2017年4月30日()シャティン競馬場 芝2000m

香港クイーンエリザベス2世カップ 特集

レース結果 ~香港クイーンエリザベス2世カップ 2017~

  • 出走予定馬
  • 出馬表
  • レース結果



馬名 性齢 負担重量
(kg)
騎手 調教師 オッズ 人気
1 5 6    ネオリアリズム 牡6 57.0 J.モレイラ 堀宣行 3.3 2
2 8 3    パキスタンスター セ4 57.0 S.デソウサ A.クルーズ 4.6 3
3 1 2    ワーザー セ5 57.0 H.ボウマン J.ムーア 2.1 1
4 4 7    ブレイジングスピード セ8 57.0 N.カラン A.クルーズ 15.2 5
5 6 5    ザユナイテッドステイツ 牡7 57.0 B.プレブル R.ヒックモット 69.8 7
6 2 8    シークレットウェポン セ7 57.0 Z.パートン C.イプ 7.2 4
7 7 4    ディクトン 牡4 57.0 O.ペリエ G.ビエトリーニ 20.4 6
8 3 1    デザインズオンローム セ7 57.0 T.ベリー J.ムーア 102.4 8

■払戻金

単勝5 330円
複勝5 120円
8 130円
1 110円
馬連5-8 1,040円
ワイド5-8 330円
1-5 170円
1-8 180円
馬単5-8 1,920円
3連複1-5-8 500円
3連単5-8-1 3,970円

予想一覧を見る

会員登録(無料)すると予想を登録して予想コロシアム(予想大会)に参加できます。

※レース結果・払戻金・オッズなどのデータは、必ず主催者(JRA)発行のものと照合してください。

最新出走予定馬情報 ~香港クイーンエリザベス2世カップ 2017~

 第43回クイーンエリザベス2世カップ(30日、香港シャティン、8R、GI、3歳上、定量、芝・右2000メートル、優勝賞金1140万香港ドル=約1億5960万円=出走8頭)唯一の日本馬ネオリアリズムが、早め先頭から後続の追撃を振り切り、悲願のGI初制覇。このレースを日本馬が制したのは2002、03年のエイシンプレストン、12年のルーラーシップ以来、4度目。日本調教馬の海外GI35勝目となった。

 わき起こる“敵地”の歓声が称賛の嵐に変わった。ネオリアリズムが昨年12月以来、2度目の香港遠征で、6歳にしてついに国内外通じ、初のGIタイトルを獲得した。

 「途中から動いていく流れになって、難しさはあったけど、馬が頑張ってくれました。本当に、ビッグハート(強い気持ち)を持った馬だね」

 マジックマンの異名通りに変幻自在の騎乗を見せたモレイラ騎手が声を弾ませる。前半1000メートルの推定タイムが67秒3と日本では考えられないスローペース。だが、名手が判断よく“ひとまくり”で3コーナー手前で先頭へ。ここでリズムを取り戻すと、直線でも後続との差が詰まることなく、まんまと押し切った。

 初の海外遠征だった昨年12月の香港マイルは9着と大敗。堀調教師は「馬の学習能力に助けられました。前回よりもいい状態だった」と苦い経験を勝因のひとつにあげた。今回の勝利でJRAでは単独トップとなる海外GI6勝目となったトレーナーは「日本に帰って馬の状態を把握した上で、日本だけでなく、いろいろなレースを視野に入れたい」と今後について示唆した。

 2015年に豪GIのジョージライダーSを制した兄のリアルインパクトに続き、日本調教馬では初の“きょうだい海外GI制覇”のおまけもついた。同い年で同厩舎だった香港GI3勝馬モーリスは昨年引退。今度は遅咲きの大器が世界を席巻していく。(山口大輝)

★香港売り上げ

 今年のJRA・海外馬券発売第2弾となったクイーンエリザベス2世Cの売り上げは、7億9847万4700円だった。昨年12月に同じ香港で行われた香港スプリントの5億5326万200円より多く、香港マイルの8億9661万8800円には及ばなかった。JRAは「今回は少頭数のレースでもあり(売り上げの)苦戦も想定していました。中央競馬の発売が終了してからの売り上げがすごく伸びて、この数字になったのは健闘したといえるでしょう」と見解を示した。

ネオリアリズム 父ネオユニヴァース、母トキオリアリティー、母の父メドウレイク。栗毛の牡6歳。美浦・堀宣行厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)キャロットファーム。戦績18戦8勝(うち海外2戦1勝)。獲得賞金3億9315万9000円(海外1億5960万円)。重賞は2016年GII札幌記念、17年GII中山記念に次いで3勝目。クイーンエリザベス2世Cは堀宣行調教師、ジョアン・モレイラ騎手ともに初勝利。馬名は、「新現実主義。父、母名より連想」。

【QE2世C】日本馬ネオリアリズムが制す!香港でGI初制覇04月30日() 17:52

 4月30日に香港・シャティン競馬場で行われた第43回クイーンエリザベス2世カップ(GI、3歳以上、芝・右2000メートル、別定、8頭立て、優勝賞金1140万香港ドル=約1億6070万円)は、J・モレイラ騎手騎乗の日本馬で2番人気のネオリアリズム(牡6歳、美浦・堀宣行厩舎)が快勝。GI初制覇を達成するとともに、日本馬として2002、03年エイシンプレストン、12年ルーラーシップに次ぐ延べ4勝目を挙げた。タイムは2分04秒59(良)。

 ザユナイテッドステイツがハナを奪い、2番手に一昨年の覇者ブレイジングスピード、3番手にパキスタンスターが続く展開。昨年の勝ち馬ワーザーは4番手につけていた。5~6番手にいたネオリアリズムは、3コーナー手前の残り約1000メートルで一気に外から先頭に立つと、直線でも脚いろが衰えることはなく、後続の追撃をしのぎ切った。パキスタンスター(3番人気)がクビ差の2着で、3着はワーザー(1番人気)。ブレイジングスピード(5番人気)は4着だった。

 ネオリアリズムは、父ネオユニヴァース、母トキオリアリティー、母の父メドウレイクという血統。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬で、馬主は(有)キャロットファーム。通算成績は18戦8勝(うち海外2戦1勝)。重賞は16年札幌記念・GII、17年中山記念・GIIに次ぐ3勝目。クイーンエリザベス2世Cは、堀宣行調教師、J・モレイラ騎手ともに初勝利。

 ◆J・モレイラ騎手「先手をとるつもりでしたが、スタートがよくなかったので、我慢させなくてはなりませんでした。向こう正面でペースが遅くなったので、(残り約1000メートルで)外に出して前に行かせました。なかなかトップスピードに乗りませんでしたが、直線ではいい脚を(長く)使う自信があり、実際にそうなりました」

 ◆堀宣行調教師「昨年の12月(香港マイル=9着)に続いて2回目の香港遠征になりましたが、今回は馬の学習能力にも助けられ、前回よりいいコンディションで出走させることができ、いいレースをお見せすることができました。今後については、日本に帰ってからの馬の状態を見て、レースを選択していきたいと思います」

[もっと見る]

【香港QE2世C】ネオリアリズム態勢整った!04月30日() 05:06

 日本の(5)ネオリアリズムは、オールウエザー(AW)コースを1周。報道陣の多さにテンションが上がる場面もみられたが、直線では素軽い走りを見せた。「状態を確認するため、追い切り後はじめてのキャンターをしました。いい状態ですし、馬の精神面も落ち着いています」と堀調教師。GI初制覇に向けて、態勢は整った。

