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【池江寿師インタビュー】オルフェの真実(前編)


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【池江寿師インタビュー】オルフェの真実(前編)

 いざ6冠-。25日、東京競馬場でいよいよ「第32回ジャパンカップ」(GI、芝2400メートル)が行われる。GI6勝目を目指す日本のエース・オルフェーヴルは、10月7日にフランスで行われた世界最高峰GI凱旋門賞で2着。直線豪快に抜け出したものの、ゴール前で大きくヨレてクビ差で悲願成就を逃した。スルリとこぼれ落ちた夢。池江泰寿調教師(43)はあのとき、何を感じていたのか? 『オルフェの真実』前編では凱旋門賞の真実に迫る。 (聞き手・内海裕介)

 --いよいよJCだが、まずは凱旋門賞のことを振り返りたい。本当に惜しい2着。敗れはしたが、走りに感動した

 池江泰寿調教師「本当に多くの人にそう言ってもらえる。でも、自分としてはやはり1着じゃないとダメ。競馬はオリンピックじゃない。3着までが表彰台に上がれるスポーツではないからね。勝てたレースだっただけに今でも悔しい」

 --レース後の現地でのインタビューで「日本馬の力は証明できた。調教師(自分)の力が足りなかった」と答えていた

 「そう思ったのが言葉になった。最善の準備をしてもそうは勝てないのが競馬。ただ今回は自分自身、ボタンのかけ違いがあったから」

 --かけ違いとは?

 「ひとつあげるなら、(9月)12日に現地で行った追い切り。あのときのことは今も後悔している」

 --フォワ賞(9月16日)のレース当週の追い切り。具体的にはどういうことか?

 「その1週前、初めて現地で追い切りをやったときに、受け入れ先の小林智調教師にアドバイスをいただいて、レゼルボアという調教場で追い切りをかけたんだ。そこは幅員が狭く、左右を高い森で囲まれていて、早い話が馬にとってはブリンカーをつけたような効果があるコースでね」

 --非常に走りやすいコースだと?

 「そう。それで実際、オルフェーヴルも真っ直ぐ駆け抜けて、スミヨン騎手も『この馬が左右にヨレる気配はまったくない』と言ってくれてね。今から考えるとそれはコースの形態によるものなのに、僕はスミヨンなら真っ直ぐ走らせられるんじゃないかと、勘違いしてしまった」

 --そして翌週の12日も、同じレゼルボアで追い切りをかけた

 「12日はもっと広いコースでスミヨンに癖を確認してもらうつもりだった。でも、もしそこで逸走したり、捻挫でもしてしまったら遠征自体が台無しになってしまう。結局、安全策で同じコースを選んだ。それでフォワ賞も勝ったがために、もう(調教コースは)変えられなくなった。守りに入ってしまった」

 --それが大一番のクビ差に表れたと

 「オルフェーヴルの状態は、今までにないレベルに達していたと思う。これで負けたら仕方ないと思っても、レースには落とし穴がある。今回はその落とし穴が自分が気になっていたところだけに、余計に悔いが残る」

 --スミヨン騎手の騎乗ぶりに、早仕掛けという批判もある

 「あれを早仕掛けという言葉で片付けるのはかわいそう。オルフェーヴルがどれだけヨレるかを、レースまでにジョッキーに体感させられなかったことが失敗だった。ヨレるのはあの馬の個性だし、人間が矯正させることは無理。ただ、そのことを体で理解していたら違う。真っ直ぐ走るイメージしかなかったから早めに抜け出したけど、1頭になってヨレることを警戒してひと呼吸遅らせていれば、それこそ(勝った)ソレミアに5馬身くらい差をつけていたかもしれない」

 --日本馬の2着は1999年エルコンドルパサー、2010年ナカヤマフェスタに続いて3度目。勝てそうで勝てない

 「20代のころ、イギリスに滞在していたときに重賞を勝っている馬の調教に乗せてもらったけど、当時でも日本の馬も全然遜色ないと思った。凱旋門賞も何とかなると、ずっと思っているんだけどね。欧州のホースマンは、凱旋門賞を勝たないと日本の馬のことを絶対に認めないと思う。だから勝たなくちゃいけない。今回、もし勝っていたら英国のチャンピオンSでフランケル(=14戦全勝で引退した欧州最強馬)に挑戦させてほしいと、(オーナーサイドに)お願いしようかとも考えていた」

 --ファンの間では、来年の再挑戦を望む声も多い

 「今後のことはオーナーサイドが決めるべきこと。ただ、来年もしチャンスをいただけたら、今年以上の結果を残す自信はある。今年が良馬場で2着だったら、向こうの道悪がどうなのかという不安が残ったけど、あの馬場(不良)を克服できたことで不安材料があまりなくなった。スミヨン騎手も、もうオルフェーヴルの癖をつかんでくれたしね」(続く)

 ■池江泰寿(いけえ・やすとし)1969年1月13日生まれ。滋賀県出身。父は池江泰郎元調教師で、武豊騎手とは幼なじみ。93年10月に浅見国一厩舎に入り翌年、調教助手として父の厩舎に移籍。ステイゴールドなど多くのGI馬に携わる。英国のM・スタウト、米国のN・ドライスデール厩舎の研修を経て04年に厩舎を開業し、3月20日の阪神5R(ソニックサーパス)でJRA初出走初V。06、10年に最高勝率、08年に最多勝利、昨年は最多賞金獲得調教師となり、JRA賞を受賞している。GI制覇はドリームジャーニーの06年朝日杯FS、09年宝塚記念有馬記念オルフェーヴルの11年皐月賞、ダービー、菊花賞有馬記念、12年宝塚記念トーセンジョーダンの11年天皇賞・秋。JRA通算は重賞30勝を含む329勝。今年は51勝で全国2位(18日終了時点)。

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