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ありがとうアーモンドアイ~1700人が最後の別れ


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ありがとうアーモンドアイ~1700人が最後の別れ

 史上最多の芝GI9勝を挙げたアーモンドアイ(美浦・国枝栄厩舎、牝5歳)の引退式が19日、最終12R終了後の中山競馬場のパドックで行われた。コロナ禍で入場者が限定されるなか、国枝栄調教師、C・ルメール騎手などこれまで携わってきた関係者と、約1700人のファンが、最強牝馬の現役引退を惜しんだ。今後は北海道安平町のノーザンファームで繁殖生活に入り、今年の3冠牝馬デアリングタクトの父として知られるエピファネイアと交配する。

 ◇

 最終レースが終わり、日が傾いて冷たい空気が吹き込む時間になっても、中山競馬場のパドックにはファンから熱い視線が注がれていた。史上最多の芝GI9勝を積み上げたアーモンドアイの引退式。衣装はレースと同じ、黒いメンコ(覆面)にシャドーロール。そして、3週間前に有終の美を飾ったジャパンCのときと同じ馬服をまとい、これまで通り根岸助手、椎本助手に引かれ、落ち着いた脚取りでパドックを周回した。

 その真横に設置されているスクリーンには、デビュー戦から牝馬3冠制覇、最強女王から伝説のヒロインにまで名声を高めた今秋のジャパンCまでのヒストリーと、ファンから寄せられたメッセージが次々と流れた。

 「アーモンドアイは最初から特別な馬でした。彼女のたたずまい、走る姿、ファイティングスピリット、たぐいまれな能力。日本だけにとどまらず、海を越えて世界中の競馬ファンを魅了した」

 引退式に参加した主戦のルメール騎手は、最後の時間をいつくしむようにアーモンドアイの顔をなで、この日のためにしたためた手紙を読んだ。

 「ジョッキーとしてこのような素晴らしい馬に騎乗できたことを光栄に思います。彼女の背中で味わったスリルと興奮を永遠に忘れない。彼女は私たちの記憶に永遠に残ります」

 この最強牝馬を管理してきた国枝調教師は「きょう限りということで、ちょっとジーンとくるものがある」と胸の内を語った。思い出のレースには芝2400メートル2分20秒6の世界レコードで勝った3歳時のジャパンCを挙げ、「素晴らしいレースをして、すごい時計で勝った。一番記憶に残っている」。世界最高峰のレース・フランスの凱旋門賞には挑戦できなかった。それでも、海外GI制覇を成し遂げたドバイターフの印象は深く、「俺の中では世界で一番の馬」という思いは、引退式を迎えた今でも変わらない。

 普段のアーモンドの様子を改めて振り返り「リラックスしているときは本当にかわいくて、美人さん。こんなにきれいな馬がいるのかなと思うくらい」と、トレーナーはまるでまな娘を思う父親のような表情を見せた。

 この後は生まれ故郷の北海道安平町にあるノーザンファームで繁殖生活に入り、初年度はエピファネイアの種付けが決まっている。国枝師は「子供が生まれたら私の厩舎でやりたいなと思っている。いい子を産んでください」と2世への期待を込めた。早ければ、2024年の夏にも初子がデビューする予定だ。

 引退式の終盤にはメンコを外して、かわいらしい素顔を見せたアーモンドアイ。ここまで携わってきた関係者、最後まで競馬場に残った約1700人のファンは、圧倒的な強さと美を兼ね備えたターフのヒロインの最後の姿を、その目にしっかりと焼き付けたに違いない。

 ありがとう。お疲れさま、アーモンドアイ。(板津雄志)

アーモンドアイ 父ロードカナロア、母フサイチパンドラ、母の父サンデーサイレンス。鹿毛の牝5歳。美浦・国枝栄厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。戦績15戦11勝(うち海外1戦1勝)。総獲得賞金19億1526万3900円(うち海外3億9570万900円)。重賞は2018年GIIIシンザン記念桜花賞オークス秋華賞、18&20年ジャパンC、19年ドバイターフ、19&20年天皇賞・秋、20年ヴィクトリアマイルの10勝(シンザン記念以外はGI)。馬名の意味は「美人とされる顔の目の形」。

アーモンドアイの競走成績はこちら

【関係者もありがとう】 ◆シルクレーシング・米本昌史代表「思い起こしますと、いつも美しく強いアーモンドアイでした。メルシー、アーモンドアイ」 ◆ノーザンファーム・吉田勝己代表「今日見ていても本当におとなしい馬だよね。これからいい牝系を残してくれれば」 ◆ノーザンファーム・中島文彦GM「(当歳のころは)特に普通の子供と一緒でした。(アーモンドアイは)来週24日(木)にノーザンファーム天栄を出発し、25日に北海道に入る予定です」 ◆ノーザンファーム天栄・木實谷雄太場長「ラストの2戦はこれまでの集大成のようなレースでした」 ◆主戦のルメール騎手以外で唯一、レースで騎乗した経験のある戸崎圭太騎手「(一昨年のシンザン記念は)心配も不安もなく乗った記憶があります。本当にきれいな馬でしたね」 ◆今春のヴィクトリアマイルの追い切りで手綱を取った三浦皇成騎手「調教で乗せてもらっただけですが、経験したことのない背中で、僕の財産になっています」 ◆担当の国枝厩舎・根岸真彦調教助手「今は別れが寂しいですね。たくさんの感動を与えてくれたし、これからはゆっくり過ごしてほしい」 ◆国枝厩舎・椎本英男調教助手「1回目のジャパンCが一番の思い出です。夢と希望と元気をありがとうございます」



【アラカルト】 ◆歴代最多の芝GI勝利 9勝(18年桜花賞オークス秋華賞、18&20年ジャパンC、19年ドバイターフ、19&20年天皇賞・秋、20年ヴィクトリアM)。すべて芝のレースで、芝では国内最多。 ◆重賞勝利 海外を含めて10勝で、牝馬では歴代最多。 ◆東京の重賞勝利数 6勝=ウオッカと並んでトップ ◆JRA賞 2018年に年度代表馬、最優秀3歳牝馬に選出された ◆生涯獲得賞金トップ 19億1526万3900円(うち海外3億9570万900円)=別表。 ◆通算レース距離 2万8500メートル(平均レース距離=1900メートル)。 ◆クラブ募集時の一口価格 6万円 (500口=総額3000万円)。 ◆馬名の由来 美人とされる顔の目の形。

★引退式当日の中山入場券…引退式が行われた19日の中山競馬場の指定席入場券は、2542枚分の募集に1万1851人の申し込みがあった。当選倍率は4.66倍で、これは5回中山開催5日間(5、6、12、13、19日)でトップ。

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