牝馬クラシック第2弾となる
オークス(20日、東京、GI、芝2400メートル)の追い切りが16日に行われ、
桜花賞馬
アーモンドアイ(美浦・
国枝栄厩舎、牝3歳)が茨城・美浦トレセンで抜群の動きを見せた。クリストフ・ルメール騎手(38)を背に、パートナーを追いかけて併入ながら非凡な瞬発力を披露。サンケイスポーツ調教評価も最高の『S』で、2冠達成に向けて万全の態勢を整えた。
まるで突風が吹いたかのようだった。届きそうもない差を一瞬で詰める加速力は、
桜花賞の切れ味そのまま。汗ばむ熱気の中でも、涼しげな瞳を輝かせて
アーモンドアイが走り抜けた。
「すごくよかった。ゆっくり行っても、こちらがお願いしたらすぐに動いてくれる。
オークスは大きなレース。トップコンディションが必要ですけど、そうなりました」
感触を確かめたルメール騎手が興奮気味になるほど完璧だった。
Wコースに登場した
アーモンドアイは、
レッドローゼス(1600万下)を3馬身ほど追いかける。ゆったりした走りで、直線に入っても相手は2馬身ほど前。追いつかないのかと思った瞬間、鞍上のゴーサインに応えて一気に加速する。残り50メートルほどの間に、追いついて馬体を並べてフィニッシュ。ゴールを過ぎると、逆に相手を突き放していった。6ハロン84秒7、ラスト1ハロンは馬なりで12秒3の瞬発力だ。
「先週もしっかりやっている(Wコース6ハロン81秒4)から、今週はやり過ぎないように。直線を向いて、1完歩待ってからのアクションがよかったね。問題ない」
見届けた国枝調教師も満足の内容だ。
桜花賞の後は福島のノーザンファーム天栄で放牧。「厩舎に帰ってきてからはメンタル面も含めて気になるところはない」と順調さに笑顔をみせた。
レース当日に39歳の誕生日を迎えるルメールは、
ソウルスターリングに続く
オークス連覇がかかるが、「今年の方が自信があります」ときっぱり。
「昨年は
桜花賞(3着)で負けて、距離も少し心配でした。今回は距離の心配がありません。
桜花賞も勝っているし、日本一の馬です」。普段から前向きなルメールとはいえ、ここまで絶賛するのも珍しい。2週前の
NHKマイルCは
タワーオブロンドンで12着と1番人気を裏切ったが、先週は
京王杯SCを4番人気の
ムーンクエイクでV。流れは悪くない。
国枝厩舎は2010年に
アパパネで牝馬3冠を達成。「折り合いを欠かなければ距離は大丈夫。前回の競馬ができれば大丈夫でしょう」と、調教師は自信を見せる。
桜の衝撃を今度は東京で-。今年の
オークスは
アーモンドアイが名馬へと歩み出す第2章となりそうだ。 (柴田章利)