 昨シーズンの香港年度代表馬(1)ワーザーは、キャンターでAWコースを1周半。ムーア調教師は「すべて予定通りにきて、態勢は整いました。出走馬のなかで、飛び抜けたスピードがあるわけではないが、地の利があるし、迎え撃つ準備はできている」と連覇に自信をのぞかせた。

[もっと見る]

【香港QE2世C】うまやの話04月30日() 05:05

 (1)ワーザー・ムーア師 「前走は距離が短かったし、スムーズではなかった。状態は上向いているし、今年もいい競馬をしてくれるはず」

 (2)シークレットウェポン・パートン騎手 「前に乗ったときは落ち着きがなかったが、今回はいい。ワーザーやネオリアリズムは強いが、自分の力は出せると思う」

 (3)デザインズオンローム・ムーア師 「ここまでは順調な調整ができたが、年齢的に衰えがあるし、どこまで…」

 (4)ブレイジングスピード・カラン騎手 「前走は前哨戦としてちょうどいいレース。2ハロン延長は歓迎。相手は強いけど、どんな競馬でもできるのは強み」

 (5)ネオリアリズム・堀師 「日本にいるときと同じように落ち着いている。当日の馬や馬場の状態などを見てジョッキーと作戦を決めたい」

 (6)ザユナイテッドステイツ・ヒックモット師 「到着して日が浅いのでしばらく馬場入りしなかった。状態は問題ない。今回で引退になるので有終の美を飾りたいね」

 (7)ディクトン・ビエトリーニ師 「いい状態。距離はもっと長い方が良さそう。距離に対応できるように調整してきた」

 (8)パキスタンスター・クルーズ師 「状態は非常にいい。ここ数戦は勝った馬(ラッパードラゴン)が強かっただけ。馬群の中でも競馬ができるようになった」

[もっと見る]

【香港QEII】ネオリアリズム発馬対策も入念04月29日() 05:00

 【香港28日=山口大輝】クイーンエリザベス2世カップ(30日、シャティン、GI、芝2000メートル)に出走するネオリアリズム(美・堀、牡6)はシャティン競馬場でゲート練習を行った。現地での注目度は日を追うごとに高まっており、他陣営は警戒心を示している。

 23日の到着後、着実に準備を整えてきたネオリアリズムは、ゲート練習を行った。枠内駐立を確認し、少し嫌がるそぶりを見せたが、無事にクリア。堀調教師は「きのう(27日)の追い切り後の歩様を確認しましたが、問題ないですね。日本にいるときと変わらずにきています。ゲートボーイはつけません」とコメントした。

 GIは勝っていないが、ブックメーカーの評価では最有力候補。昨年の覇者ワーザーのムーア調教師が「モーリスを破った馬だろ?」と実績を知っていれば、シークレットウェポンのパートン騎手も「ワーザーとネオリアリズムが手ごわい相手になりそうだね」と警戒している。

[もっと見る]

【香港QEII】馬体重発表~ネオリアリズムは510キロ04月28日(金) 19:42

 『第43回クイーンエリザベス2世カップ』(4月30日、香港・シャティン競馬場、8R、GI、3歳以上、芝・右2000メートル)の出走予定馬8頭(全馬がシャティン競馬場の厩舎に滞在)の馬体重を香港ジョッキークラブが発表した。この馬体重は4月28日(金)に計量されたもの(ポンドからキログラム表記に換算済み)。なお、これ以降の馬体重の計量、発表はない。

[1]ワーザー 469キロ(前走時469キロ)[2]シークレットウェポン 506キロ(前走時516キロ)[3]デザインズオンローム 483キロ(前走時487キロ)[4]ブレイジングスピード 532キロ(前走時529キロ)[5]ネオリアリズム 510キロ(前走時514キロ)[6]ザユナイテッドステイツ 522キロ(前走時 不明)[7]ディクトン 481キロ(前走時 不明)[8]パキスタンスター 514キロ(前走時503キロ)

ネオリアリズムの競走成績はこちら

[もっと見る]

【香港QEII】金曜朝にネオリアリズムはゲート練習04月28日(金) 17:19

 『第43回クイーンエリザベス2世カップ』(4月30日、香港・シャティン競馬場、8R、GI、3歳以上、芝・右2000メートル)の出走予定馬で、水曜、木曜と馬場入りせずに検疫厩舎で調整していたザユナイテッドステイツ(牡7歳、オーストラリア・R.ヒックモット厩舎)が、金曜朝にシャティン競馬場の芝コースで時計を出した。軽いキャンターの2周目の直線でしまいを伸ばして2ハロン23秒3をマーク。感触を確かめたB.プレブル騎手は「今朝の走りに感銘を受けた。すこぶる健康で素敵な馬です。輸送で大変な思いをしたようだが、輸送や環境の変化による悪影響は感じられない」と語った。

 木曜日にJ.モレイラ騎手がまたがって芝コースで追い切ったネオリアリズム(牡6歳、日本・堀宣行厩舎)は、金曜朝は金子調教助手が乗ってゲート練習をおこなった。

 「追い切りの翌日となる今朝、歩様をチェックしました。柔軟性があってすべての面でいいですね。自厩舎にいるみたいに落ち着いています。レースでは発走補助員は必要ないでしょう」と堀調教師。

ネオリアリズムの競走成績はこちら

[もっと見る]

【香港QEII】ネオリアリズム、初戴冠へ軽快リハ04月28日(金) 05:03

 【香港27日=山口大輝】クイーンエリザベス2世カップ(30日、シャティン、GI、芝2000メートル)に出走する日本馬ネオリアリズム(美・堀、牡6)が、シャティン競馬場の芝コースで追い切りを行った。初騎乗のジョアン・モレイラ騎手(33)を背に、軽快な動きを披露。枠順も(6)番枠に決定し、初GI制覇に向けて視界は良好だ。

 降りしきる雨もお構いなしに、さっそうと駆け抜けた。ネオリアリズムが軽快な最終追いを披露。手綱を取ったモレイラ騎手もノリノリだ。

 「伸びやかな動きだったよ。態勢は整ったね。すごい元気で、いい印象だった」

 ウオーミングアップを終えて徐々に加速。直線は大外を通って、馬なりで4ハロン56秒8(2ハロン23秒6)をマークした。鞍上は「ロックンロール!」とハイテンション。堀調教師も「(香港は)2回目で輸送もスムーズでした。けさ、(到着後)初めて見たのですが、馬は落ち着いていますね」と納得の表情を浮かべた。

 午後0時半からの枠順抽選会では、(6)番枠をゲット。「あまり気にしてはいませんでした。この馬は己との戦いです。ただ、精神的に成長していますよ」と金子助手も成長ぶりを強調する。“マジックマン”モレイラの起用で、欧州ブックメーカーでは1番人気。世界のファンを驚かせる態勢は整った。

[もっと見る]

【香港QEII】ワーザー、連覇へ気合6ハロン80秒004月28日(金) 05:02

 昨シーズンの香港年度代表馬で、連覇を狙うワーザーは、芝コースでの2頭併せ。6ハロン80秒0(ラスト2ハロン22秒9)をマークし、びっしりと負荷をかけられた。ムーア調教師は「昨年と同じぐらいのいい状態にあります。いい追い切りができました」と笑顔。休み明けから3戦を消化して、態勢は万全だ。

[もっと見る]

【香港QEII】ネオリアリズムは芝で4F56秒804月27日(木) 18:31

 『第43回クイーンエリザベス2世カップ』(4月30日、香港・シャティン競馬場、8R、GI、3歳以上、芝・右2000メートル、優勝賞金1140万香港ドル=約1億6070万円、16時35分発走予定=日本時間17時35分)の出走馬8頭の追い切りが、27日(木)にシャティン競馬場で行われた。

