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【菊花賞】フィエール、最少キャリア4戦目で菊の大輪
2,016
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第79回菊花賞(21日、京都11R、GI、3歳オープン国際(指)、セン馬不可、馬齢、芝・外3000メートル、1着本賞金1億2000万円 =出走18頭)史上最少キャリアで見事に菊の大輪を射貫いた。デビュー4戦目でGI初挑戦となった7番人気フィエールマンが、メンバー最速タイの上がり3ハロン33秒9の末脚で、2着エタリオウをハナ差下してV。関東馬は17年ぶりの優勝となった。タイム3分6秒1(良)。次走は未定も、体調次第で有馬記念(12月23日、中山、GI、芝2500メートル)の可能性もありそうだ。
あまたの不利なデータを、自慢の末脚で打ち砕いた。GI初挑戦のフィエールマンが、最後の直線で馬群を割って驚異の加速力を披露。先に抜け出した2着馬エタリオウをはじめ、春のクラシック組を封じ込め、最少キャリアとなるデビュー4戦目での菊戴冠だ。
「直線で少し狭くなって抜け出すのに時間がかかったけど、抜けたときがすごくいい反応、切れ味だった。よく届いてくれたね。正直、負けたと思って、ゴール後にミルコに『おめでとうございます』と声をかけたんだ。ごめんね、ミルコ」
初コンビで歴史的な勝利へ導いたルメール騎手が頬を紅潮させる。M・デムーロ騎乗のエタリオウをわずか15センチ差で抑え、前週の秋華賞に続くGI制覇。JRA重賞も騎乗機会4連勝と絶好調だ。
思いも寄らぬ好スタートに鞍上はプランを変更した。「普段はスタートが遅いので後ろの位置だろうと考えていたけど、全く違うものに。でもスローな流れでちょうど良かった。完璧」。中団で前を射程に入れながら追走し、直線も狭いスペースから抜け出した。キャリア3戦とは思えぬ横綱相撲に「エムバペも19歳でワールドチャンピオンになった。経験が少なくても能力があれば勝てるんだ」。サッカーで母国フランスの10番を背負い、ロシアW杯制覇に導いた超新星になぞらえて相棒をたたえた。
関東馬にとっては、2001年マンハッタンカフェ以来17年ぶりの菊制覇。手塚調教師も誇らしげな表情だ。
「パドックの気配が桜花賞を勝ったときのアユサンみたいだった。馬の雰囲気は4戦で一番」
キャリアの少なさ、1800メートルのみの距離経験、休養明けなど厳しい条件がそろっていても能力には自信を持っていた。「勝てると思っていた。いつもより帰りの新幹線の時間を1時間遅らせていたんだ」と笑いながら明かす。
一戦ごとの消耗が大きいため、次走は様子を見てから決められるが、オーナーサイドは体調次第で有馬記念参戦も視野に入れている。
長丁場でも父ディープインパクト譲りの異次元の脚を見せつけたフィエールマン。淀のまぶしい西日が、歴史を塗り替えた“気高く、勇ましい”馬名の通りの勝者を照らしていた。 (板津雄志)
★21日京都11R「菊花賞」の着順&払戻金はこちら
★入場&売り上げアップ
悪天候だった昨年の菊花賞と違い、好天に恵まれた21日の京都競馬場の入場人員は5万5059人で、前年比177・1%と大幅増。菊花賞の売り上げも184億4690万9600円で、同120・1%とアップした。今年の平地GIの売り上げは15レース中、フェブラリーS、大阪杯、皐月賞、天皇賞・春、宝塚記念以外の10レースが前年を上回っている。
★アラカルト
◆最少キャリア&久々 フィエールマンは3戦2勝での挑戦で優勝。これは1946年アヅマライ(菊花賞前まで5戦2勝)、87年サクラスターオー(同5戦3勝)を更新する最少キャリアV。また、ラジオNIKKEI賞2着以来3カ月半ぶりの出走だったが、休み明けでの菊花賞制覇は皐月賞優勝以来6カ月半ぶりだったサクラスターオー以来。
◆クリストフ・ルメール騎手 JRA・GIは19勝目で歴代10位。13日の府中牝馬S(ディアドラ)→14日の秋華賞(アーモンドアイ)→20日の富士S(ロジクライ)→菊花賞と重賞騎乗機会4連勝となった。最多は武豊騎手が98年に達成した6連勝。
◆手塚貴久調教師 JRA・GIは11年朝日杯FS(アルフレード)、13年桜花賞(アユサン)、同朝日杯FS(アジアエクスプレス)に次ぐ4勝目。
◆ディープインパクト産駒 菊花賞は16年サトノダイヤモンド以来の2勝目でJRA・GIは44勝目。
◆ハナ差の決着 09年1着スリーロールス、2着フォゲッタブル以来の5度目。
フィエールマン 父ディープインパクト、母リュヌドール、母の父グリーンチューン。鹿毛の牡3歳。美浦・手塚貴久厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。戦績4戦3勝。獲得賞金1億7885万9000円。重賞初勝利。菊花賞は手塚貴久調教師は初勝利、クリストフ・ルメール騎手は2016年サトノダイヤモンドに次いで2勝目。馬名は「気高く、勇ましく(音楽用語)」。
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