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重賞連勝中のオーソリティ(牡3歳)で有馬記念に参戦する木村哲也調教師(48)=美浦=に、本紙単独でインタビューを行った。厩舎開業10年目にして初めて迎える大舞台、上昇ムードの管理馬とともに挑む現在の心境などを聞いた。 (取材構成・柴田章利)
--開業10年目にして初の有馬記念出走
「昔から競馬は見ていましたが、もっとも印象に残っているのが、イナリワンが勝った有馬記念(1989年)なんです。それから31年たった今年、有馬記念に管理馬を送り出せるのは本当に幸せですね。コロナ禍で多くのお客さんが競馬場に来ることはできないけど、競馬ファンや競馬業界に恩返ししたいという思いはあります」
--今回参戦するオーソリティは3歳馬で、昨夏にデビュー。函館新馬戦、芙蓉Sと連勝した
「今はクラシック路線に乗せるには、夏場に勝って、秋口に勝って、というのがパターン。厩舎としては初めて2戦2勝でGI(ホープフルS)に出走させることができました。順調にいくのは難しいと思っていたし、この馬は運がいいと思いましたね」
--そのホープフルSは5着。続く今春の弥生賞は3着だった
「ホープフルSはレース自体も(他馬と接触する)不利があったけど、レース直前になって順調さを欠いてしまったのが残念でしたね。弥生賞は道悪(重馬場)とかもありました。この結果で皐月賞に行って勝てるのか、というのをオーナーサイド(シルクレーシング)と相談して、皐月賞は(出なくて)いいので青葉賞に行かせてほしい、と話しました。距離が延びるのはいいと思っていたので」
--青葉賞はクビ差で勝利を収めたが、その後に左第1指骨の剥離(はくり)骨折が判明した
「厳しい位置取りから、よく勝ってくれたと思います。骨折は残念でしたけど、結果的に休ませることができたし、馬は成長して帰ってきました。何よりフレッシュな感じで戻ってきたのがうれしかったですね」
--復帰戦の前走、アルゼンチン共和国杯で初の年長馬相手に快勝した
「(道中3番手から)自分でレースを組み立てて勝ちきったし、評価していい内容でしたから。その日のうちにオーナーに『有馬記念に使わせてほしい』と伝えました。もちろん、状態がいいという前提ですけど」
--16日の1週前追い切りでは美浦Wコースで6ハロン81秒8-12秒9の好タイムをマーク。併走相手でオープンクラスの3歳馬ダーリントンホールに1馬身先着した
「レースを使ったことで毛づや、体の張りが良くなっています。オーソリティは決して優等生ではないけど、体育会系のノリがある。朝、馬房に担当者が顔を出したとき、きょうも走らされるのか、と思って後ろを向いてしまう馬もいるけど、この馬は自分から担当者に寄っていくんですよ。走ることにポジティブで、日々のトレーニングもいやにならない。今回は、この馬のこれまでのキャリアで最もいい状態でレースにいけそうです」
--有馬記念では名だたるGIホースたちと対戦する
「東西のエース級が出てきますからね。オーソリティにとっては試金石になると思います。枠順もあるけど、1周目のスタンド前をリズム良くいければ」
--このレースは過去10年で3歳馬が5勝
「そういう感じで注目してもらえるのは、いいですね。年長の実績馬がゴロゴロいて、3歳馬はどうみてもチャレンジャーだから、送り出す側としては気持ちが楽、というのはあるかな。今年も構図ができあがっていますよね。関東のフィエールマン、関西のクロノジェネシス、ラッキーライラックという強い3頭がいる。それに挑戦する立場ですから、楽しみにしながら送り出せます」
■木村 哲也(きむら・てつや) 1972(昭和47)年11月16日生まれ、48歳。神奈川県出身。JRA競馬学校厩務員過程を卒業し、2000年10月から美浦トレセンで厩務員、調教助手を経て、11年に美浦で厩舎を開業。同年8月13日の新潟8Rに出走したレッドプラネットで初勝利。15年GIIIフラワーCで重賞初勝利(アルビアーノ)。18年にはマイルCS(ステルヴィオ)でGI初勝利を挙げ、同年のJRA賞(最高勝率調教師)を受賞した。22日現在、JRA通算2061戦264勝(うち重賞12勝)。
★川田能力を評価…オーソリティの手綱を取るのは、先週の朝日杯FSを7番人気のグレナディアガーズで制した川田将雅騎手(35)=栗・フリー、写真。初コンビのパートナーについて、鞍上は「前走は休み明けで年長馬とも初対戦。それでも、好位から運んできっちりと勝ちきるのは、能力の高さだと思います」と印象を語る。有馬記念に向けては「3歳馬は年長馬より斤量が軽いですからね。前走だけじゃなく青葉賞も勝っていて、距離適性も高いですし、楽しみです」と期待を寄せている。
★3歳馬は過去10年5勝…過去10年の有馬記念は2010年ヴィクトワールピサ、11年オルフェーヴル、12年ゴールドシップ、16年サトノダイヤモンド、18年ブラストワンピースと3歳馬が最多の5勝をマーク。勝率、連対率、複勝率のいずれもトップとなっている。一般的に3歳馬は成長の余地が大きく、4歳以上の馬が57キロ背負うのに対し、3歳馬は55キロと斤量面でも2キロのアドバンテージがある(牝馬はそれぞれ2キロ減)。
★有馬記念の特別登録(想定騎手入り)はこちら 調教タイムも掲載★「有馬記念2020」特集ページはこちら
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