 (1)ワーザーは芝コースでS.クリッパートン騎手を背に(レースはH.ボウマン騎手が騎乗)、併せ馬で6ハロン80秒0、ラスト2ハロン22秒9をマークした。「昨年同じぐらいのいい状態にあります。いい追い切りができました。今朝の動きは私が見たいと思っていたものでした」とJ.ムーア調教師。

 (2)シークレットウェポンはオールウエザーコースでZ.パートン騎手を背に、4ハロン56秒1-2ハロン25秒9。「予定通りの追い切りができました。月曜日にもジョッキーに乗ってもらって(芝コースで6ハロン77秒3)、『足りない』といっていたが、きょうの感じなら仕上がっていると判断して、オールウエザーにしました」とP.イプ調教師。

 (3)デザインズオンロームは芝コースで併せ馬。6ハロン87秒4、ラスト2ハロン26秒0。「いい追い切りでした。仕上がりは万全です。でも、彼の最盛期は過ぎてしまったと感じています。年齢的な衰えはあると思うし、3、4着ならば満足な結果。それ以上に前の着順ならば望外の喜びです」とJ.ムーア調教師。

 (4)ブレイジングスピードはオールウエザーコースで併せ馬。4ハロン54秒1-2ハロン25秒3をマークした。「状態面でも、肉体面でも100%」とA.クルーズ調教師。

 (5)ネオリアリズムは芝コースでJ.モレイラ騎手を背に、4ハロン56秒8-2ハロン23秒6をマーク。「とても良い印象を受けた。とても状態が良く、自由で、ロックンロールの準備はできているよ。レースまでにさらに状態を上げてくるだろうし、大きなチャンスがあると思う」とモレイラ騎手。

 (6)ザユナイテッドステイツは検疫厩舎で調整。同馬は水曜日にも馬場入りはしなかったが、そのときのパートオーナーのN.ウィリアムズ氏の談話は以下の通り。「金曜朝にプレブル騎手が芝コースを乗った感覚で、土曜日にどれだけ追うか調教師が決めることになると思う」。

 (7)ディクトンは芝コースで6ハロン87秒4、ラスト2ハロン26秒0をマーク。「環境にうまく適応して、ここまで、順調にきています。香港へのフライトの前に、先週の水曜日にメゾンラフィット競馬場で1800メートルの追い切りをしています。馬場は緩くなった方がいいですね」とゴードンレーシングマネージャー。

 (8)パキスタンスターはオールウエザーコースで4ハロン60秒4-2ハロン28秒0の軽めの追い切り。「彼は成熟する途上の馬。前走もよく頑張ってくれたし、今度もやってくれると思う。いつもと同じいい状態だよ」とA.クルーズ調教師。

[もっと見る]

⇒もっと見る

厳選コラム ~香港クイーンエリザベス2世カップ 2017~

9月から翌年7月までを1シーズンとする香港競馬では、12月の香港C(GⅠ)が芝2000m路線のシーズン最初のビッグレースとなり、このクイーンエリザベス2世C(GⅠ)が後半の大一番に位置付けられている。その他に、シーズン中盤の2月には香港三冠の第二戦、香港ゴールドC(GⅠ)がある。ちなみに香港の三冠は古馬がその対象で、1月のスチュワーズC(GⅠ、芝1600m)、2月の香港ゴールドC、5月の香港チャンピオンズ&チャターC(GⅠ、芝2400m)の3戦で行われる。

今年のクイーンエリザベス2世Cは8頭立てとなり、これは海外の馬に門戸が開放された1995年以降では、2010年の9頭を下回る最少頭数。その8頭中4頭がGⅠウイナーで、デザインズオンローム(2013年)、2014年にブレイジングスピード、昨年にワーザーがこのレースを制しており、歴代優勝馬3頭が顔を揃えた。

出走馬のトップレーティングはワーザーの124ポンド(56kg)。昨年のクイーンエリザベスⅡ世Cで2着に4.1/2馬身差をつけて勝ったときのもので、今回の出走馬でレーティング2位シークレットウェポンの119ポンド(54kg)とは5ポンドの差。数字上は頭ひとつ抜けた存在と言えるだろう。シーズン前に痛めた後肢のケガから今年1月に復帰して以後は3戦1勝。2走前の香港ゴールドC(GⅠ)に優勝しているが、果たして昨年の状態と比べてどこまで復調しているか。

レーティング2位以下は、まだ伸びしろのある4歳馬ディクトン(115ポンド=52kg)とパキスタンスター(112ポンド=50.5kg)を除く残る5頭が、119~116ポンド(54~52.5kg)のなかに収まってる。レーティングだけを考えれば、ワーザーの調子次第でどの馬にも少なからず勝つチャンスがありそうだ。

レース展開はこれと言った逃げ馬が見当たらず、どれがハナを切るのかが読みづらい。札幌記念(GⅡ)を逃げ勝っているネオリアリズムがすんなりと主導権を握る可能性があるが、J.モレイラ騎手もあえて他の馬たちの目標になるのは避けたいと考えるのでないだろうか。理想は中山記念(GⅡ)のように2、3番手から抜け出す競馬だ。

他に先行すると思われるのはブレイジングスピード。香港ゴールドCでは2番手からワーザーの小差2着に好走した。昨年のランヴェットS(GⅠ)を勝っているオーストラリアのザユナイテッドステイツは先行しても中位からも競馬ができる。昨年の香港Cでモーリスの2着になったシークレットウェポンと、昨年の仏2000ギニーと仏ダービーで3着だったフランスのディクトンが中団から。復権を目指すデザインズオンロームと香港ダービー2着馬パキスタンスターが、末脚のキレに懸けて後方から勝機をうかがう。


===================
★2016年凱旋門賞38万馬券を的中させた海外馬券のエキスパート藤田将大プロ。香港クイーンエリザベス2世カップ予想公開中!⇒予想はこちらから
===================


■藤田将大(ふじた・まさひろ)プロフィール
某大手商社に勤める現役の商社マン。仕事以外の時間はほぼ競馬に費やし、国内外の馬やレースの情報をくまなくチェックする日々を送る。
ヨーロッパ、アメリカ、オセアニア、アジアの競馬主要国におけるビッグレース観戦歴は豊富で、その前後に行われる一般レースや平開催でも馬券勝負には余念がない。
「名勝負を見て得られる感動と、馬券を獲って得られる感動は別物」を理念に掲げ、国内外を問わず「いかにして馬券で勝つか」を常に研究している。
国内での海外レースの馬券発売開始を機に、雑誌『競馬最強の法則』で華々しくメディアデビュー。海外馬券発売レースの第一弾となった凱旋門賞で3連単38万馬券をいきなり的中させ、競馬ファン・関係者の度肝を抜いた。

【香港QE2世C】ジョン・ムーア調教師インタビュー~デザインズオンローム、ワーザーともトップフォーム!だよ

香港クイーンエリザベス2世カップ(以下、QE2)に遠征する日本のエース、ネオリアリズムの前に香港のトップ調教師、大摩ことジョン・ムーア調教師配下の香港馬王(年度代表馬)デザインズオンローム、ワーザーの2頭が立ちはだかっている。デザインズオンロームが2014年以来の復活を目指せば、ワーザーは連覇に意欲を見せる。今年、管理するラッパードラゴンで香港競馬史上初の4歳クラシック三冠を果たし、香港競馬史に再び新たな1ページを開いた。歴代最多勝、最多賞金獲得……新たな勲章がまた加わり、今シーズン絶好調のムーア師にネオリアリズムを迎え撃つ自信のほどを直撃した。(取材・文/甘粕代三)


――ドバイでは隣のテーブルでしたね。お久しぶりです。

ジョン・ムーア(以下、ムーア) ドバイではゆっくり話できなかったね。お互いレースに忙しくて。ヴィブロスは本当に強かった。お友達のオーナー、ミスター・ササキにお祝いを伝えてくれ。あの馬、香港に来たりしないよね?

