松山弘平(35)=栗・フリー=騎乗の9番人気
パンジャタワーが、中団から直線で外から伸びて優勝。1分31秒7の好タイムでGⅠ初制覇となった。2着は
マジックサンズ、3着は
チェルビアット。1番人気の
アドマイヤズームは落鉄の影響もあり、14着と大敗。3連単は150万5950円の大波乱となった。
◇
混迷のマイル戦線を一刀両断した。9番人気の
パンジャタワーが外からライバルを抜き去ってGⅠ初制覇。3歳マイル王の座に就いた。
「本当に強い競馬をしてくれました。外から差し切ってくれて、強かったなと改めて思いました」
2021年
チャンピオンズC(
テーオーケインズ)以来、約3年5カ月ぶりのJRA・GⅠに、松山騎手は拳を何度も空に突き上げて喜んだ。
ハイペースを見越したわけではないが、外の中団やや後方、いつもより1~2列後ろのポジションを進んだ。距離を意識して、馬のリズムを優先。それが見事にはまった。抜群の手応えで直線に向き、半ばで先頭に躍り出た。最後は「少し抜け出すのが早くて内から詰められ、どっちが勝ったのかわからないくらい無我夢中で追っていました」と、鞍上が振り返る大接戦。アタマ差で歓喜のゴールへと飛び込んだ。
橋口調教師は18年に京都で行われたJpnⅠ・
JBCスプリント(
グレイスフルリープ)を制しているが、GⅠはこれが初制覇。「最後は負けたように見えたので…。びっくりしました。本当にうれしいです」と勝利をかみ締めた。
準備は万全だった。
朝日杯FS12着の敗因を距離と判断。マイルを克服するために、中間はそれまでの坂路主体の追い切りからスタミナをつけるためCWコースでの追い切りへ移行。1週前追い切りでは
セイウンハーデスを子供扱い。その僚馬が前日に
エプソムCを優勝したことで自信を深めた。06年に
ロジックで制した橋口弘次郎元調教師との親子調教師制覇には、「勝ったぞ、と伝えます」と、満面の笑み。
今後のローテーションは未定。抜群のスピードと筋肉質の馬体から、いずれはスプリント路線での活躍を見込んでいた陣営だったが、この勝利で方針転換となりそうだ。「マイルGⅠを、しかもこの時計で勝って、距離が…とはもう言えませんね」。どの路線に行こうとも、GⅠホースという金看板を背負った
パンジャタワーなら、また豪快な走りを見せてくれるに違いない。(松永昌也)
■
パンジャタワー 父
タワーオブロンドン、母クラークスデール、母の父
ヴィクトワールピサ。鹿毛の牡3歳。栗東・
橋口慎介厩舎所属。北海道新ひだか町・チャンピオンズファームの生産馬。馬主は㈱Deep Creek。戦績5戦3勝。重賞は2024年GⅡ
京王杯2歳Sに次いで2勝目。獲得賞金1億8567万円。NHKマイルCは
松山弘平騎手、
橋口慎介調教師ともに初勝利。馬名は「冠名+父名の一部」。
★アラカルト
◆
松山弘平騎手 5回目の騎乗で初勝利。JRA・GⅠは21年
チャンピオンズC(
テーオーケインズ)以来で通算6勝目。JRA重賞はサンスポ杯
阪神牝馬S(
サフィラ)以来で今年2勝目、通算50勝目。
◆
橋口慎介調教師 2頭目の出走で初勝利。GⅠ級勝利は京都開催の18年
JBCスプリント(
グレイスフルリープ)があるが、GⅠは初勝利。JRA重賞は10日の
エプソムC(
セイウンハーデス)に続く今年3勝目、通算7勝目。
◆
タワーオブロンドン産駒 産駒初出走で勝利。新種牡馬産駒の優勝は20年の
ラウダシオン(父
リアルインパクト)以来。
◆馬主・(株)Deep Creek 所有馬初出走で勝利。JRA・GⅠは本馬による2戦目の出走で初勝利。JRA重賞は24年
京王杯2歳S以来で、通算2勝目。
◆生産牧場・チャンピオンズファーム 生産馬のべ3頭の出走で初勝利。JRA・GⅠはのべ11頭の出走で初勝利。JRA重賞は
スプリングS(
ピコチャンブラック)以来で今年2勝目、通算5勝目。
◆関西馬の勝利 24年(
ジャンタルマンタル)に続く勝利で、通算成績は関西馬19勝、関東馬11勝。
◆単勝9番人気馬の勝利 23年(
シャンパンカラー)以来で通算4勝目。
◆馬番⑪の勝利 23年(
シャンパンカラー)以来で通算4勝目。馬番⑬と並び最多勝タイ。
★入場&売り上げ
NHKマイルCの入場人員は3万6836人で前年比72・1%。売り上げは185億3343万500円で同102・9%だった。
