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菊花賞は武豊騎手のワールドプレミアが勝利。
実は予想段階で過去のレースを振り返った際に、1996年のダンスインザダークもさることながら、2000年のエアシャカールの騎乗を見て、改めて淀の長丁場における武豊は上手いなぁと感心していたのである。
最終的にワールドプレミアは4番手評価に留めたが、スタートから少し促して位置を取り、道中はリラックスして好位追走、4角で各馬が動き出して行った際もまだじっと脚を溜め、直線鮮やかに弾ける。京都の3000mはこう乗れ、という教科書のような騎乗ぶりに改めて唸らされた。
2着福永騎手も同様に、ちょうど3年前のレインボーラインのようなコース取りで淀の3000mを乗り切った。そういえば2007年だったか、春の天皇賞でメイショウサムソンの2着に好走したエリモエクスパイアという馬も福永騎手騎乗だったことを思い出す。大舞台はすっかり外国人騎手が席巻するのにも見慣れてしまったが、京都の長丁場になるとJRAジョッキーの当たりの柔らかさが生きて来る。
~注目の2強はともに有力
さて、今週末は天皇賞(秋)。サートゥルナーリアが参戦を表明してくれたおかげで、アーモンドアイとの対決という、この秋G1屈指の好カードが実現した。
アーモンドアイは安田記念で3着に敗れて以来の1戦。安田記念ではスタートで後手を踏んだ上にゴチャつく苦しいスタート。道中は久々のマイル戦もあってかやや置かれ気味だったが、それでも直線は鋭く伸びて上位に迫った。3着とはいえ、文字通り負けて強しと言える内容だ。
負けて強し―。
競馬においてはこの言葉には少々警戒しなくてはいけない。ある意味、不器用で大外を回すしかない馬は、毎度毎度負けて強しのように見えてしまいがちだからである。
だが、アーモンドアイの場合は本来器用な競馬もできる馬である。だからこそ、素直に負けて強しということで良いだろう。東京2000mの方がレースはしやすいはずだし、改めて主役級の評価をしたい。
一方、3歳サートゥルナーリアも神戸新聞杯から菊花賞をスキップしてコチラに回ってきた。ダービーではレーン騎手初騎乗の上にスタートで後手を踏み、さらに4角では少々強引な押し上げ。結果的に道中でのロスが響き直線は伸び切れなかったが、それでも展開を考えればこちらも負けて強しと言える内容だった。
秋初戦の神戸新聞杯は弾けるような行きっぷりで完勝。ダービーの反省も踏まえて今回は気性面へのケアも念入りのようで、同じ轍を踏む可能性は低いとみる。素直に有力として良いだろう。
~予想と同時に買い方も重要な一戦
本来であれば2強危うし、と書いた方が読者の方の引きは良いのだろうが、センセーショナリズムに走って本来の能力評価を誤っていては元も子もない。今回に関して言えば2強といわれる2頭はどちらも素直に有力視して良いと考えている。何でもかんでも疑うことや捻ることが正解ではない。
しかし、1997年の”バブル&エア対決”が実現した、エアグルーヴとバブルガムフェローのワンツー。
2000年、”2度あることは3度ある”のテイエムオペラオーとメイショウドトウのワンツー、これらの時代と異なることがある。
それは、馬単、そして、3連複&3連単の存在だ。そう、今は2強が有力でもあと一頭を探すことで、十分儲けに繋げることができる。
1997年であれば、断然人気は2着に敗れたバブルガムフェローの方だったから、馬単ならばそれなりに儲けることが可能だっただろうし、2000年は3着に中穴のトゥナンテが突っ込んできたことで、3連系の馬券はそこそこついただろう。
今回は恐らくダノンプレミアム、ワグネリアンあたりが2強に次ぐ人気となりそうだが、この2頭ならばワグネリアンを有力視したい。大阪杯、札幌記念はいずれも道中で行きたがるしぐさを見せており、今回アエロリットの参戦でペースが引き締まりそうなのは大きなプラス材料だろう。もともと東京コースが得意なタイプであり、過去2度の同舞台では、東スポ杯2歳Sを圧勝、さらにダービー制覇といずれも好内容のレースを見せている。
その他の馬の中では、前述のアエロリット他、スワーヴリチャード、アルアインあたりが支持されそうだが、どの馬も一長一短という印象。
アエロリットは2000mになると不安の方が大きく、恐らくベストは1800m以下だろう。
スワーヴリチャードは馬場、枠など条件が揃った宝塚記念で3着止まり。当時は本命にして期待したが、正直物足りない内容だった。
アルアインは大阪杯で皐月賞以来久々のG1制覇を成し遂げたが、展開や枠順など、コチラもすべてがハマった印象が強い。どちらかといえば切れ味よりも持久力型で、東京コースへの適性も疑問だ。
以上のことからも、2強以外は案外混戦模様だ。馬券を買うならば、3連複で2強+伏兵。あるいは3連単で2強→2強⇔伏兵、のような買い方も面白いかもしれない。現代競馬は予想も大事だが、それを生かせるかどうかは買い方次第。
予想という”素材”を生かすためにも、良い買い方という”調理方法”を意識して臨みたい一戦だ。個人的に結構自信があるので、当たっても外れても、その顛末はまた次週のコラムでお伝えしたい。
※天皇賞(秋)の結論は、『TAROの競馬』にて無料公開予定。また、馬券の買い方や券種の選び方なども含めた結論は、競馬ノートにて限定配信の予定です。
○TARO プロフィール
大川慶次郎さんの予想に魅了され、中学2年の時にネット掲示板で予想スタート。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2009年9月『競馬最強の法則』で連載開始。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。著書に『ラッキーゲート』
(KKベストセラーズ)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(いずれも扶桑社新書)、『万馬券の教科書 -新時代のサバイバル穴予想術』(ガイドワークス)。
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