――秋のローテーションは未定のようですが、年末の香港カップは選択肢の一つには入っていると聞いていますよ。

ムーア 香港カップに出走してきたら、それは手ごわいなあ。

――それよりもQE2は年度代表馬2頭出しじゃないですか?

ムーア おかげさまで2頭も選ばれて光栄なことだよ。

――それでは個別に伺います。まずはワーザーから。昨年のこのレースは圧勝でした。

ムーア 得意の道悪ということもあったけれども、あそこまで差をつけて勝ってくれるとは正直言ってびっくりしたよ。前走の香港ダービーで力をはっきり示してくれてはいたけど、日本から強い馬が3頭も来ていたじゃないか。

――あのレースで破ったサトノクラウンは12月の香港ヴァーズでハイランドリールに勝ってますからね。

ムーア この馬の力を証明してくれたと言えるんじゃないかな。

――しかし、その12月の香港国際競走には、その姿がありませんでした。

ムーア 脚部不安で間に合わなかったんだよ。あのモーリスと対戦させたかったなあ。決して引けは取らなかったはずだ。

――そして、年明けに復帰。2戦目の香港ゴールドカップを勝って復活の狼煙を上げました。

ムーア 嬉しかったね。しっかりと復調してくれた。

――ただ、休み明け3戦は1勝のみ。前走も勝てていませんが。

ムーア この馬は昨年の4歳三冠でも1600mのクラシックマイル、1800mのクラシックカップとも2着。2000mに距離が伸びた香港ダービーではしっかりと借りを返しているように、2000mがピッタリなんだよ。だから、ここを大目標に仕上げてきたんだ。

――3戦1勝、ここまでのステップは想定内、予定通りということですね。

ムーア そうだね。

――前走の後、状態はどうですか。

ムーア インプルービング! 上向いているよ。トップフォーム(最高のコンディションの意)だよ。

――ほう、それは頼もしい。ネオリアリズムにとっては恐ろしい(笑)。それではデザインズオンロームについて伺いましょう。2014年のこのレースでは後にジャパンカップを勝つエピファネイアを子供扱いにしました。

ムーア 実にいいレースだった。

――エピファネイアに騎乗した福永祐一騎手が、あの馬は化け物だ、とレース後に言ってましたよ。

ムーア それは嬉しいねえ。そんなこと言ってくれたのか。確かに福永騎手の言うとおりだよ。怪物級の馬だ。

――2014年は香港カップも勝って、正に怪物ぶりを証明してくれたんですが、翌年のドバイシーマクラシック遠征以来、怪物ぶりが鳴りを潜めたように思えてならないんですが。

ムーア ドバイ遠征は気温差など馬に与える負担が大きい。それで調子を崩していたことは認める。しかし、2016年には香港ゴールドカップを勝って復調してるじゃないか。

――既に7歳、年齢的な衰えを指摘する声も聞こえてきますが。

ムーア 馬だって人だって歳を取る。それは仕方のないことだけど、この年齢なり、この馬なりにいい状態にある。こちらもトップフォームだよ。そう馬鹿にしないで貰いたいな。

――さて日本馬、ネオリアリズムですが、どうご覧になりますか?

ムーア あのモーリスに勝ってるんだってね。

――そうです。去年の札幌記念です。

ムーア それに前走は、ドバイターフを勝ったあの牝馬、ヴィブロスにも勝ってるんだろ。それは大した馬だ。それに今回はモレイラが騎乗するんだろ。ヴィブロスのレースをドバイでこの目で見てるだけに、これは警戒せざるを得ないな。

――2頭の香港馬王との比較ですが。

ムーア 香港でレースをする以上、2頭とも恥ずかしい競馬はさせない。これだけはしっかりと日本のファンに伝えて貰いたい。

――香港初の4歳クラシック三冠馬、ラッパードラゴンのことも聞かせて下さい。ラッパーは翌週のチャンピオンズマイルに回りましたが、これはワーザーとの使い分けで両方頂くという作戦ですか?

ムーア 馬ファースト、距離適性から判断しただけのことだ。ラッパーは三冠を達成したが、根本的にはマイラー。ここよりもチャンピオンズマイルに適性がある。それだけのことだ。

――史上初の4歳クラシック三冠にチャンピオンズマイルとなれば、ワーザーに続いて今年の香港馬王ですね。

ムーア そう行けばいうことなしだね。

――そして、その後は安田記念ですか?

ムーア 厳しいレースが続いたのでチャンピオンズマイルを今シーズンのラストランにする。安田記念は来年行ってみたい。

――ムーア厩舎の日本遠征は2007年のジョイフルウィナー以来じゃないですか?

ムーア 日本は餌やら水やらレギュレーションがやたら煩いんで暫く気が向かなかったんだよ。でも、ジョッキークラブが安田記念に行ったらどうかってしきりと勧めてくるんで、久しぶりに来年は行ってみようかと考えている。

――そうですか、来年の安田記念まで楽しみになってきました。ありがとうございました。

【甘粕代三の目】
2頭の香港馬王にいずれも「トップフォーム」と強気のコメントを嫌味もなくジェントルマン風に語るのはムーア流。その真贋を見極めなければならないが、ワーザーに関しては全くの掛値なし!ムーア師口調からは歯牙にもかけないという感触を得たが、モレイラ騎乗にはこちらも掛値のない警戒感を感じた。ワーザーとネオリアリズムとの一騎打ちであることは今からでも明々白々。最終的には当日までの状態、最後はパドックで判断するしかないが……。一方のデザインはトップフォームとは言うものの近走を見る限り馬王復活の道は遠い。ただ、3連単のヒモとしては決して無視はできないだろう。それと翌週のチャンピオンズマイルだが、今季の馬王に当選確実のラッパーがどこまで強い勝ち方を見せてくれるのか、来年の安田記念ともども今から楽しみになった。

ジョン・ムーア調教師
オーストラリア人。67歳。1556勝と香港歴代最多勝、最多獲得賞金を誇るトップ調教師。「千勝爺」との異名も。父、ジョージ・ムーア調教師の下で調教助手を務め1985年開業。2007年にはヴィヴァパタカでクイーンエリザベス2世カップを、エイブルワンでチャンピオンズマイルの2大競走を制覇。3年後にもこの2頭で2レースを制覇する快挙を達成。現在、前記2頭の香港馬王ばかりか、マイル王のエイブルフレンドを加えた3頭を擁し、春、12月の国際競走にムーア厩舎の管理馬は欠かせないばかりか、滅法強いことは香港競馬ファンの共通認識になっている。


★3/26ドバイターフで3連単162,710円を見事的中させた”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースの香港クイーンエリザベス2世カップの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。

甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、新報馬業(『新報馬簿』『新報馬経』)駐日代表、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

[もっと見る]

【香港QE2世C】ジョアン・モレイラ騎手インタビュー~ハナにはこだわらないネオリアリズムの先行力は絶対的に有利

今年の香港クイーンエリザベス2世カップに遠征する日本馬は残念なことにネオリアリズムの1頭だけになってしまったが、その鞍上には香港では“雷神(モレイラの中国名「莫雷拉」に因むニックネーム)”との異名で恐れられる香港一、いや世界屈指のジョッキー、ジョアン・モレイラを迎えた。昨年の香港ではチャンピオンズマイル、香港カップモーリスを2度、そして先月のドバイではヴィブロスを栄冠に導いた日本馬最強の助っ人に勝算を直撃した。(取材・文/甘粕代三)


