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春の実績馬が好発進だ。紫苑Sが12日、中山競馬場で18頭によって争われ、田辺騎乗で5番人気のマルターズディオサが、4コーナー先頭から押し切って快勝。チューリップ賞に次ぐ重賞2勝目を飾った。1馬身1/4差の2着に10番人気パラスアテナ、3着に3番人気シーズンズギフトが入り、この上位3頭が秋華賞(10月18日、京都、GI、芝・内2000メートル)の優先出走権を獲得した。
春のクラシック戦線を歩んだ実力派が、秋初戦で堂々たる勝ちっぷりを披露した。マルターズディオサが4コーナー先頭の積極策でチューリップ賞に続く重賞2勝目をマーク。白熱した2、3着争いを繰り広げるライバルたちを尻目に、1馬身1/4差をつける完勝劇だ。主戦の田辺騎手が満足げに振り返る。
「春はローテーション的にきつかったけど、(夏が)いい休みになりましたね。身も心も成長してくれた。距離がもつかどうかは分からなかったけど、開幕週だったので流れに乗せていった。正攻法で押し切れたのは大きい」
オークス以来3カ月半ぶりの実戦で、馬体は12キロ増の446キロまでビルドアップ。春までは線が細かった馬が、鞍上にはたくましく映った。レース運びも盤石。抜群のスタートダッシュから2番手で折り合い、直線では余裕をもって追い出し、後続を寄せつけなかった。マイル戦でしか勝ち星がなかったが、これで2000メートルも許容範囲だということを証明。稍重馬場も問題なくこなせたのは、本番に向けての大きな収穫だ。
ディオサの復活Vに手塚調教師は「自信はあったよ。たまたまじゃない。完勝です」と目を細める。今春はチューリップ賞で勝った後のダメージが大きく、桜花賞(8着)、オークス(10着)ともに満足いく状態で臨めなかったが、この秋は違う。「チューリップ賞のときほど(調教を)やっていないから余裕を持っていける。次もこの体重を維持していきたいね」とトレーナー。上がり目を残して本番へ向かえるのは間違いなくプラスだ。
「京都内回り2000メートルはポジションを取れる馬に有利。自信を持っていきます」と田辺騎手は期待を膨らませる。
秋の始動戦で確かな手応えを得た。次走はもちろん、牝馬3冠最終戦の秋華賞。無敗の2冠女王デアリングタクトに、胸を張って挑戦状をたたきつける。(板津雄志)
■マルターズディオサ 父キズナ、母トップオブドーラ、母の父グランドスラム。青鹿毛の牝3歳。美浦・手塚貴久厩舎所属。北海道日高町・天羽禮治氏の生産馬。馬主は藤田在子氏。戦績は8戦4勝。重賞は2020年GIIチューリップ賞に次いで2勝目。獲得賞金1億3300万1000円。紫苑Sは手塚貴久調教師、田辺裕信騎手ともに初勝利。馬名は「冠名+女神(スペイン語)」
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