第23回
根岸S(1日、東京11R、GIII、4歳上オープン国際、別定、ダ1400メートル、1着本賞金3900万円=出走16頭)
岩田康誠騎乗、4番人気の
フェラーリピサが好位から抜け出し快勝。タイム1分22秒1(重)。
エルムSに続き、休養をはさんでGIII連勝を果たし、
フェブラリーS(22日、東京、GI、ダ1600メートル)の有力候補へ名乗りをあげた。追い込んだ
ヒシカツリーダーがクビ差の2着に入り、先行した
セントラルコーストが3着。1番人気の
バンブーエールは伸びを欠き、5着に敗れた。
病を克服して、GIへの扉を開いた。顔面神経痛のため4カ月半ぶりの実戦となった
フェラーリピサが、好位から抜け出す堂々たる内容で
フェブラリーSの前哨戦を快勝。東京ダート1400メートルのコースレコードホルダー(1分21秒9)が、その力を存分に示した。
好ダッシュから3~4番手を無理なく追走。残り400メートルで馬なりのまま
セントラルコーストに並びかけて競り落とし、
ヒシカツリーダーの追撃をクビ差しのいだ。
「手応えは抜群で、直線半ばまで追い出しを我慢した。何とか我慢してくれましたね」。コンビを組んで5勝目。レコードホルダーの力強い走りに、
岩田康誠騎手は安堵の表情を浮かべた。
だが、ここまでの道程は楽ではなかった。眼鏡の奥に見える
白井寿昭調教師の目は涙ぐんでいるようにも見えた。
エルムSを勝った後、JCダートを目指して北海道から栗東に帰厩したが、顔の右側の異変に気付いた。
「右の口が下がって、よだれを流していた。カイバもうまく食べられなくなってしまった」。打撲でもなく、ウイルス性の疾患でもなかった。「おそらくストレスからきたものだろう」。様々な治療を試み、症状が良化をみせると、初歩段階から調教を再開。昨年12月から時計を出し始め、じっくりと追い切りを重ねてきた。「症状は回復しているし、直前の動きもよかった。それでも、競馬はやってみないと…」。仕上がりに自信はあっても、競馬に行って以前のように力を出せるかは、不安だった。
今でも少し顔が歪むことはあるが、この勝利で病は乗り越えた。「これで自信を持って行けるかな」。02年
アグネスデジタル、05年
メイショウボーラーに続く
フェブラリーS3勝目に意欲を見せる白井師。本番は休み明けを使った上積みも見込める。
カネヒキリ、
ダイワスカーレットらの強豪に、完全に立ち直った
フェラーリピサが真っ向勝負を挑む。(下村静史)