第61回
有馬記念(25日、中山10R、GI、3歳上オープン国際(指)、定量、芝・内2500メートル、1着本賞金3億円 =出走16頭)クリストフ・ルメール騎乗で1番人気の
サトノダイヤモンドが、ゴール前の大激戦を制してGI2勝目を挙げた。古馬の
チャンピオンを倒した3歳馬は来年、日本競馬の悲願、
凱旋門賞(10月1日、仏シャンティイ、芝2400メートル)制覇を目指す。タイム2分32秒6(良)。2着は
キタサンブラック、3着は
ゴールドアクター。1、2、3番人気の順で決着したのは1977年の1着テンポイント、2着トウショウボーイ、3着グリーングラス以来39年ぶり2度目だった。
約10万人の大観衆が、国内最高峰のたたき合いに酔いしれた。GI馬3頭が直線で繰り広げた大激戦は、3歳馬の
サトノダイヤモンドが、先に抜け出した
キタサンブラックをクビ差で捕らえ決着。国内最強の座を手に入れ、相棒の背中で歓喜の涙を流したルメール騎手は、場内インタビューで声を詰まらせた。
「すごく、すごくうれしいです。4コーナーで内の
ゴールドアクターからプレッシャーを受けたので反応が少し遅かったけど、ゴール前まですごく頑張った。新馬戦からずっと乗って、
有馬記念も勝てた。きょうは素晴らしい日です」
レース後は感情を高ぶらせたが、冷静かつ巧みな手綱さばきが光った。
前半は中団の外めを追走。前方に視線を送ると「一番のライバル」というブラックが、2番手でリズムよく走る姿が見えた。リスクを覚悟で動いた。促しながらポジションを上げ、向こう正面では早くも3番手。4コーナーでは外を回ったぶんだけブラックとの差は少し開いたが、急坂を上り切ってから詰め寄り、最後の最後でかわした。
2012年の
ゴールドシップ以来、史上18頭目の3歳馬V。05年に
ハーツクライに騎乗し、無敗で3冠を制した
ディープインパクトに初めて土をつけた経験があるからこそ、その重みが分かる。「能力がすごく高い。スーパーホースになりました」。3歳時に敗れたディープの雪辱を、息子の
ダイヤモンドで果たしたことも縁だろう。戸崎騎手とのリーディング争いは1勝差で屈したが、
ホープフルSの
レイデオロに続き重賞連勝締め。勝負強さを見せつけた。
モーリスは引退。今年の国内平地GIでただ1頭、2勝を挙げていた
キタサンブラックを倒し、日本NO・1として来年は世界制圧をにらむ。
有馬記念で歴代単独1位となる4勝目を挙げた池江調教師は「春は国内に専念して、秋は
凱旋門賞から逆算したローテーションを組んでいこうと、オーナーと話をしました。背腰に芯が入れば、もうひとつ、ふたつ上のギアと爆発力が備わると思います」と先を見すえた。
ルメール騎手は「頭がよくて、すぐにいいポジションを取れる。スタミナもあるので、
凱旋門賞にはいいタイプ。いけると思います」。日本競馬の悲願、そして鞍上にとっても初となる世界の頂点へ、思いをはせた。
磨けばまだまだ輝きが増す
サトノダイヤモンドが、日本競馬の未来を明るく照らしていく。 (川端亮平)
★25日中山10R「
有馬記念」の着順&払戻金はこちら
アラカルト ★
ディープインパクト産駒 14年
ジェンティルドンナに次ぐ2勝目。JRA・GIは37勝目。今年は重賞38勝目で、03年に父サンデーサイレンスの産駒が樹立した最多勝記録に並んだ。 ★1番人気馬のV 13年
オルフェーヴル以来の22勝目。 ★関西馬のV 14年
ジェンティルドンナ以来で、通算では27勝目。関東馬は34勝。 ★払戻金 ワイド(1)(11)200円、馬単(11)(1)770円、3連複(1)(2)(11)1050円、3連単(11)(1)(2)3940円はそれぞれ
有馬記念の最低払戻金額。
サトノダイヤモンド 父
ディープインパクト、母マルペンサ、母の父オーペン。鹿毛の牡3歳。栗東・
池江泰寿厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は里見治氏。戦績8戦6勝。獲得賞金6億7496万4000円。重賞は2016年GIII
きさらぎ賞、GII
神戸新聞杯、GI
菊花賞に次いで4勝目。
有馬記念は、
池江泰寿調教師が09年
ドリームジャーニー、11・13年
オルフェーヴルに次いで4勝目、クリストフ・ルメール騎手は05年
ハーツクライに次いで2勝目。馬名は、「冠名+宝石名。額の流星の形から連想」。