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【中央重賞懐古的回顧】2010年シンザン記念 夏には溶けてしまう冬馬?種牡馬ガルボの意外な健闘ぶり
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週末に行われる中央重賞の過去の優勝馬をピックアップして回顧し、競馬の長い歴史の狭間できらめいた馬を紹介する「中央重賞懐古的回顧」。第46回は2010年のシンザン記念優勝馬ガルボを取り上げる。
高知のガルボマンボが大晦日の当地の大一番にて天下を取り話題沸騰のさなか、当連載に父親のガルボが登場である。ガルボと言えば個人的に思い出されるフレーズが一つある。
「ガルボは冬に強くて夏に弱い。何故ならチョコレート菓子のガルボは夏は溶けてしまうから」
2010年代前半に彼が活躍していた頃、そんな根拠が不確かな風評が確かにあった。一種の競馬小話のようなものだし、真剣に取り合うのは無駄なことかも知れないが、そもそもお菓子のガルボの綴りは「Galbo」なのに対して馬のガルボは「Garbo」と表記する。日本人的には同じ発音だが、欧米人にしてみれば異なるのだ。
それはともかく、馬の方のガルボはいかにもSS直系らしい真っ黒な馬体と堂々たる流星を誇るグッドルッキングホースであった。3歳時にシンザン記念を勝った際には関東馬初の快挙としてちょっとした話題になったし、古馬になってからもマイル戦線の名脇役として随所で存在感を示し続けた。清水英克厩舎の看板ホースとして長らく光り輝いた彼は、種牡馬としても産駒は少ないながら健闘している。本当に大した馬である。
そんな種牡馬ガルボの特徴とは何か。芝ダートを問わずに活躍馬がいて、得意距離に関しても多種多様。そもそも同期の天皇賞馬ヒルノダムールに似通った血統の外貌からすれば本人がマイル前後を得意としていたのは不思議そのものだったが、現役時のイメージで見ると火傷しそうだ。先日の高知県知事賞にてガルボマンボを2400mの距離を理由に蹴った人は確実にいたはず。とりあえず「ガルボ産駒は意外と距離が持つ傾向にある」というのは声を大にして言いたいところである。
シンザン記念や東京新聞杯などの勝利によって形作られた「ガルボ=冬馬伝説」も、7歳夏に函館スプリントSをひょいと勝ったことで崩れ去った。マンハッタンカフェ産駒のスプリント重賞勝ちはジョーカプチーノが制した2011年のシルクロードS以来の出来事だったのだが、考えてみればこの2頭も血統が似通っている。ヒルノダムールからジョーカプチーノ、あるいはグレープブランデーと、種牡馬マンハッタンカフェは多彩な資質を産駒に遺伝させた稀有な存在だったんだと今では思う。そう考えてみると、様々なタイプを送り出しているガルボは父の正当後継と言えなくもないか…?
比較的新しいお菓子というイメージがどことなくあったガルボは1996年発売開始という。お菓子のガルボが広末涼子が宣伝していた当初よりもサイズを小型化されてブランドとして生き残ったように、本格派マンハッタンカフェの産駒であるガルボはマイル以下に特化する形で現役時代を生き抜き、種牡馬入りを果たした。これは時代の流れに沿った生き残り戦略と言えなくもないだろう。種牡馬として万能を誇ったマンハッタンカフェだが、後継の境遇は決して恵まれているとは言えない。そのスケールは徐々に“小型化”されて、他の種牡馬がカバーしきれない分野で稼ぎつつ生き残る運命にあるのだろうか。
ガルボ
牡 青毛 2007年生
父マンハッタンカフェ 母ヤマトダマシイ 母父ジェネラス
競走成績:中央42戦5勝
主な勝ち鞍:東京新聞杯 ダービー卿CT シンザン記念 函館スプリントS
(文:古橋うなぎ)
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