――久しぶり! 先月25日のドバイターフで会って以来だね。素晴らしいレースだった。ヴィブロスも佐々木主浩オーナーもジョアンに感謝しているよ。

ジョアン・モレイラ(以下、モレイラ) ありがとう。おかげで最高のレースができた。これはあの時に使ったステッキなんだけど、レースの日には渡せなかった。佐々木オーナーにプレゼントしてくれるかな。

――もちろん。ドバイターフの後も同じ鞭を使ってワールドカップに騎乗、レース直後には空港に直行して翌日には香港で騎乗したんだよね。だから、表彰式の後には会えなかった。仕方ないよ。お預かりします。

モレイラ そうなんだ。表彰式前に佐々木オーナーから記念に鞭を、と言われたんだけど、そんな訳で約束が果たせなかったんだ。これで安心できるよ。佐々木オーナーにはいい馬に乗せてもらって感謝している、と伝えてほしい。

――ドバイワールドカップデーには日本馬2頭に騎乗して、次なるG1の舞台、クイーンエリザベス2世カップでも日本馬、ネオリアリズムに騎乗することになったね。日本にとっては最強の助っ人、雷神さまじゃない?

モレイラ たまたま地元、香港馬の騎乗がなかったんで、そういうことになったんだよ。モーリスをはじめ数多くの日本馬に乗せてもらっているのはとてもうれしいことだし、今回もチャンスを与えてもらって光栄なことと感謝している。

――日本馬にはどんな印象を持っている?

モレイラ 日本馬の海外遠征はそれほど多くはないけれど、必ず海外で結果を出している。それは日本馬が海外に十分通用するレベル、いやそれ以上であることを証明している。

――さて、ネオリアリズムだ。ジョアンがモーリスに騎乗した札幌記念ではネオリアリズムに苦杯をなめているね。

モレイラ モーリスはしっかりと自分の競馬をしてくれた。あの時、既にスーパースターだったろう、ああいう競馬をしないわけにはいかなかったんだ。一方、ネオリアリズムはまだ重賞も勝っていないダークホースで馬場が渋った中、先手を取って自由な競馬ができた。それでモーリスと僕は苦杯をなめさせられたわけだけど、あれはハプニングではない。その後のネオリアリズムの戦績を見ればわかることだ。

――その札幌記念の後、ネオリアリズムマイルチャンピオンシップ3着を経て去年12月の香港マイルに遠征。ジョアンもこのレースに騎乗してたけど、その時のネオリアリズムはどうだった?

モレイラ 僕は香港馬王(年度代表馬)のエイブルフレンドに騎乗して6着。ネオリアリズムは9着だったね。ネオリアリズムのあの時は本当の彼の姿じゃなかったんじゃないかな。距離も短かったような気がするし、展開も向かなかった。アンラッキーなレースだよ。

――そして、壮行レースの中山記念。昨年のドバイターフ勝ち馬、リアルスティールとジョアンがドバイターフ勝利に導いたヴィブロスを抑えて堂々の勝利を挙げている。

モレイラ レースは見ているよ。入れ替わりの激しいレースだったけど、2番手から直線でしっかりと伸びての勝利。札幌記念香港マイルの時よりも成長していることがはっきりとわかったよ。

――中山記念で2馬身弱負かしたヴィブロスドバイターフではあの圧勝。これを物差しにすれば、クイーンエリザベス2世カップではドバイでのヴィブロスよりも随分先にゴールインする勘定になる。

モレイラ 馬をそんな簡単に比較することはできないよ。でも、中山記念までしっかり成長しているし、その後も堀(宣行)先生が更に仕上げてくれていると確信している。本当に楽しみだよ。

――さて、沙田(シャティン)の馬場の隅から隅まで、そして迎え撃つ香港勢のこともジョアンが一番よく知っている。どの馬を警戒している?

モレイラ ワーザーだ。去年の香港ダービーを勝ってこのレースもぶっこぬいた昨シーズンの香港馬王だ。今シーズンは脚部不安で休養を余儀なくされたけど、年明けに復帰。2戦目のクイーンエリザベス2世カップと同じ距離の香港ゴールドカップを勝って見事に復活した。この距離の香港最強馬であることは疑いようもない。

――その香港馬王、最強中距離馬に対してどう戦う?

モレイラ 今回は小頭数のメンバー、ハナにはこだわらないネオリアリズムの先行力は絶対的に有利だ。堀先生とも相談した上で、自分はベストを尽くすだけさ。

――随分控えめな言い方だね。ズバリ自信のほどを聞かせてほしい。

モレイラ ないわけないだろ!

【甘粕代三の目】
ジョアンと話をしていていつも感じるのは控えめな表現とかのジェントルマンぶりである。自分の騎乗馬、相手馬には事前に十分な研究をしていながら、決して強気なコメントには踏み込まない。母国ブラジルでデビューし、理想的な条件では決してない南米で活躍をして台頭し、シンガポール、香港と世界屈指のジョッキーへの階段をのぼりつめるまでの苦労が彼に優等生的な言動をとらせ、特に控えめな表現につながっていると感じる。そのジョアンに最後に勝算を直撃すると、やはり控えめではあったけれども、これまでに聞くことのできないほどの手応えをにじませてくれた。モレイラとネオリアリズム、ここでは絶対に外せない。

ジョアン・モレイラ プロフィール
1983年ブラジル生まれ。34歳。2000年、ブラジルでデビュー。9年間で1000勝以上を挙げた後、2009年4月、シンガポールに移籍して大ブレーク。移籍初年は3位にとどまったものの翌年から4年連続リーディングジョッキー。12年にはシーズン新記録の206勝を記録。2013年9月6日には騎乗機会全勝の8戦8勝を達成。シンガポールにモレイラあり、と世界の競馬シーンにその名を知られる存在となる。この間にJRAへ短期免許を申請したが認められなかった。2013年10月に香港に移籍、シーズン途中からの移籍だったため97勝でリーディング2位にとどまったが、翌2014年シーズンには145勝、2015年シーズンには168勝とシーズン勝利記録を2年連続で塗り替える。今シーズンも4月23日までの段階で135勝と2位のザック・パートンに74勝差をつける独走。3シーズン連続のリーディングジョッキーと記録更新が確実になっている。


【甘粕代三のQE2展望コラム公開予定】
4/28(金)調教師インタビュー~J.ムーア
※QE2予想は4/29(土)公開予定となります。


★3/26ドバイターフで3連単162,710円を見事的中させた”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースの香港クイーンエリザベス2世カップの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。

甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、新報馬業(『新報馬簿』『新報馬経』)駐日代表、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

[もっと見る]

【香港QE2世C】レース展望対談~現地競馬記者”文傑(ぶん・けつ)”氏とQE2を斬る

◆プロフィール
文傑(ぶん・けつ)
香港最大の日刊紙『蘋果日報(アップルディリー)』首席競馬記者を務め、今秋より同じく大手日刊紙『星島日報』に移籍。競馬記者経験は20年以上。香港で最も経験と知識を有する競馬記者の一人。

甘粕代三(あまかす・だいぞう)
東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にのめり込む。現在、新報馬業(『新報馬簿』『新報馬経』)駐日代表、北京市馬術運動協会高級顧問。

甘粕 ドバイ以来だね。元気だった?

