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有終2勝!ありがとう“名伯楽”藤沢和師


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有終2勝!ありがとう“名伯楽”藤沢和師

 今月限りで定年を迎える調教師7人が27日、ラスト出走を終えた。藤沢和雄調教師(70)=美=は中山で2勝を挙げ、史上2位のJRA通算勝利数を1570勝としてフィナーレ。3頭を送り込んだ中山記念レッドサイオンの9着が最高だったが、最後まで存在感を示した。浅見秀一調教師(70)=栗=は小倉7Rで、高橋祥泰調教師(70)=美=は小倉8Rで最後の白星を挙げた。

 ようやく訪れた春の空気に包まれながら、名伯楽が笑顔でターフに別れを告げた。3頭を送り出した中山記念が藤沢和調教師のラストラン。JRA9113戦目はレッドサイオンの9着が最先着、コントラチェックは10着、ゴーフォザサミットは15着だった。

 最後の戦いを見届けると、愛馬のもとに駆け寄る。一番遅れて引き上げてきたレッドの首筋を軽くたたいて見送り、調教師としての仕事を終えた。

 「今日は辛い流れになってしまった。最後に外して、みんなごめん」

 報道陣に向けていつものスマイル。「うまくいかないことが多かったけど、ずっと応援していただいた。長い間ありがとう」と別れの言葉を続けた。

 それぞれのサラブレッドと向き合い、名馬を輩出。その血も当然のように広がりを見せている。サウジCデーを席巻したオーソリティソングラインの母の父シンボリクリスエスダンシングプリンスの母の父バブルガムフェロー、さらに中山記念を制したパンサラッサの母ミスペンバリーも藤沢和厩舎の所属馬だった。「血統のいい馬もたくさんやらせてもらったし、何頭か(種牡馬として)牧場に返すこともできた。それはよかった」とうなずいた。

 レース後、調教師仲間から贈られた花束を受け取ると、改めて多くのファンのほうを向いて一礼。長く響いた拍手は、ホースマンとしての半世紀の奮闘をたたえているようだった。

 「これだけ応援してもらった調教師はいないんじゃないのかな。本当にありがたかった。ちょっと人気になり過ぎのところもあったけど」

 今後はサークルを離れるが「長い間お世話になった世界だから、手助けできることがあればやらせていただきたい」と、違った立場から競馬を見守っていくという。この日2勝を上乗せし、通算1570勝。今年の関東リーディングは11勝で首位のまま、惜しまれつつターフを去るが、日本の競馬に根付いた“藤沢の流儀”は、数多のチルドレンがしっかりと引き継いでいく。(内海裕介)

■藤沢 和雄(ふじさわ・かずお)1951(昭和26)年9月22日、北海道生まれ、70歳。実家はテンメイ(78年天皇賞・秋)などを生産した藤沢牧場。88年に美浦で厩舎を開業。93年マイルCSシンコウラブリイ)での初制覇から昨年のマイルCSグランアレグリア)までJRA・GI34勝。JRA通算1570勝。重賞126勝。

★アラカルト★ ◆JRA勝利数 1570勝で史上2位。1位は尾形藤吉元調教師の1670勝。現役2位は国枝栄調教師の987勝(27日現在)。

 ◆JRA重賞 126勝で史上2位。1位は尾形藤吉元調教師の127勝(国営以前も含めると189勝)。

 ◆JRA・GI 34勝でグレード制導入後最多。2位は角居勝彦元調教師の26勝。管理したGI馬は17頭。

 ◆JRA賞 最多勝利調教師を12度、最高勝率調教師を9度、最多賞金獲得調教師を8度獲得。

 ◆年間重賞最多勝 1997年に13勝。64年尾形藤吉元調教師の12勝を更新。

 ◆同一年オークス&ダービー制覇 2017年にソウルスターリングレイデオロで達成。史上5人目。

 ◆蛯名正厩舎へ…藤沢和厩舎の所属馬は3月1日付で全て転厩となる。中山記念に出走した3頭(コントラチェックは引退予定)を含め、多くは新規開業する蛯名正厩舎へ。3戦2勝のラスール(牝3)は美・宮田厩舎、昨年の青葉賞2着馬キングストンボーイ(牡4)は美・鹿戸厩舎、一昨年のシンザン記念勝ち馬サンクテュエール(牝5)は美・田中博厩舎の所属となる。

 ◆1990年代はじめから10年余り藤沢和厩舎の主戦騎手を務めた岡部幸雄氏(73) 「藤沢調教師とは競馬に対する考え方で一致する部分が多く、騎手としての晩年を楽しく過ごせた。調教法など多くの面で日本の競馬を変えたし、最近の活躍を見ても、制度とはいえやめてしまうのはもったいないね。長い間、お疲れさまでした」

 ◆厩舎所属の杉原誠人騎手「たくさんの経験をさせていただきました。引退されても僕の先生ですし、見守っていてほしいです。お疲れさまでした」

 ◆中山記念レッドサイオンに騎乗した所属の木幡育也騎手「最後に大きな舞台で乗せていただいて、恩返しがしたかった。先生の教えをこれからも生かしていきたい」

 ◆中山記念コントラチェックに騎乗した丸山元気騎手「ペースが速かったぶん、道中の力みはなかったけど、最後に苦しくなりました。(引退レースで)最後まで頑張ってくれました」

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