2013年11月11日(月) 12:30
伊吹雅也
伊吹雅也のPOG分析室 ~第7回 20位以内にランクインの馬たちの近況をレポート~
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先週末に京王杯2歳ステークスとファンタジーステークスが施行され、2013年の2歳戦線もいよいよクライマックスが近付いてきました。各ワールドの勢力図も明確になり、重賞ウイナーを所有しているプレイヤーの皆さんは来月のGIを、そうでない方々は年明けの重賞戦線を見据えて、指名馬の近況を見守っているのではないかと思います。
今回は注目POG馬ランキング(2013/11/10 02:25更新分)で20位以内にランクインしている馬たちの近況をまとめてみました。該当馬の大半は来春のクラシックを目標にしているはずですが、“オーナー”としてはそろそろ素質の片鱗を見せてほしい時期。2歳戦の馬券を買ううえでも、これらの馬は大きなポイントになりそうです。
現時点でもっとも多くのポイントを獲得しているのは11位のハープスター(ヒストリックスターの2011)。皆さんもよくご存知の通り、8月25日の新潟2歳ステークス(2歳GⅢ・新潟芝1600m外)で重賞制覇を果たしました。日本ダービーの一次登録を行った(→関連記事)ことからも、期待の高さが伺えますね。現在は帰厩して阪神ジュベナイルフィリーズを目標に調整されているようです。
既に勝ち上がりを果たした馬は他に10頭います。1位のレーヴデトワール(レーヴドスカーの2011)はデビュー戦となった10月5日の京都5R(2歳新馬・芝1600m)で勝利。ただし、10月26日の萩ステークス(2歳オープン・京都芝1800m外)では6着に敗れ、単勝1番人気の支持を裏切ってしまいました。次走は11月24日の白菊賞(2歳500万下・京都芝1600m)を予定しているとのこと(→関連記事)。実績あるコースで変わり身を見せられるでしょうか。
2位のラングレー(ラヴズオンリーミーの2011)は10月27日の東京4R(2歳新馬・芝2000m)で初勝利をマーク。次走は11月16日の東京スポーツ杯2歳ステークス(2歳GⅢ・東京芝1800m)を予定しています(→関連記事)。距離短縮や乗り替わりの影響が気になるものの、ここをあっさりと突破するようなら3歳クラシック戦線の最有力候補に躍り出そうですね。
5位のトーセンスターダム(アドマイヤキラメキの2011)は2012年のセレクトセールで2億6250万円の値がついた馬。10月20日の京都5R(2歳新馬・芝1800m外)でデビューし、単勝オッズ1.6倍の断然人気に応えて勝ち上がりを果たしました。次走は11月23日の京都2歳ステークス(2歳オープン・京都芝2000m)となる模様(→関連記事)。前走の内容や京都2歳ステークスのレース傾向を考えると、出走頭数と枠順がひとつのポイントになりそうです。
6位のオリハルコン(シルヴァースカヤの2011)はデビュー3戦目となった11月9日の京都2R(2歳未勝利・芝1600m)で優勝。まだまだ奥のある馬だと思いますが、昇級緒戦となる次走が試金石でしょう。
7位のモンドシャルナ(ウインドインハーヘアの2011)はディープインパクトの半弟。単勝オッズ1.3倍の支持を集めた10月26日の京都5R(2歳新馬・芝2000m)で初勝利をマークしています。次走は少し間隔を空けて12月21日のラジオNIKKEI杯2歳ステークス(2歳GⅢ・阪神芝2000m)になりそう(→関連記事)。ディープインパクトの初勝利は2歳時の12月19日、2勝目は3歳時の1月22日でしたから、偉大な兄よりも早いペースでクラシック戦線の主役に躍り出る可能性すらありますね。
8月10日の新潟5R(2歳新馬・芝1600m外)を圧勝した8位のサトノアラジン(マジックストームの2011)は、11月16日の東京スポーツ杯2歳ステークス(2歳GⅢ・東京芝1800m)に出走予定。『ウマニティ』公認プロのサラマッポさんも「ダービー最有力」と太鼓判を押している好素材です(→関連記事)。私も血統背景に惹かれてデビュー前から注目していましたし、復帰戦が楽しみで仕方ありません。
