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週末に行われる中央重賞の過去の優勝馬をピックアップして回顧し、競馬の長い歴史の狭間できらめいた馬を紹介する「中央重賞懐古的回顧」。第3回は2003年のアイビスサマーダッシュ優勝馬イルバチオを取り上げる。
「Il Bacio」とはイタリア語で「口づけ」を意味する。とても情熱的な言葉だが、1997年に誕生した競走馬イルバチオの前半生は実に慎ましい。
デビューの時期は比較的早めの新表記2歳夏。舞台は新潟ダート1000mで、結果は人気薄で2着という滑り出しであった。翌年1月に6戦目にして初勝利を挙げた舞台は公営園田の地。この時手綱を取ったのは、兵庫から全国へと名を轟かせていた頃の小牧太騎手である。以後4歳いっぱいまでにイルバチオが挙げた3勝は、全て園田の交流競走でマークしたものだ。
小牧太だけでは無く、内田利雄、張田京、川原正一、吉田稔、大枝幹也、左海誠二…そして岩田康誠と、イルバチオの鞍上には新旧の地方の名騎手が数多く名を連ねている。彼女を管理していたのは美浦・小桧山悟調教師。同師は一期一会の縁を大切にする精神により全国的な人脈を持つことで知られ、中央の競走で地方騎手を頻繁に起用したり、所属馬を積極的に地方の交流競走へ挑ませたりと独自色の濃い方針を打ち出していた。近年こそ目立たなくなった特徴ではあるが、ともかく芝・ダートを問わず走ったイルバチオの実力はこうして醸成されていった。
自身の天職を求めるかのように転戦したイルバチオは、歳を重ねてやがて芝の短距離戦へと照準を定めていく。2003年の春から夏にかけて2勝を挙げてオープン入りを果たした彼女は、この時すでに6歳。鞍上は未だ固定できずにいたが、後方から鋭い脚を使う穴馬として短距離路線にて名を馳せつつあった。
夏の新潟開催へ船橋の左海誠二騎手と共に乗り込み、NSTオープン3着、関屋記念5着と善戦したイルバチオは、勢いを駆って中2週でG3・アイビスサマーダッシュへと挑んだ。重賞2戦目、そして新潟千直は2戦して3着が最高と実績には乏しかったが、他のメンバーに近走不振な馬が多く、単勝オッズは11.4倍の6番人気と評価は決して低くなかった。
2003年の夏と言えば、新潟競馬場の新装開店から2年経ち千直における方法論がほぼ確立された時期である。セオリー通りに外ラチ沿いを先行した橙帽のティエッチグレースが主導権を握る展開。しかし左海騎手が駆る青帽のイルバチオは自分の競馬に徹し、後方から馬場の真ん中を進んだ。次第に馬群は外へと偏ったが、イルバチオはその内側を進出すると、粘り込みを図ったティエッチグレースを上がり3ハロン31秒6の脚でゴール前捕らえて1着。彼女の秘めたる情熱が夏の新潟を熱くした瞬間であった。
6歳の夏に千直という天職を手にしたイルバチオ。彼女の曽祖母マタティナは直線5ハロンコースで行われるナンソープS(現在の英G1)を制した快速馬とあって、これも必然だったのかも知れない。以降は勝ち星に恵まれず、翌年6月に引退・繁殖入りを果たしたが、2022年現在もイルバチオは存命であるという。同厩・同馬主のトーラスジェミニに受け継がれたであろう彼女と小桧山師の情熱は、主に毎年の夏競馬を大いに賑わせている。
イルバチオ
牝 鹿毛 1997年生
父ロイヤルアカデミー 母サーファーガール 母父マナード
競走成績:中央47戦4勝 地方3戦3勝
主な勝ち鞍:アイビスサマーダッシュ
(文・古橋うなぎ)
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