第53回クイーンカップ(12日、東京11R、GIII、3歳牝馬オープン国際(特指)、別定、芝1600メートル、1着本賞金3500万円 =出走16頭)3番人気の
テトラドラクマが好スタートから主導権を握り、府中の長い直線を力強く押し切った。通算2勝目で重賞は初制覇。12日に34歳になった田辺騎手は、誕生日を師匠の小西調教師との重賞Vで飾った。タイム1分33秒7(良)。今後は
桜花賞(4月8日、阪神、GI、芝1600メートル)、
NHKマイルC(5月6日、東京、GI、芝1600メートル)などが視野に入る。1番人気の
マウレアは3番手から伸びきれず5着に敗れた。
デビュー17年目。関東を背負う立場まで力をつけた田辺騎手にとって、34歳のバースデーは特別な日になった。
テトラドラクマを強気の騎乗で勝利に導き、2016年まで14年間師事した小西調教師に20年ぶりの重賞Vをプレゼント。師弟の絆で勝ち取った初めての重賞タイトルだ。
「すごくセンスがあるし、どんな相手でも一生懸命に頑張ってくれる。小西厩舎の馬で重賞を勝つのがいつになるのかと思ったけど、勝ててよかった。先生は20年ぶり。(自分より)そっちの方がうれしい」
“ダブルの喜び”に田辺騎手が笑みをこぼす。
初コンビながら、息はぴったり。トップスタートを切るとすかさずハナへ。外から競りかけられて、2ハロン目から11秒0-11秒0-11秒4の速いラップになったが、人馬ともひるむシーンはなし。「結構、いいペースでいったけど、馬とけんかするよりはリズムを大事にした」と鞍上は主導権を渡さず、3コーナー過ぎから先頭へ。直線で追い出してからの反応も抜群で、外から追撃してきた
フィニフティも余裕をもって3/4馬身差抑えた。
「人間が素直で、大変なこともあっただろうけど、真っすぐ成長してきた。一緒に勝てたのはやっぱりうれしい」
1998年1月のガーネットS(
スーパーナカヤマ)以来5度目のJRA重賞制覇となった小西師も弟子との勝利に感慨深げ。久々の美酒をもたらした
テトラドラクマにも「
フェアリーS(6着)は中山マイルの大外枠で難しかったけど、きょうはこの馬の良さが出せた。スピード、スタミナ、馬格もある。この感じなら男馬に入っても…」と賛辞を並べた。
マイルがベストという判断から、目標は
桜花賞か
NHKマイルCになりそう。いずれにしても、府中のマイルを早め先頭で押し切った
テトラドラクマの速力は、他陣営にとって大きな脅威だ。春のGI戦線も田辺騎手&小西師の師弟コンビが盛り上げる。(板津雄志)
★12日東京11R「
クイーンC」の着順&払戻金はこちら
テトラドラクマ 父
ルーラーシップ、母リビングプルーフ、母の父
ファルブラヴ。鹿毛の牝3歳。美浦・
小西一男厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は吉田勝己氏。戦績5戦2勝。獲得賞金4258万1000円。重賞初勝利。
クイーンCは
小西一男調教師、
田辺裕信騎手ともに初勝利。馬名は「古代ギリシャの銀貨の名称」。