チャンピオンズカップが1日、中京競馬場でフルゲート16頭によって争われ、川田騎乗の2番人気クリソベリルがチャンピオンズCレコードの快走で、デビュー6連勝となるGI2勝目を飾った。6戦無敗での古馬GI制覇は史上2頭目で、JRAのダートGIを無敗で制するのは史上初。来年は海外の高額賞金レースも
ターゲットになりそうだ。1番人気の
ゴールドドリームがクビ差の2着。
それまでのド派手な独走劇とは違う“クビ差”の辛勝。それが、かえって勝者の奥深い才能を感じさせた。5戦全勝で挑んだ3歳馬クリソベリルが、大激戦となったゴール前で2頭の古馬チャンピオンホースの間を割ってもうひと伸び。従来の記録を1秒6も上回る1分48秒5のチャンピオンズCレコードで、ダート界の王者に君臨した。
「両サイドが素晴らしい馬でなかなか前に出ることが難しかったのですが、3頭でしっかり併せたところから、自分で抜け出してくれました。圧倒的なポテンシャルがあると改めて感じました」
川田騎手が発する言葉の端々に、パートナーへの信頼の大きさが漂う。
(5)番枠から好スタートを切り、道中は逃げた
インティの直後へ。外を囲まれる展開は初めてだったが、「
インティが止まることはないと思っていましたし、この枠に決まってから外に出すイメージはなかったです」。直線で進路を切り替えてからは力強いストライドで
インティを捕らえ、外から並んできた
ゴールドドリームも差し返した。
管理する音無調教師は初の一線級との戦いを「離して勝てないのは分かった。55キロの斤量も良かったのでしょう」と謙遜ぎみに振り返ったが、勝ち切った愛馬には「勝負根性がある。堂々とした競馬だったと思う」と賛辞を贈った。11キロ増で550キロにまでビルドアップした馬体も「まだ増えてもいい」とさらなる成長を期待する。
6戦の最少キャリアに加え、6戦無敗での古馬GI制覇は、ともに2002年
エリザベス女王杯を勝った
ファインモーションと並ぶ快挙。無敗でのJRAダートGI制覇は、史上初だ。
これでJRA賞最優秀ダートホースのタイトルに限りなく近づいただけでなく、ダートホースとして初めて最優秀3歳牡馬とのダブル受賞も見えてきた。この後は放牧に出て年内の出走はないが、来年は国内だけでなくドバイワールドC(3月28日、UAEメイダン、GI、ダ2000メートル、1着賞金720万ドル=約7億9200万円)などの海外の高額賞金レースも視野に入ってくる。
「まだ負けていないですし、成長している最中でこれだけのレースをしてくれたことが収穫です。もっと強くなる馬だと思います」
川田騎手にここまで絶賛させるクリソベリル。天下分け目の尾張の一戦を制した未完の怪物のスケールは、計り知れない。 (板津雄志)
★今年の3歳馬が55キロの理由
12月初旬のチャンピオンズCは4歳以上が57キロ、3歳が56キロの負担重量(牝馬それぞれ2キロ減)で行われることがほとんどだが、今年の3歳は6年ぶりに55キロで戦える利点があった。規定では『1600メートル超2200メートル未満のレースで、3歳は11月なら4歳以上に対して2キロ減、12月は同1キロ減』という設定。ただし、このルールは『節単位』で定められ、この節の競馬、つまり土曜の開催は11月30日だったため、12月1日の競馬でもチャンピオンズCの3歳馬は2キロ減となった。
★入場&売り上げ
チャンピオンズCの売り上げは155億1046万8800円で、対前年比106・1%と売り上げ増だった。今年の平地GIは20レースを終了し、売り上げ増は11レース目。一方、入場者数は3万2064人で対前年比98・7%とわずかに落ち込んだ。
クリソベリル 父
ゴールドアリュール、母クリソプレーズ、母の父
エルコンドルパサー。鹿毛の牡3歳。栗東・
音無秀孝厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)キャロットファーム。戦績6戦6勝(うち地方3戦3勝)。獲得賞金2億2460万2000円(うち地方1億700万円)。重賞は2019年の交流GII兵庫CS、交流GI
ジャパンダートダービー、交流GII
日本テレビ盃に次いで4勝目。チャンピオンズCは
音無秀孝調教師、
川田将雅騎手ともに初勝利。馬名は「金緑石。母名、兄姉名より連想」。