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阪神大賞典で以前の会社の話を書いたらとめどなく思い出が溢れ、懐かしくなったのでここでもまた一つ。
新卒で入社したのは化粧品中心の消費財メーカー。駄菓子やカップラーメン、薬品など日用品の他、国立競技場のトラック素材や飛行機の胴体と羽根の接着剤等も作っていた。
私の初任地は化粧品研究所と工場の併設事業場。これだけ聞くとオシャレだが内容は想像とはだいぶ違った。
仕事は人事だったが「グラウンドに犬が入ったから追い出してくれ」とか「PC(perfume cologne=香水)工場にマムシが出たので獲ってくれ」とか「見学者通路にコウモリがいるから追い払ってくれ」など動物相手の案件が多かった(笑)。
現場は化粧品工場で、製造フロアでは原材料を順にタンクに投入し、高温で撹拌しバルク(中間製品)を作る。実際の商品を仕込む巨大タンクの他に100kg仕込みタンクがあり、研究所のビーカー試作品をスケールアップする前に100kgで試すべく使われていたが、使われるタイミングは主に新商品発売の前だった。
ある年の暮、現場を回っていたら100kg仕込釜が回っていた。新商品発売の話はなかったので不思議に思い潜水艦みたいな丸窓を覗き込むと内側にニンジンが張り付いていた。中では薄茶色の液体が回り大根や肉も見える。
(……モツ煮込み?)
そうなのだ。仕込んでいたのはなんとモツ煮込み(笑)。最初はナニがなんだか判らなかったが「高温でゆっくり撹拌」はモツ煮込みに最適なのと、コレが行われていた時期で把握した。翌日は仕事納めだったのだ。最終日に現場は忘年会をするが、その際皆で食す総量100kgのモツ煮込みを仕込んでいたのだ。とんでもない状況になぜかワクワクし、ニヤニヤしながら事務所に帰ったのを覚えている。
さて、思いもかけないが理に適っていたのは現場のモツ煮込みだが、「思いがけずも理に適う」といえば競馬だ。今週日曜中京競馬場のメイン競走は愛知杯だが、このレース「思いがけずも理に適う」金言で勝ち馬を予想しよう。では今週の金言を紹介する。
曰く「愛知杯の人気薄は理にかなう馬を狙え」。
愛知杯は荒れるレースで名高いが、このレースが中京で行われた年を見ると人気薄で好走した馬の多くは過去中京の重賞で好走していたり血統的背景に頷けたり、何かしら納得できる理屈があった。
コラソンビートは下位人気想定馬。デビュー以来1600m以下を使われ、近走2桁着順続きと低迷の状況だが、重賞勝ちがありFレビュー2着。力の下地はあるうえに久々の1400mに戻ってスムーズに運ぶことが出来れば、ここは一発大穴のチャンスだ。
件の仕事納め当日、酒を持って現場の忘年会を回った。お目当てはもちろんモツ煮込み。いろいろ部署を回って製造に辿り着いた時にはベロベロだったが、着くや否や係長に「モツ煮込み、食わせて下さい」と言ったら、にこやかに飲んでいた係長がハッと驚いた。「お前……見たな?」はい、のら~りくら~り現場歩いて……偶然見ちゃいました(笑)。
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