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今の会社は、自分が入社した年にM&Aによって別の会社の子会社となっているのだが、その際、吸収合併後に最初に採用された社員が何を隠そう、私だ。「28歳まで」という年齢制限をガン無視し応募した私は当時34歳(笑)。“ダメもと”だったが会社は私を拾ってくれ、以来20年の月日が流れている。
ちょうど今から1年前の話だが、吸収合併される前の体制の「No.2」だった先輩社員が、私の校舎で最後の1ヶ月間の勤務を終え引退された。深夜に残業をしていて、ふとその時のことを思い出した。
かつては会社のナンバー2まで上り詰めた大先輩。保護者の中には先生の教え子だった方もいるくらい、職歴も長く人望も厚かったが、とにかく“頑固”で信念を絶対に曲げない人だったので、新体制ではどんどん職位も下がり、最後は私の部下だった。
「自分の最後を看取ってくれる人があなたで良かった。」
厳しすぎることで有名な先生だったが、彼の最後の勤務日、2人きりになった教室でいろいろ話し、最後に温かい言葉をいただいた。幹部の一人から「お疲れ様」の電話くらいあっても良さそうなものだが、誰からも、何の連絡もない。旧体制の職員の大半はすでにいなくなっていて、新体制の社員の中には彼が昔ナンバー2だったことを知らない社員も多い。それでも信念を貫き、最後まで誰にも媚びることなく、己の道を突き進み、キャリアを閉じようとしている大先輩に、せめて精一杯の餞を……と思い、買っておいた日本酒を手紙といっしょに進呈し、2人だけの教室で深く頭を下げた。
「実は……。私ものら~りさんに手紙を書きました。」
この返答には正直だいぶん驚いたが、有り難く頂戴し、なんだか照れくさかったので「後でゆっくり読ませて頂きます」と言い、静かな別れの夜の余韻に浸りながら帰ったのを覚えている。
さて、権力などなくとも凛と立ち続けたのは引退した大先輩だが、「力を失ってもなお輝き続ける」と言えば競馬だ。今週日曜、福島競馬場のメインは福島牝馬ステークスだが、このレース、「勢いを失いつつ輝く」金言で勝ち馬予想をしよう。今週の金言を紹介する。
曰く「福島牝馬ステークスはG1大敗馬を狙え」。
一昨年の勝ち馬ステラリアはG1大阪杯で8着だったし、3着クリノプレミアムはエリザベス女王杯11着。2022年1着のアナザーリリックも秋華賞7着と、このレースの好走馬にはG1で大敗しても目の輝きを失わない馬が多い。
シンリョクカは、エリザベス女王杯で一昨年9着、昨年4着。その後の近2戦も振るわないが、元は2歳女王決定戦でナンバー2まで上り詰めた存在。瞳に力が戻ればここは実力上位だ。
先生から戴いた手紙はA4用紙にして3枚あった。どれだけ熱い感謝の気持でもしたためてあるかと思ったら、そこには今の私の校舎の「課題」と「改善策」が山のように書き綴られていた。いやはや……やる、やるとは聞いていたが……ここまでとは(笑)。畏れ入りました、先生^^;。
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