第53回共同通信杯(10日、東京11R、GIII、3歳オープン国際(特指)、別定、芝1800メートル、1着本賞金3800万円 =出走7頭)戸崎騎乗の3番人気ダノンキングリーが直線で内から鋭く伸びて、無敗の2歳王者アドマイヤマーズを撃破。クラシックの登竜門を、デビュー3連勝で制した。タイム1分46秒8(良)。この後は皐月賞(4月14日、中山、GI、芝2000メートル)が視野に入る。アドマイヤマーズは1馬身1/4差の2着に敗れた。
寒波の余韻が残る府中で、無敗の2歳王者の牙城を打ち砕く見事な末脚を披露した。ディープインパクト産駒のダノンキングリーが、4番手のインから上がり3ハロン32秒9という究極の瞬発力を繰り出し、アドマイヤマーズに1馬身1/4差をつける完封ショー。デビューからの連勝を「3」に伸ばして、クラシックの有力候補に名乗りを上げた。
「一戦ごとに必ず何か成長が感じられる。2歳チャンピオンを見ながら進めて、それを負かしたのだから今後が楽しみ。1800メートルでこの脚が使えたのは収穫」
10年連続のJRA重賞勝利となった戸崎騎手が、爽やかな表情で相棒をたたえた。新馬戦のころは「体をあまり使えず硬さも感じた」というが、2戦目のひいらぎ賞では「バネがすごく、初戦とは全然違った」と急上昇を実感。そして今回は最終追い切りの段階で「少し体に幅が出て、しっかりした」印象を受けていた。右肩上がりの成長力で、2歳王者に初めて土をつけた。
それにしても“ダノン軍団”の勢いが半端ない。今年はすでに重賞を3勝。野田順弘オーナーも「馬主を15年くらいやっているけれど、素晴らしい年を迎えている。人生の運が回ってきた」と満面の笑みだ。
デビュー3連勝とあれば、当然1冠目の皐月賞が視野に入ってくる。萩原調教師も「強い競馬で、特にいいスピードを見せてくれた。大きいところを目指していくことになると思う」と大舞台を意識する。
過去7年の優勝馬のうち5頭が後にGI馬へと成り上がった名馬への登竜門を、レース史上2番目に速い1分46秒8で制したダノンキングリー。その名の通り、王位に君臨する日は近そうだ。 (板津雄志)
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★続々と重賞勝ち 好調ダノン軍団
クラシック路線はキングリーに加え、きさらぎ賞を勝ったダノンチェイサー、そして2歳女王ダノンファンタジー(チューリップ賞で始動)と牡牝ともに盤石の布陣。古馬短距離路線にも主役候補のダノンスマッシュがおり、一昨年の2歳王者ダノンプレミアムも金鯱賞で復帰と明るい話題ばかりだ。