス(ナムラキッスの2019) 3890万円
【3位】ジオグリフ(アロマティコの2019) 3800万円
【3位】セリフォス(シーフロントの2019) 3800万円
【5位】トーセンヴァンノ(トーセンソニアの2019) 2860万円
【6位】ヴィアドロローサ(ロイヤルストリートの2019) 2300万円
【6位】ラブリイユアアイズ(オープンユアアイズの2019) 2300万円
【8位】ベルウッドブラボー(マチャプチャレの2019) 2290万円
【9位】アスクワイルドモア(ラセレシオンの2019) 2190万円
【10位】アライバル(クルミナルの2019) 1900万円
【10位】カイカノキセキ(カイカヨソウの2019) 1900万円
【10位】スリーパーダ(シンハリーズの2019) 1900万円
【13位】コムストックロード(ニシノムーンライトの2019) 1730万円
【14位】ヒノクニ(トワイスアップの2019) 1677万円
【15位】ブッシュガーデン(フリスコベイの2019) 1530万円
【16位】アネゴハダ(イニシャルダブルの2019) 1480万円
【16位】オタルエバー(ルージュクールの2019) 1480万円
【18位】エーティーマクフィ(テンシンランマンの2019) 1430万円
【19位】カワキタレブリー(カフジビーナスの2019) 1410万円
【20位】テイエムスパーダ(トシザコジーンの2019) 1340万円
【20位】ポメランチェ(オレンジティアラの2019) 1340万円
重賞ウイナーが上位を占めているものの、8月14日のコスモス賞(2歳オープン・札幌芝1800m)を制したうえ札幌2歳ステークスでも3着に食い込んだトーセンヴァンノ(トーセンソニアの2019)など、地道にポイントを積み重ねた馬も少なくありません。こういったタイプの扱いにも注目しておきたいところです。
スペシャルワールドでトップに立っているのは、1億2726万円を獲得したムーンシュタイナーさん。スリーパーダ(シンハリーズの2019)などを指名している長澤まさみさんが最終週に迫ったものの、1401万円差で夏季競馬シーズンのチャンピオンに輝いています。
ムーンシュタイナーさんは第1回入札でセリフォスを獲得。本賞金額トップ20にランクインした指名馬はこの馬だけでしたが、9月5日のすずらん賞(2歳オープン・札幌芝1200m)で4着に食い込んだジョーブリッランテ(ジョーアラマートの2019)など、他にも3頭の指名馬が勝ち上がりを果たしました。また、新馬や未勝利で上位に食い込んだ馬も多数。これらの馬が順調に出世したら、獲得ポイントはさらに伸びてくるでしょう。夏季競馬に特化しての作戦勝ちというわけではなく、層の厚さや順調度の差で自然と首位に立った印象です。
G1ワールドは1億5686万円を獲得しているよ~じさんがトップ。ジオグリフを第5回入札で、セリフォスを第3回入札で獲得し、この2頭が2週連続で重賞を制しました。デビュー戦を勝ち上がった後の馬、それも夏の2歳重賞で有力視されるような馬は、注目度が上がってしまいがち。未デビュー馬とは違った難しさもある中で落札した2頭がしっかり結果を出したのですから、お見事と言うほかありません。全体的なラインナップを見ても、将来性のある逸材が多数。今後もしばらくはよ~じさんが首位争いの中心となっていくのではないでしょうか。
G2ワールドは1億1285万円を獲得している0d2fb65705さんがトップ。ナムラクレアやアライバルをデビュー前に獲得していました。ナムラクレアは新馬こそ3着に敗れてしまいましたが、未勝利の身で出走した8月14日のフェニックス賞(2歳オープン・小倉芝1200m)、そして小倉2歳ステークスを連勝。指名できた方、特にデビュー戦前後の段階で獲得した方にとっては、会心の展開だったのではないかと思います。
G3ワールドは1億2981万円を獲得しているムタオさんがトップ。よ~じさんと同じくジオグリフやセリフォスを指名されていますが、いずれも獲得したのはデビュー前です。ムタオさんは全体的に入札が早く、第4回までに20頭すべての指名を完了。ラインナップを拝見したところ、当連載の第1回でも名前が挙がっていたような、POG期間中の成績が良い調教師を重視されているように見えました。所属ワールドのルールは異なれど、基本的な戦略はおそらく私とほぼ同じ。もっとも今後が気になるプレイヤーと言っても過言ではありません。
オープンワールドは1億5813万円を獲得している銀の荼毘さんがトップ。ナムラリコリスを第4回の入札で獲得しているほか、8月14日のコスモス賞(2歳オープン・札幌芝1800m)で2着となったエーティーマクフィ(テンシンランマンの2019)らを指名されています。夏季競馬シーズンの重賞やオープン特別を積極的に狙ったと思しきラインナップで、思惑通りのスタートダッシュ成功だったんじゃないでしょうか。既に11頭の指名馬が勝ち上がりを果たしていますから、今週以降も着実に獲得ポイントを伸ばしてきそう。どこまで勢いが続くのか楽しみです。
■執筆者プロフィール
伊吹 雅也(いぶき・まさや)
埼玉県桶川市在住のフリーライター、競馬評論家。JRAホームページ内『今週の注目レース』で「データ分析」のコーナーを、TCKホームページ内『データ&コラム』で「分析レポート」を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラムなどさまざまなメディアを舞台に活動している。近著に『コース別 本当に儲かる血統大全 2019-2020』(ガイドワークス)、『ウルトラ回収率 2019-2020』(ガイドワークス)、『WIN5攻略全書 回収率150%超! "ミスターWIN5"のマインドセット』(ガイドワークス)、『コース別 本当に儲かる騎手大全2018秋~2019』(ガイドワークス)など。POG関連メディアの制作にもさまざまな形で携わっており、「ウマニティPOG 2014」では最高位クラスのスペシャルワールドにおいて優勝を果たした。 |
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