厚真のポニー、飼い主亡き後も力走─北海道新聞/10月9日6時31分配信 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/235998
草ばんば大会、仲間が引き取り出場
【北斗】道内外の農耕馬が自慢の足を競う「ばん馬競技大会」が7日、北斗市市渡の旧大野町家畜市場跡で開かれた。胆振東部地震で被災し、飼い主を亡くした胆振管内厚真町のポニー「スバル」が登場し、力走する姿に声援が送られた。
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市内で家畜輸送業を営む田山産業運輸(田山克広社長)が毎年開き、22回目。道内や青森の計70頭が参加した。盛り土で2カ所の坂が設けられた直線200メートルの砂利道で行われ、年齢や体重により30~800キロの重りを載せたそりを引く。
ポニーのスバルは年齢10歳ほどの雄。地震で飼い主の中田一生さん(76)を亡くし、草ばん馬仲間だった函館市の松倉誠一さん(66)に引き取られた。レースは約2カ月ぶりで、市内の牧草地で調整を続けてきた。
この日は60キロの重りを引く、4頭立てのレースに出走した。前日からの雨でできた水たまりやぬかるんだ悪路に苦戦し、序盤に先行を許す展開。後半に追い上げたものの、左の前足にけがをしていた影響もあり、惜しくも2着に終わった。
松倉さんは「スバルが頑張った走りをしてくれたので、天国の中田さんは喜んでくれたと思う。ただ、調教不足で負けたから叱られるかな」と苦笑いした。道内で今年開かれる草ばん馬は、この大会が最後。スバルは来年5月のレースを目指して調整に励むという。(斉藤直史)