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競馬の祭典、日本ダービーウイークに突入した。ホースマンなら誰もが目指すダービーだが、その中でも生まれる前から期待が大きかったのがルーラーシップ。父が04年ダービー馬キングカメハメハ、母が96年オークス馬エアグルーヴとまさに東京芝2400メートルのクラシックを勝つための配合といえる。新コンビを組む四位洋文騎手(37)がダービーを2勝している点も頼もしい。
予定より遠回りしてしまったが、大一番にきっちり間に合った。良血ルーラーシップがいよいよダービーを迎える。
全休日の24日、滋賀県栗東トレーニングセンターの角居厩舎で取材に応じた酒井貴之調教助手は「間に合って正直ホッとしています。入厩当初からすごい馬格で、ダービーを意識していましたから」とゲートインできることに笑みを浮かべた。
「このお母さんの子らしいオーラを持っていると思います。極上の芸術品です」
07年ダービーなどGIを7勝した名牝ウオッカを育てた角居勝彦調教師が、ここまでいうほどの逸材。祖母ダイナカールは83年のオークス馬で、母エアグルーヴは96年のオークスを勝ち、97年には天皇賞(秋)を制覇して年度代表馬になった。半姉アドマイヤグルーヴ(父サンデーサイレンス)は03、04年とエリザベス女王杯を連覇。さらに04年のNHKマイルC&ダービーの変則2冠馬の父キングカメハメハが今年の桜花賞&オークス馬アパパネを出すなど勢いもあり、ルーラーシップの評価もここにきてグンと上がっている。
毎日杯で出遅れが影響して5着に敗れたため皐月賞の出走が不可能となったが、今年から1着馬にしかダービー優先出走権が与えられなくなったプリンシパルS(芝2000メートル)で2着に4馬身差をつけ、レースレコード1分59秒1をマークして圧勝。当時、手綱を取った横山典弘騎手も「ダービーでも面白い存在になるんじゃないかな」と高く評価した。
桜花賞組が断然優勢のオークスで、今年は桜花賞には出走せずサンスポ賞フローラSを勝って挑んだサンテミリオンがアパパネと首位を分けた。皐月賞組が有利なダービーも、ルーラーシップのプリンシパルSの勝ちっぷりならば、という期待が高まっている。
四位洋文騎手と新コンビを組む点も心強い。07年ウオッカ、08年ディープスカイとダービーを連覇。昨年は参加していないため、史上初の騎乗機会3連覇がかかる。歴史的名手の岡部幸雄さんでさえ「ダービーは他のGIとはまったく雰囲気が違う」と言うほど、平常心で臨むのが難しいレースだけに、2勝ジョッキーの騎乗は最高の切り札になる。
四位自身、07年の勝利時には「涙が止まらなかった。(ジョッキーを)もうやめてもいい」、08年は「最高に幸せです。今年も競馬の神様がボクの所に降りてきましたね」と他のGIでは聞けないコメントを残している。今年はルーラーシップを勝利に導いて、どんな名言を吐くのだろうか。(高尾幸司)
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