蒼馬久一郎
スガダイ
とぅっけ
くりーく
第57回産経賞オールカマー(25日、中山11R、GII、3歳上オープン国際(指)、別定、芝・外2200メートル、1着本賞金6400万円 =出走9頭) グランプリホースはやはり強かった。断然の1番人気に支持された佐藤哲三騎乗のアーネストリーが、3番手から直線で力強く抜け出し完勝。宝塚記念V以来の実戦で圧倒的な強さを見せつけた。タイム2分11秒2(良)はレースレコード。今後は予定どおり、天皇賞・秋(10月30日、東京、GI、芝2000メートル)から有馬記念(12月25日、中山、GI、芝2500メートル)に向かう。 春の2冠馬が阪神で強い勝ち方をした約10分後、中山ではグランプリホースが堂々の横綱相撲を見せた。宝塚記念V以来、3カ月ぶりの実戦だったアーネストリーが、59キロの重い斤量をものともせず、完勝を収めて秋の好スタートを切った。 「涼しい顔して勝てたし、完成の域に入ったと思っていいでしょう」 この日、オールカマーの前後も含め10~12Rを3連勝と、手綱さばきが冴え渡った佐藤哲三騎手が笑顔で振り返った。 その言葉どおり、危なげのないレースぶりだった。軽やかな走りで道中は3番手を追走。4コーナーで馬なりのまま先頭に並びかけると、直線は数発のムチだけで後続をスッと突き放した。勝ちタイムの2分11秒2は、09年マツリダゴッホの2分11秒4を更新するレースレコード。内容、時計ともに、文句なしだ。 「見ている人はもっと瞬発力をつけて…とか思うかもしれないけど、今のままで強くなったほうが、かっこいい」 佐藤哲は先行して押し切るスタイルに磨きをかけて、さらなる進化を目指す構えだ。 体質の弱さで出世が遅れたアーネストリーだが、今回も予定していた札幌記念を捻挫で回避と、順調さを欠いた。症状は軽かったが、佐々木晶三調教師は今回、「70%のデキ」だったという。「それでも楽に勝ってくれたし、充実してきました」と、師も秋への期待を膨らませた。 この後は天皇賞・秋へ向かい、ジャパンCはパスして、有馬記念へ。来年はドバイシーマクラシックや凱旋門賞など、海外も視野に入れている。 「夢を持って携われる馬だし、馬も人も、もっと高みを目指さないと」と佐藤哲。世界にはばたくためにも、今秋、国内を制圧したい。 (柴田章利)