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第63回有馬記念(23日、中山11R、GI、3歳上オープン国際(指)、定量、芝・内2500メートル、1着本賞金3億円 =出走16頭)3番人気ブラストワンピースが、中団から早めに進出し、直線で力強く伸びてGI初制覇。強い3歳世代がグランプリも制した。タイム2分32秒2(稍重)。池添謙一騎手(39)は、有馬記念単独最多の4勝とし、管理する大竹正博調教師(48)はGI初制覇となった。1番人気のレイデオロはクビ差2着、障害王者オジュウチョウサンは見せ場をつくったものの9着に敗れた。
平成最後の有馬記念を締めくくったのは、平成の“グランプリ男”だった。唯一の3歳馬ブラストワンピースが、年長馬を蹴散らして悲願の初戴冠。歴代単独最多の有馬記念4勝目を挙げた池添騎手は、ゴール板を過ぎると誇らしげに左手の人さし指を突き上げた。
「ずっと“GIを取れる馬”だと言ってきて、ダービーと菊花賞で結果を出せなかったんですけど、ようやく証明できてうれしい」
スタートを五分に出て、軽く促しながら中団前めの絶好のポジションへ。「前(のキセキ)もしぶといし、後ろにレイデオロがいるのもわかっていたけど、攻めて出していった」。早め、早めの強気の騎乗で2周目3コーナー手前から進出。腹をくくったロングスパートに、相棒も応えてくれた。ラスト50メートル付近で先頭に立つと、レイデオロの追撃をクビ差振り切ってゴール。秋華賞から10週続いていた外国人騎手によるGI勝利を、ついに止めた。
執念が実った。昨年11月の新馬戦でまたがった際に、大器と直感。今年1月には一時、美浦に活動拠点を移してけいこをつけた。2戦目のゆりかもめ賞(2月)を4馬身差で圧勝して「ダービーを意識した」。しかし、ダービーは直線でごちゃつき、差し届かず5着。菊花賞はスローペースを大外から差して4着とGIで不完全燃焼が続いただけに「何としても一緒に勝ちたかった」。やっとパートナーをGIウイナーに押し上げることができた喜びが、雄叫びとなって口をついた。
大竹調教師は開業10年目でGI初V。思いだすのは、ブラストがデビューするずっと前の昨夏のこと。池添騎手に「俺のGI初制覇は、お前のような気がする」と話しかけた。「僕もそんな気がします」と返した何気ない会話が、現実となった。これまでも懸命に馬を仕上げてきたが、スタッフや騎手への細かい指示が重圧となり、自然と馬にも伝わっていた。
「10年やって、ようやく気づいた。スタッフ、ジョッキーを信じ切れたから(勝てた)」と胸を張るトレーナーに、池添騎手も「ずっと使い続けてきてくれた。(期待に)応えられてよかった」と感謝感激だ。
今後は未定だが、鞍上が「来年はもっとよくなる。古馬のチャンピオンになれると思うし、飛躍の年にできる」と話せば、大竹師も「3歳世代はGIでも活躍しているし、来年以降も楽しみ」と期待した。アーモンドアイなど、まだ倒すべき相手はいる。強い3歳世代の代表格が、堂々と来年の主役に名乗りをあげた。 (山口大輝)
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アラカルト ◆大竹正博調教師 有馬記念は延べ3頭の出走で初勝利。これまでの最高着順は昨年のルージュバックの5着。JRA・GIは延べ23頭の挑戦で初勝利。これまでの最高着順はルージュバックでの15年オークスの2着。 ◆池添謙一騎手 有馬記念新記録の4勝目で、宝塚記念の3勝と合わせてドリームレースでは武豊騎手(有馬3勝、宝塚4勝)と並ぶ最多7勝目。JRA・GIは17年桜花賞のレーヌミノル以来の24勝目(歴代7位)。 ◆ハービンジャー産駒 JRA・GIは17年秋華賞(ディアドラ)、同エリザベス女王杯(モズカッチャン)、同マイルCS(ペルシアンナイト)に次ぐ4勝目。 ◆3歳馬 16年サトノダイヤモンド以来の19勝目。他の世代は4歳25勝、5歳15勝、6歳3勝、7歳1勝。 ◆関東馬 15年ゴールドアクター以来の35勝目。関西馬は28勝。関東馬のワンツーは01年(1着マンハッタンカフェ、2着アメリカンボス)以来17年ぶり21度目。
ブラストワンピース 父ハービンジャー、母ツルマルワンピース、母の父キングカメハメハ。鹿毛の牡3歳。美浦・大竹正博厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。戦績7戦5勝。獲得賞金4億3850万8000円。重賞は2018年GIII毎日杯、GIII新潟記念に次いで3勝目。有馬記念は大竹正博調教師が初勝利、池添謙一騎手は09年ドリームジャーニー、11年&13年オルフェーヴルに次いで4勝目。馬名は「突風+母名の一部」。
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