文傑 何とか生きてるよ(笑)。いよいよ香港競馬春の祭典、クイーンエリザベス2世カップ(以下、QE2と表記)だ。ドバイから一カ月足らず。このローテーションは人間様も疲れるけど、馬も大変だよ。

甘粕 そうだねえ。しかし今年は8頭立て、10頭を切ったのは2010年以来。日本からの挑戦はネオリアリズム一頭だけ。例年になく寂しいメンバーになってしまった。

文傑 繰り返しになるけど、ドバイ遠征帰りの馬がことごとく不振なんだよ。灼熱の砂漠の国へ遠征して激走すると消耗が大きいんだろうね。香港に戻ると見る影もないって馬が続々と出てきた。オーナー、調教師とも二の足を踏むようになってきている。

甘粕 確かに近年最強のダービー馬ともいわれたデザインズオンロームは14年、香港ダービーを勝ってQE2 では後にジャパンカップを勝ったエピファネイアを子供扱いしたほどの力の持ち主だった。それが翌年、ドバイシーマクラシックに遠征して香港に戻った時は調子を崩し低迷。未だに立ち直っていないものね。

文傑 そうなんだよ。QE2では1番人気が予想される昨年の香港ダービー馬にしてこのレースの覇者、そして香港馬王(年度代表馬)のワーザーは休み明け2戦目、香港ゴールドカップで復活の狼煙を上げ、ドバイ参戦を表明したんだけど直ぐに撤回してしまった。

甘粕 ドバイに目もくれずQE2専念というのは見逃せない要素だ。今年のQE2はワーザー抜きでは考えられないね。ワーザーのことはこの後、ゆっくりと話すことにして、日本が1頭だけになってしまった背景なんだけど、大阪杯のG1昇格なんだよ。

文傑 去年の年度代表馬、キタサンブラックが勝ってたいそう賑やかだったそうじゃないか。

甘粕 それ自体はめでたいことなんだけど、大阪杯はドバイワールドカップデー翌週の4月第1週に開催され、QE2までは中1週。大阪杯に出走すれば、ドバイと香港に遠征することは物理的に無理になる。

文傑 大阪杯のG1昇格はエンクロージャー、ドバイと香港に遠征する日本馬の囲い込みが目的っていうことか?

甘粕 その通りだね。これまで中距離のG1レースがなかった春の番組を充実させるという表向きの説明を裏返せば、ドバイと香港に遠征する馬の足止めということになる。先月、香港に来た時に香港ジョッキークラブ行政総裁のEB(ウィンフィールド・エンゲルブレヒト=ブレスケス)と立ち話したんだけど、大阪杯G1昇格でQE2にはどんな影響があるのか、真剣に憂慮していた。ステファノスヤマカツエースサトノクラウンあたりは来るんじゃないかって希望的観測を答えたんだけど、結果的にはEBの心配が現実になってしまった。

文傑 それは残念なことだね。香港から最も近い競馬先進国の日本から中距離の強豪が遠征してきてこそ春競馬の頂点は盛り上がる。そろそろQE2に入ろうよ。


甘粕 そうだね。やはり唯一の日本馬、ネオリアリズムには注目せざるを得ない。なんたって“雷神”モレイラの騎乗だぜ。

文傑 ドバイターフでの神業見ただろ!

甘粕 あの競馬はモレイラならでは。4コーナー手前ではヴィブロス終わったとしか見えなかった。それが直線で最内から伸びて2段ギアで外へ持ち出しゴール前測ったように差し切った。他の騎手ではできようもない神業騎乗にオーナーの大魔神こと佐々木主浩さん夫妻と痺れまくってたよ(笑)

文傑 それは口取りの表情で十分わかったよ。いい顔してたぜ。

甘粕 ありがと! ネオリアリズムはそのヴィブロスに前走の中山記念で2馬身弱つけて勝ってるんだ。

文傑 そのレースは見ている。先行して2番手、坂上で難なく抜け出したレースには余裕すら感じたよ。

甘粕 中山記念は100%の仕上げではない。QE2遠征を睨んでの足慣らしだ。本番のここではメイチの仕上げ、そしてモレイラ騎乗だろ。翌週のチャンピオンズマイルも選択肢に入っていたが、モレイラの騎乗が確保できたことでQE2に回ってきたんだよ。日本のリーディングファーム、ノーザンファームの生産馬にモレイラ騎乗は鬼に金棒、必勝の方程式だよ。ドバイターフヴィブロス以上に自信の1頭だね。

文傑 そうか? 香港馬も忘れないでほしい。

甘粕 ワーザーだろ。

文傑 9月から始まった今シーズン、脚部不安で12月の香港カップには間に合わなかったのは残念でならないけど、年明けに復帰して2戦目のQE2と同距離の香港ゴールドカップで見事に復活の狼煙を上げている。去年の香港ダービーからQE2をぶっこぬいたのは見ただろ。

甘粕 香港ダービー、QE2を連勝した馬はヴェンジェンスオブレイン、ヴィヴァパタカ、アンビシャスドラゴン、デザインズオンロームなど、いずれも後に香港を代表する中距離馬に成長している。この馬はそうした中でも屈指の1頭であることは十分認める。でも前走は負けてるよね。

文傑 1600mでは短いんだよ、去年の4歳三冠シリーズでも1600mのクラシックマイル、1800mのクラシックカップではサンジュエリーの2着だったが、2000mの香港ダービーではサンジュエリーにしっかりのしを付けてお返ししている。2000mの申し子といってもいい。

甘粕 確かに。2強対決の構図ははっきりしている。お国自慢じゃないけど、ネオリアリズムを上位に取る。

文傑 2強代決は全く同感だけど、ネオリアリズム、ワーザーの比較はもうちょっと待ってくれ、直前まで見極めたい。

甘粕 それは仰る通り。問題は2強じゃ馬券にならないってことなんだよ。連複で一体いくらつくのか。2倍つくかねえ。

甘粕 香港競馬ファンは馬券上手で日本ほど人気が偏ることはないけれど8頭立ての小頭数。連複ではいかんともしがたいねえ。日本では3連単、香港では4連単も入れて勝負しないといけない。

文傑 そうだね。それもボックスではなくてフォーメーションで絞り込まないといけない。2強に続く相手馬探しのレースだ。

甘粕 香港ダービー2着のパキスタンスターか?

文傑 有力候補の1頭だね。新馬の後は勝ちきれないレースが続いていたけど、この馬もワーザーと一緒で2000m前後が適距離。今年は香港初の4歳クラシック三冠馬、ラッパードラゴンが誕生したんだけど、ダービーでラッパーの2着に迫った末脚は魅力だ。

甘粕 ラッパーはQE2ではなく翌週のチャンピオンズマイルに向かったね。

文傑 ワーザーと同じジョン・ムーア厩舎だから使い分けたんだろう。ムーアはビッグレースに強いからね。QE2とチャンピオンズマイルが同日に行われた頃、この2レースをヴィヴァパタカで2007年、2010年と2回もせしめたことがあっただろ。歴代賞金獲得第一位の賞金ハンター、2頭の使い分けでしっかりとそろばん勘定できてるよ。

甘粕 パキスタンスターもそれなりの人気を集める。さらにヒモ穴探したいところだ。

文傑 そうだね。直前まで穴馬を探して皆さんに紹介したい。

甘粕 QE2前夜には去年12月と同じように香港時間21時、日本時間22時から2人でネットテレビ番組「贏在贏起跑線」(http://racing.dimbo.tv/)に出演することになってる。そこでは穴馬出してくれるの?

