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第77回日本ダービー(30日、東京10R、GI、3歳オープン国際マル指、せん馬不可、定量、芝2400メートル、1着本賞金1億5000万円=出走17頭)豪脚で最強ダービーの頂点獲り-。7番人気のエイシンフラッシュが、直線で弾けるように伸びて優勝。内田博幸騎手(39)は、南関東・大井から中央に移籍して3年目でダービー制覇だ。2分26秒9(良)。クビ差2着が2歳王者ローズキングダム。1番人気に支持された皐月賞馬ヴィクトワールピサは3着、無敗の青葉賞馬ペルーサは出遅れが響いて6着に終わった。
12万5000人の大観衆に向け、ムチを持った右手を振り上げる。控えめな男には珍しい、ゴールの瞬間の感情の爆発だった。7番人気の伏兵にも惜しみなくファンから送られる歓声に、これまでの苦労が脳裏によみがえる。このレースを勝つためにやってきた。エイシンフラッシュと内田博幸が、第77回ダービーで悲願の頂点に立った。
「人気のない気楽さは確かにありました。でも力に差はない。コース取り、仕掛けどころ次第でチャンスはある、一発あるとは思っていた」
夢のダービージョッキーとなった興奮も醒めやらぬまま、内田が振り返った。最内枠から中団をロスなく追走。1000メートル通過61秒6というスローペースでも、「勝ちを焦ったらダメ」と馬を信じて乗った。直線で外めに持ち出すのもスムーズ。すると目の前にはヴィクトリーロードが開けていた。先に抜け出したローズキングダムを捕らえると、前には1頭もいない。メンバー最速の上がり3ハロン32秒7の末脚を発揮し、歓喜のゴールに飛び込んだ。
「皐月賞は体調の心配をしながら3着のパフォーマンス。モマれる競馬をした経験が、ダービーで生きると思っていた」
JRAに移籍して3年目。移籍前の07年NHKマイルCをピンクカメオで勝ってから4年連続のGI制覇だ。昨年はJRA146勝を挙げ、武豊騎手の牙城を崩してリーディングジョッキーに輝いた。順風満帆に見えたが、今年1月11日の中山4Rで9頭が落馬する大事故に巻き込まれ、左尺骨近位骨幹部骨折。必死の治療でフェブラリーSのサクセスブロッケンに騎乗(3着)したが、本来の豪腕・ウチパクの姿ではなかった。今年は重賞未勝利で迎えたダービーでホースマンの憧れの勲章を手に入れた。
「家族にはつらい思いをさせたと思う。家族に『ありがとう』と一番伝えたい。怪我で自分の手から離れた馬もいましたが、自分のできる精一杯の騎乗をしてきました。ダービーを勝った気持ちは、勝ってみないとわからないもの。1度勝つと、2度、3度となる。そういう欲を持ってこれからも乗りたい」
史上最高のメンバーの頂点に立った内田博幸とエイシンフラッシュ。このコンビがこれからの日本競馬を牽引する。(柴田章利)
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