13位のエルノルテ(シーズオールエルティッシュの2011)は6月29日の中京5R(2歳新馬・芝1400m)で初陣を飾ったものの、10月12日のりんどう賞(2歳500万下・京都芝1400m)で4着に、11月9日のファンタジーステークス(2歳GⅢ・京都芝1400m外)で9着に敗れてしまいました。もっとも、私自身が馬券を買ううえで軽視していたように、ここ2戦のレース条件がこの馬に向いていたとはとても思えません。指名した人間としての贔屓目はあるかもしれませんが、京都芝1600m外や阪神芝1600m外のレースを使えば変わってくるはず。次走以降の馬券で鬱憤を晴らしたいところです。
16位のテスタメント(ブラックエンブレムの2011)は10月12日の東京5R(2歳新馬・芝2000m)で優勝。現在は帰厩しており、11月24日のベゴニア賞(2歳500万下・東京芝1600m)に出走を予定しています(→関連記事)。2ハロンの距離短縮を難なくこなすようなら、来春のクラシック戦線だけでなく年末の朝日杯フューチュリティステークス(2歳GⅠ・中山芝1600m)でも注目を集めることになるでしょう。
17位のシャドウダンサー(ダンスインザムードの2011)は9月15日の阪神5R(2歳新馬・芝1800m外)で初勝利を挙げた後、11月9日の黄菊賞(2歳500万下・芝1800m外)に出走。レース序盤の位置取りが災いして2着に敗れたものの、終盤の脚色は際立っていました。デビュー戦が単勝2番人気、黄菊賞も単勝4番人気止まりだったように、派手な血統背景のわりにはそれほど人気が沸騰しないタイプ。来春のクラシック戦線でも好配当をもたらしてくれるのではないかと見ています。
18位のダイワレジェンド(ダイワスカーレットの2011)は10月27日の東京2R(2歳未勝利・芝1600m)で優勝。次走は11月24日のベゴニア賞(2歳500万下・東京芝1600m)を予定しているとのことでした。母の父にアグネスタキオンを持つ馬は全体的に苦戦していて、今のところJRA重賞やオープン特別で連対を果たした馬は皆無。2歳限定の500万下で連対を果たしたのも、2012年12月24日の冬桜賞(2歳500万下・中山ダート1200m)を勝ったルミナスウイングだけです。アグネスタキオンの代表産駒を母に持つこの馬がどこまでやれるのか、今後も注意深く見守っていこうと思います。
デビューを果たしながらまだ勝ち上がっていない馬は5頭。3位のベルキャニオン(クロウキャニオンの2011)は10月27日の東京4R(2歳新馬・芝2000m)でラングレーの2着に敗れてしまいました。もっとも、上がり3ハロンタイムではラングレーを上回っていましたし、3着だったゼウスバローズが11月9日の京都4R(2歳未勝利・芝2000m)を勝ち上がっていますから、“順番”はすぐに回ってくるでしょう。
12位のオリエンタルポピー(トールポピーの2011)は単勝1番人気に支持された9月22日の阪神5R(2歳新馬・芝1600m外)で9着に敗退。ただ、入厩後に一頓挫あった馬なので、これから変わり身を見せる可能性は十分にあると思います。
15位のパリーアーク(ムーンライトダンスの2011)は7月28日の函館5R(2歳新馬・芝1800m)で3着。10月に復帰予定だったものの、直前で一頓挫あり、現在は放牧に出ているとのことです。まだまだ焦る時期ではありませんが、復帰の時期がひとつのポイントになるでしょう。
19位のガリバルディ(シェンクの2011)は8月3日の新潟5Rで2着。現在は帰厩しており、早ければ11月16日の京都3R(2歳未勝利・芝1800m外)で復帰するとのことでした。前走で敗れたクラリティシチーは、10月19日のいちょうステークス(2歳オープン・東京芝1800m)で2着馬とクビ差の3着に好走。順当ならこの馬もすぐに勝ち上がれると思います。
20位のロザリンド(シーザリオの2011)は単勝オッズ1.4倍の支持を集めた11月3日の京都3R(2歳新馬・芝1600m)で11着に敗退。コース適性に疑問が残る一戦だったとはいえ、兄のトゥエルフスナイトやエピファネイアはデビュー戦を難なく勝ったわけですし、さすがにちょっと心配です。