文傑 番組もあるけど、ウマニティもあるからね。頭痛いなあ。

甘粕 番組はインターネット通じて日本でも見てもらえるからウマニティ会員の皆さんにもぜひご覧になってもらいたね。広東語放送だけど、関連レースの映像もふんだんに紹介するからレース前夜の検討にはもってこいだよ。

文傑 甘粕と俺だから相撲中継と見間違えないようご注意下さい(笑)

甘粕 (爆笑)

【甘粕代三のQE2展望コラム公開予定】
4/27(木)ジョッキーインタビュー~J.モレイラ
4/28(金)調教師インタビュー~J.ムーア
※QE2予想は4/29(土)公開予定となります。


★3/26ドバイターフで3連単162,710円を見事的中させた”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロと、”競馬記者歴20年超!香港競馬界の博学多識”文傑(ぶん・けつ)プロが、海外馬券販売レースの香港クイーンエリザベス2世カップの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。現地ならではの直前ナマ情報にご期待ください。

[もっと見る]

【香港QE2世C】QE2も現地・香港でジョッキー&調教師直前インタビューを敢行!ご期待下さい!

ウマニティ会員の皆さん、ドバイ以来になってしまいました。海外馬券が発売されたドバイワールドカップデー3競走で私の予想を買って下さった皆さん、美味しいお酒を飲まれたことと思います。私もドバイでヴィブロスに勝利の美酒を浴びるほど飲ませて貰いました。いやあ、翌日は二日酔いできつかった……。

正直申し上げて、初めて目にする海外馬との比較は馬場、時計などが大きく異なり極めて難しいのですが、今回は大魔神こと佐々木主浩オーナーのお供でレースまでの3日間、ヴィブロスを間近に観察して、日に日に状態が急上昇していることが分かり、自信の予想を打つことができました。2日前の馬房での毛艶、前日の最後の調整とゲート練習、当日の装鞍所からパドックと馬がどんどん良くなっていくのが手に取るように分かるのです。予想は前日に出しましたが、レース前の装鞍所で予想をした前日よりもさらに良くなっている馬体を見て、相手関係はともかく馬券を外すことはあり得ない、との確信を持つに至りました。

そして鞍上です。あのJ.モレイラ!彼とは香港でよく話をする関係です。香港でモレイラは彼の中国名「莫雷拉」に因んで「雷神」との異名をとっているのですが、彼の神がかった騎乗は正に雷神の異名に相応しく、私は「モレイラ5馬身」との神話を彼に捧げています。彼に乗り替わると馬が5馬身先に来るのです。外国人ジョッキーが日本に初登場した頃、私はペリエ3馬身、スミヨン3馬身などと言って馬券検討の重要な参考にしていたのですが、今のモレイラは全盛時のペリエ、スミヨンの遥か上を行く騎乗ぶりであることは皆さんも香港国際競走などで目にされていることでしょう。状態急上昇のヴィブロスに雷神様の騎乗ですから、近年の予想の中では最も自信の持てるものでした。

ドバイに続く海外馬券発売、クイーンエリザベス2世カップ(香港での略称に合わせ、この後はQE2と表記します)もモレイラが最大のカギを握ります。今年は日本馬がネオリアリズムたった1頭と寂しくなってしまいました。ドバイワールドカップデーとQE2の間にある大阪杯を今年からG1に昇格させた影響です。ドバイ、香港の中距離G1に続々と遠征する日本馬を足止めさせる目的は今年、十分達成されてしまいました。そして同時に春の香港三冠シリーズも新設された訳ですが、秋の三冠シリーズに皆勤する馬がほとんどいない現状で、春にも同様のシリーズを新設したことにどれだけの意味があるのでしょうか。国を問わず強豪が覇を競うことこそ競馬の醍醐味、そして馬券購買意欲の源です。日本でも海外馬券が発売できるようになった今、日本強豪馬の海外遠征は売り上げ減少につながるマイナス要素ではなくなっています。ドバイ、香港、日本をサーキット、シリーズで結び、各国の強豪の連戦を実現させることこそ競馬ファンが最も渇望するものなのではないでしょうか。

さて、1頭だけの日本馬、ネオリアリズムに雷神様が騎乗するのです。壮行レースの中山記念を快勝しての香港遠征。そこで5着に負かしたヴィブロスがモレイラを迎えてドバイターフを圧勝したわけですから、中山記念ヴィブロスの2馬身弱前にいたネオリアリズムを「モレイラ5馬身」でどこまで導いてくれるのか。今週にモレイラに自信のほどを直撃します。

ネオリアリズムを迎え撃つのが昨季の香港馬王(年度代表馬)、ワーザーです。昨年春は香港ダービー、続くQE2を連覇した香港最強馬でしたが、昨年9月に開幕した今季前半は脚部不安から休養を余儀なくされ、香港カップには間に合いませんでした。マイルから中距離に転じたモーリスとの一騎打ちが実現しなかったのは痛恨でしたが、香港のトップトレーナー、J. ムーア師が必死に立て直し、年明けの復帰第2戦、香港ゴールドカップを快勝。QE2は香港馬王の誇りにかけても負けられぬ一戦となります。

香港馬も今年はドバイ遠征がたったの4頭と寂しい陣容でした。これは近年、ドバイに遠征した多くの香港馬が砂漠の灼熱の地からの帰還後に状態を崩し、QE2と翌週のチャンピオンズマイルとチェアマンズスプリントで良績を残せなかったことが原因です。ムーア師はワーザーの香港ゴールドカップ快勝後に一旦はドバイ遠征を表明しながら撤回しましたが、その方針返還にはそうした背景があります。QE2必勝を期してドバイを回避した昨年の香港馬王にして香港中距離最強馬、ワーザーは決して無視できません。さてムーア師にも勝算も直撃しないわけにはいきません。モレイラ同様、今週に直前インタビューを敢行いたします。

ドバイに続く日本馬騎乗となったモレイラ騎手、そしてドバイを回避して香港必勝を期したムーア師――。ヴィクトリア・ハーバーの水は砂漠のオアシスに通じ、再び香港に戻る、と今年春の海外馬券をお伝えするコラムにこのタイトルを題したのには、ドバイと香港、日本をつなぐサーキットの実現を渇望する思いとレースの上でのこうした連関がありました。

そして、インタビューに加え3度目となり恒例とも言っていい地元記者、文傑との対談も予定しています。彼とは対談の後、QE2前日に香港の競馬番組に出演します。広東語の放送ですが、前哨戦を含めたレース映像など香港の情報満載ですから、広東語をお分かりにならない会員の皆さんにも参考になろうかと思います。こちらも是非ご覧下さい。

【甘粕代三のQE2展望コラム公開予定】
4/26(水)レース展望対談~現地競馬記者”文傑(ぶん・けつ)”氏とQE2を斬る
4/27(木)ジョッキーインタビュー~J.モレイラ
4/28(金)調教師インタビュー~J.ムーア
※QE2予想は4/29(土)公開予定となります。


★3/26ドバイターフで3連単162,710円を見事的中させた”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、海外馬券販売レースの香港クイーンエリザベス2世カップの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。

甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、新報馬業(『新報馬簿』『新報馬経』)駐日代表、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

[もっと見る]

【香港QE2世C】ヴィクトリアハーバーの水は砂漠のオアシスに、そして再び香港の港へ

 ウマニティ会員の皆さん、ごぶさたをしました。甘粕代三です。
 昨年暮れのHKIR、香港国際競走以来のご挨拶になってしまいました。あの後も香港恒例の元日競馬から今年の香港競馬を楽しんできました。香港は日本と違って4歳クラシックなのですが、年明け1月から香港クラシックマイル、クラシックカップ、香港ダービーと一カ月おきに三冠競走が行われ、つい先週、ラッパードラゴンが待望久しい三冠馬の栄光の座を射止めました。ああ、それなのに歳とともに筆不精が昂じて年明け以降の熱戦をお伝えせずに今日まで来てしまいましたが、そろそろ始動です。

