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天皇賞・秋が1日、東京競馬場で行われ、単勝1番人気のアーモンドアイが快勝。昨年に次ぐ連覇を果たし、史上最多となる8度目の芝GI制覇を成し遂げた。国枝栄調教師(65)は偉業達成にホッとした表情。次走の明言は避けたが、今後も現役を続行し、年内にもう1戦する可能性があり、さらなる記録の更新の期待もかかる。
数々の名馬がはね返されてきた芝GI8勝の偉業達成。その瞬間を迎えても国枝調教師はいつもの表情を崩さなかった。
「これだけの馬ですからね。“七”より“八”の方が末広がりでいいから、ホッとしました」
その口ぶり、飄々とした“国枝節”も変わらない。だが、この日の5R新馬戦で期待馬のクライミングリリーが1番人気で敗れた(8着)後、報道陣から「天皇賞でいいことが待ってますよ」と声をかけられても、「そう信じているけど…」と歯切れは悪く、やはり緊張は隠せなかった。
2002&03年のシンボリクリスエスに次ぐ、史上2頭目となる秋の盾連覇。レースは横綱相撲に見えたが、最後に追い詰められる場面も。「ゲートも落ち着いていたし、いいポジションを取れて、スムーズすぎるかなと思ったほど。万全を期して追い出したけど、最後は一杯になっていた。そんなに簡単にはいかないね」。表情には出さなくても、のしかかっていた重圧から解放されたことは明らかだ。
今後については明言を避けたが、候補に挙がるのはジャパンC(29日、東京、GI、芝2400メートル)か、登録している香港C(12月13日、シャティン、GI、芝2000メートル)か-。
クラブの規約で来春から繁殖入りするため、引退へのカウントダウンが始まっているアーモンドアイ。まだしばらくは、指揮官も重圧との戦いがあるが、この日は「注目を浴びて、期待に応えて8つめのGIを獲れた。みなさんの応援のおかげです」と、最後は晴れやかな表情になっていた。 (柴田章利)
史上初の芝GI8勝。過去にどんな名馬も成しえなかった偉業に、(有)シルクレーシングの米本昌史代表は、「見届けた後、ホッとしました」と目を細めた。「(ライバルが)後ろから来ているのが見えたので、直線が長いなと感じましたね。しかし、改めて強い馬だなという思いがフツフツと…。それぞれ違う、いろいろな景色を見させてもらっての8つのGI制覇。一つ一つ積み重ねての偉業ですし、国枝調教師をはじめ厩舎、牧場のスタッフには感謝の二文字しかありません」と感慨深げに語った。
気になる今後については、「まだいけると判断できたなら、秋はもう1戦。どこかはケアしてからしっかり考えます」と話すにとどめた。
生産者のノーザンファームは、2018年から3年連続の天皇賞春・秋制覇。中島文彦GMは「いい位置での競馬で抜け出してからは強かったですね。差を詰められはしましたが、力を信じていたので安心して見ていた。それにしても感動もの。牧場の誇りです」と喜びをかみしめていた。
★1日東京11R「天皇賞・秋」の着順&払戻金はこちら
◆最初に芝GI7勝を記録したシンボリルドルフの主戦を務めた岡部幸雄元騎手 「まずアーモンドアイ、関係者を祝福したい。シンボリルドルフの頃は今のように強い牝馬が出現するとは思えなかったけど、以前から牝馬の活躍が目立った欧州並みに日本の競馬もレベルアップした証しだろう。国枝厩舎は騎手時代に縁があった厩舎(重賞初制覇が岡部氏が騎乗した1998年ダービー卿CTのブラックホーク)。とにかく皆が真面目で、厩舎の力も大きいと思う」
★アラカルト
○…連覇 天皇賞・秋の連覇は2002(中山)&03年シンボリクリスエスに次ぐ史上2頭目。東京での連覇は初。
〇…C・ルメール騎手 通算3勝目で武豊騎手の6勝に次ぐ現役2位。天皇賞・秋3連覇は保田隆芳元騎手(1949~51年)以来69年ぶりで、史上2人目。18年秋から天皇賞5連勝で、これは自身の記録を更新する歴代最多記録。JRA・GIは今年5勝目、通算32勝目。重賞通算102勝目。
○…国枝栄調教師 JRA・GIは今年2勝目、通算18勝目。JRA重賞は今年3勝目、通算53勝目。
○…馬主 (有)シルクレーシング(シルク・有限会社シルク名義も含む) 通算2勝目。JRA・GIは今年3勝目、通算15勝目。JRA重賞は府中牝馬S(サラキア)以来で今年12勝目、通算67勝目。
○…生産者ノーザンファーム 通算7勝目。3回目の天皇賞・春秋の同一年制覇。JRA・GIは今年7勝目、通算151勝目(他にJ・GI3勝)。JRA重賞は今年41勝目、通算645勝目。
○…獲得賞金 JRA競走での獲得賞金は12億1632万9000円となり歴代9位。また、JRA以外の競走を含む獲得賞金は16億1202万9900円で歴代4位。
○…ロードカナロア産駒 昨年の本馬に続く2年連続で通算2勝目。JRA・GIは今年2勝目、通算10勝目。JRA重賞は京成杯AH(トロワゼトワル)以来で今年11勝目、通算33勝目。
〇…前走からの最長間隔での勝利 昨年同様、前走の安田記念から中146日での勝利。これは天皇賞・秋の距離が2000メートルになった1984年以降では最長間隔タイ。
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