残る4頭のうち、4位のサングレアル(ビワハイジの2011)と10位のボージェスト(アドマイヤグルーヴの2011)は既に入厩済み。サングレアルはゲート試験に合格しており、ボージェストは11月16日の京都6R(2歳新馬・芝1600m)に出走を予定しています。
14位のトレジャーマップ(ポイントフラッグの2011)はゴールドシップの全弟。馬名は決まりましたが、デビューまでにはもう少し時間がかかるかもしれません。
9位のグレンシーラ(ドナブリーニの2011)は7月に左前脚の骨折が判明し、現在もノーザンファーム空港で調整中。ジェンティルドンナの半弟という世代屈指の良血馬だけに、長い目で見守りたいところです。
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(次回は12/19に更新の予定です)
■執筆者プロフィール
伊吹 雅也(いぶき・まさや)
埼玉県桶川市在住のフリーライター、コピーライター、競馬評論家。的確でわかりやすいデータ分析に定評があり、現在は『JRAホームページ』内「今週の注目レース」で“データ分析”のコーナーを担当しているほか、さまざまなメディアに活躍の場を広げている。競走馬への一口出資やペーパーオーナーゲーム(POG)にも造詣が深く、現4歳世代のPOGでは、参加したすべてのドラフト(いずれも参加者20名以上)においてジェンティルドンナの単独1位指名に成功。現3歳世代も“赤本”こと『POGの達人』(光文社)誌上においてカミノタサハラ、コディーノ、フラムドグロワールらを推奨し、推奨馬の獲得賞金ランキング(皐月賞終了時点)で1位を獲得した。近著に『門外不出! 投票データから分かった! WIN5の鋭い買い方』(東邦出版)、『WIN5(五重勝)ほど儲かる馬券はない!! 少点数で驚愕配当をモノにする絶対的セオリー(競馬王新書)』(白夜書房)。 |
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予想のメキキ ~2011年 阪神ジュベナイルフィリーズ~ 『走法のサラマッポ vs 血統の栗山』
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今週は阪神JF、来週は朝日杯FSと、2週続けて2歳GⅠが行われます。初コース、初距離の馬が多いため、やってみなければわからない度は、古馬GⅠの比になりません。
この2レースを制すには、キャリアの浅い馬の未知なる適性とパフォーマンスの伸びしろを読む能力が必要とされますよね。
そこで、今週と来週は特別バージョンといたしまして、2・3歳戦を得意とする適性予想のスペシャリスト2人に登場してもらうことにしました。
血統の栗山求さん、そして馬体・走法のサラマッポさん。
両者それぞれに、有力と目されている馬のなかから5頭(今週はアイムユアーズ、エピセアローム、ファインチョイス、サウンドオブハート、ジョワドヴィーヴル)と、その他の注目馬を取り上げ、コース適性、展開想定も含めたレース適性について分析してもらいます。ぜひとも、予想の参考になさってください。
■アイムユアーズ
[栗山の見解]
ファルブラヴ産駒は基本的に1600mよりも1400mのほうが合いますが、この馬は母の父がエルコンドルパサーなので1ハロンの距離延長は問題なさそうです。差し馬優勢のレースなので脚質的にも合うでしょう。不安があるとすれば直線の坂ですかね。
[サラマッポの見解]
首や脚が短くコンパクトな馬体、走法の馬で、1400m以下が向きそうですね。タフな阪神マイルコースでは最後に失速しそうな気がします。
■エピセアローム
[栗山の見解]
前走の小倉2歳Sは終始外を回りながら、直線で垂れるどころかグンと突き抜けました。父ダイワメジャー譲りの心肺機能の高さを備えているということでしょう。一方でダイワメジャー産駒は鋭さ負けするシーンもよく目にするので、ラストの切れ味勝負になった際が若干心配です。