 日本ではHKIR以降初めての海外馬券発売、ドバイワールドカップデーがこの週末に迫りました。ドバイのレースが日本国内で発売されるのは今年が初めてです。今朝がた、ドバイターフ連覇を目指していたリアルスティールが鼻出血のために回避、と極めて残念なニュースが飛び込んできましたが、日本勢は多士済々。リアルの無念を晴らしてくれることを大いに期待しています。

 さて、香港もドバイとは浅からぬ因縁があります。香港競馬は日本よりも20年以上遅れて競馬国際化の途を歩み始めましたが、それまで世界で格下とみられていた香港馬は日本の安田記念、スプリンターズSだけではなくドバイの諸競走からも世界へとはばたいて行きました。ブリッシュラック、ヴェンジェンスオブレインなど数々の名馬がここを舞台に香港馬の名を世界に高めたのです。今年、ドバイに遠征した香港馬は3頭と寂しくはなり、香港馬が出走するレースは日本で発売されることはなく残念至極ではありますが、ヴィクトリアハーバー(維港)の水は砂漠のオアシスに通じ、そして砂漠のオアシスの水は再び香港へと戻るのです。かつてアグネスデジタルアドマイヤムーンら日本馬ですらドバイから香港春の競馬の祭典、クイーンエリザベス2世カップ(QE2)に転戦したように、香港馬にとってもドバイからQE2への道はヴィクトリーロード、王道なのです。

 4月末のQE2までひと月余り。この頂点に向けてドバイから香港馬、日本馬の熱い闘いをお伝えしなくてはと重い腰を上げました。今日夜にはバンコクからドバイに入り、昨年暮れと同様、長年の友人である香港の競馬記者、文傑との対談、調教師インタビューなど直前情報をお伝えし、最後には馬券のヒントを提供できればと考えています。どうぞ、ご期待ください!(3月21日於バンコク)

★”日本と香港を股にかけて活躍する”海外プロ甘粕代三プロが、今年も海外馬券販売レースのドバイターフドバイシーマクラシックドバイワールドカップ3レースの予想提供をいたします。当日の予想にご期待ください。

甘粕代三(あまかす・だいぞう)プロフィール
1960年、東京生まれ。高校時代から競馬にのめりこむ。
早稲田大学第一文学部卒。在学中に中国政府官費留学生。卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務める。
中国留学中に香港競馬を初観戦、94年ミッドナイトベット香港カップ制覇に立ち会ったことから香港の競馬にものめりこみ、2010年、売文業に転じた後は軸足を日本から香港に。
香港の競馬新聞『新報馬簿』『新報馬経』に執筆、テレビの競馬番組にも出演。現在、新報馬業(『新報馬簿』『新報馬経』)駐日代表、北京市馬術運動協会高級顧問を務める。

[もっと見る]

過去10年の結果 ~香港クイーンエリザベス2世カップ 2017~

開催日 勝ち馬 性齢 調教国 タイム 騎手 調教師
2016/04/24 ワーザー セ4 香港 2:01.3 H.ボウマン J.ムーア
2015/04/26 Blazing Speed セ6 香港 2.02.9 N.Callan A.Cruz
2014/04/27 Designs on Rome セ4 香港 2.01.1 T.Berry J.Moore
2013/04/28 Military Attack セ5 香港 2.02.1 T.Berry J.Moore
2012/04/29 ルーラーシップ 牡5 日本 2.02.4 U.リスポリ 角居勝彦
2011/05/01 Ambitious Dragon セ4 香港 2.02.2 D.Whyte A.Millard
2010/04/25 Viva Pataca セ8 香港 2.05.0 W.Marwing J.Moore
2009/04/26 Presvis セ5 イギリス 2.03.0 R.Moore L.Cumani
2008/04/27 Archipenko 牡4 南アフリカ 2.00.8 K.Shea M.de Kock
2007/04/29 Viva Pataca セ5 香港 2.01.9 M.Kinane J.Moore

歴史・概要 ~香港クイーンエリザベス2世カップ 2017~

挑戦した日本馬 ~香港クイーンエリザベス2世カップ 2017~

エイシンプレストン 1着(2001年)
血統
父:Green Dancer
母:Warranty Applied(Monteverdi)
成績
32戦10勝
4億9106万円+2460万香港ドル
主な勝ち鞍
香港マイル(GI)
クイーンエリザベスC(GI)
朝日杯FS(GI)
香港で掴んだ栄光

 デビューから引退まですべて主戦である福永祐一が騎乗し、1999年の朝日杯3歳Sを制して最優秀3歳牡馬に輝き、のちに香港競馬でGI3勝をあげたエイシンプレストン。
 デビュー戦こそ2着に敗れたが、折り返しの新馬戦を勝利すると朝日杯3歳ステークス(GI)へ直行し、地方の雄レジェンドハンターを差し切って優勝。その年の最優秀牡馬に選出された。
 翌年もアーリントンC(GIII)、NZT4歳S(GII)と連勝を飾り、NHKマイルカップ(GI)最有力候補に挙がっていたが、骨折が判明し戦線から離脱。復帰後の成績は奮わずスランプ状態に陥ったが、陣営の懸命の努力が実り、米子Sで実に1年2ヶ月ぶりの勝利を飾ると、続く北九州記念(GIII)で重賞を制覇した。
 完全に復活を果たしたエイシンプレストンは毎日王冠(GII)も勝利し、マイルCS(GI)で2着となると香港マイル(GI)に挑戦。現地での評価は低かったが、レースでは直線で外に持ち出されると一気に突き抜ける圧勝劇。1993年のホクセイシプレーの初挑戦以来、8年目にして日本馬の香港マイル(GI)初制覇を見事に飾った。その後は、日本では勝ち星は挙げられなかったものの香港ではクイーンエリザベスC(GI)を連覇するなど、香港GI3勝。とにかく香港競馬に絶対なる適性を持った名馬であった。

施行年馬名性齢騎手調教師着順
1995年フジヤマケンザン牡7蛯名正義森秀行10着
1997年ダンスパートナー牝5四位洋文白井寿昭8着
マイネルブリッジ牡5坂本勝美伊藤正徳9着
2002年エイシンプレストン牡5福永祐一北橋修二1着
アグネスデジタル牡5四位洋文白井寿昭2着
2003年エイシンプレストン牡6福永祐一北橋修二1着
2007年アドマイヤムーン牡4武豊松田博資3着
2008年マツリダゴッホ牡5蛯名正義国枝栄6着
2010年ネヴァブション牡7後藤浩輝伊藤正徳4着
2012年ルーラーシップ牡5U.リスポリ角居勝彦1着
2013年エイシンフラッシュ牡6M.デムーロ藤原英昭3着
2014年エピファネイア牡4福永祐一角居勝彦4着
アンコイルド牡5K.ティータン矢作芳人10着
2016年ラブリーデイ牡6J.モレイラ池江泰寿4着
ヌーヴォレコルト牝5K.ティータン斎藤誠6着
サトノクラウン牡4Z.パートン堀宣行12着
2017年ネオリアリズム牡6J.モレイラ堀宣行1着
2018年アルアイン牡4C.デムーロ池江泰寿5着
ダンビュライト牡4T.ベリー音無秀孝7着
2019年ウインブライト牡5松岡正海畠山吉宏1着
リスグラシュー牝5O.マーフィー矢作芳人5着
ディアドラ牝5武豊橋田満6着
2021年ラヴズオンリーユー牝5C.ホー矢作芳人1着
グローリーヴェイズ牡6K.ティータン尾関知人2着
デアリングタクト牝4松山弘平杉山晴紀3着
キセキ牡7C.スコフィールド辻野泰之4着