[サラマッポの見解]
馬体、走法から距離延長は問題ありませんが、1200mの前走でも引っかかっていたように折り合い面に課題が残ります。あとは、デビューから3戦とも渋った馬場(デビュー戦は稍重から良馬場になった直後の馬場)だったことも気がかりです。かきこみ走法なので渋った馬場は得意ですが、パンパンの良馬場になったときにパフォーマンス低下の可能性があると認識しておいたほうがいいでしょう。
※かきこみ走法についての解説はコチラ
■ファインチョイス
[栗山の見解]
アドマイヤムーン産駒は1200m、1400mでは連対率が40%を超えるものの、マイル戦ではわずか10%と、この距離を苦手としています。母が「タイキシャトル×カポーティ」という軽い配合なので、スピードを生かす競馬のほうが合っているでしょう。マイルのGⅠではやや荷が重いかもしれません。
[サラマッポの見解]
バランスの良い馬体、走法だけを見る限り、距離延長は問題なさそうです。ただ、行きたがる気性なので、マイルの流れではスムーズさを欠いて、最後の伸び脚に影響するかもしれません。
■サウンドオブハート
[栗山の見解]
アグネスタキオン産駒らしい素軽さと決め手を持った馬ですね。アグネスタキオンは昨年の勝ち馬レーヴディソールの父でもあり、産駒は当レースで【1・1・1・1】と高い実績を誇っています。器用さがあるので確実に上位争いに加わってくると思いますが、勝ち切るにはやや配合がアッサリしすぎているような気も……。2~3着候補でしょうかね。
[サラマッポの見解]
前脚の伸びが少ない走法の馬なので、本質的には1400m以下のほうがいいでしょう。折り合い面にも不安があり、昨年ダンスファンタジアで引っかかった、武豊騎手への乗り替わりという点も気がかりです。
■ジョワドヴィーヴル
[栗山の見解]
ブエナビスタの半妹でトーセンレーヴの全妹です。阪神芝1600mはまぎれが少なく総合力が如実に表れるコースで、キャリアやペース云々は関係なく、素質が高ければ来るし、なければ馬群に沈みます。この馬に血統的な不安点はありません。
[サラマッポの見解]
良血馬らしく、好バランスの走法、キレイなシルエットの馬体の持ち主です。ただ悪い見方をすると、キレイすぎるぶん、非力にも感じます。デビュー戦のような軽い芝での上がり勝負は確実に向いていそうですが、阪神コースのタフな馬場、GⅠらしいタフな流れになったときにどうかという不安はありますね。胸囲が大きいので、心肺機能は確実に高そうですが……。
■その他注目馬
[栗山の注目馬・アンチュラス]
枠順が決まって妙味が出てきたのは、1番枠に入ったこの馬ですね。距離延長は不利ですが、この枠なら前走と同じく周りに馬を置けるので、引っ掛かる心配がなくなりました。面白い存在だと思いますよ。
[サラマッポの注目馬①・アナスタシアブルー]
牝馬にしては珍しく、腹回りがどっしりしていて、持久力は抜群というタイプです。GⅠ、阪神コースということで、タフなレースになりそうな今回は、その持ち味を生かせると思います。この馬もかかり癖がありますが、馬へのあたりが強い安藤騎手からの乗り替わりと距離短縮で、前走よりはスムーズなレースができるはずです。
[サラマッポの注目馬②・マイネボヌール]
好バランス走法の馬なので、タフなレースになれば相対的に浮上してきそうな気がします。前走のマイルの不良馬場での余裕のある勝ちっぷりからも、タフな流れは合っているでしょう。つなぎが柔らかいので、良馬場がベストのはずです。馬場、流れが合いそうな今回は一発があっても不思議ではありません。
以上、阪神ジュベナイルフィリーズの有力馬&注目馬について、適性予想のスペシャリストに語ってもらいました。
2人の最終結論を知りたい方は、レース当日のプロ予想MAXにてご確認ください。
次週の朝日杯フューチュリティステークスの回もお楽しみに!
>>サラマッポプロの最新予想はこちら
>>栗山プロの最新予想こちら
>>第63回 阪神ジュベナイルF(GI)の出馬表はこちら |
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