サマーマイルシリーズ第3戦・
関屋記念が16日、新潟競馬場で18頭によって争われ、後方2番手を進んだ4番人気の
サトノアーサーがメンバー最速の上がり3ハロン33秒7の末脚で追い込み、2年2カ月ぶり2度目の重賞制覇となった。鞍上の
戸崎圭太騎手(40)=美・田島=は、昨秋の落馬負傷から復帰後初のタイトル獲得で、JRA重賞連続勝利年数を11に伸ばした。2着は逃げた8番人気の
トロワゼトワル。1番人気の
アンドラステは3着だった。
滑走路のように長い新潟の直線で、再び大きく翼を広げた。人馬ともに待望の復活V。検量室前に引き揚げてきた戸崎騎手は、
サトノアーサーの首筋をポンポンとたたき、真夏の熱闘をねぎらった。
「切れる脚を持っているし、直線の長いコースなので馬を信じて乗りました。乗り難しさのある馬なのですが、よく勝ち切ってくれました」
出遅れは誤算だったが、慌てず後方2番手からじっくりと進んだ。直線は鞍上の左ステッキに応えてグングン加速。メンバー最速の上がり3ハロン33秒7の脚で、前を行く16頭をごぼう抜きにした。
戸崎騎手にとっては今年5月の戦列復帰後の重賞初勝利。昨年11月の
JBCレディスクラシックで落馬し、右肘開放骨折の重傷を負った。騎手人生最大のピンチ。それでもファンの応援を思い浮かべて2度の手術の痛みや過酷なリハビリにも耐え抜いた。復帰後、7回目の重賞挑戦で訪れた歓喜の瞬間。一瞬言葉に詰まった後、「もう本当にとてもうれしいです。よく走ってくれたと(馬に)感謝したい」と自身11年連続のJRA重賞Vに笑みを浮かべた。
サトノアーサーにとっては、戸崎騎手とのコンビで制した2018年
エプソムC以来2年2カ月ぶりの勝利。同年暮れに靱帯(じんたい)を痛めて長期休養を余儀なくされた。その後は惜敗が続いていただけに「(脚元に)爆弾を抱えていて腫れものを触るような扱いだったが、よく頑張ってくれた」と池江調教師は激走をたたえた。
この後は一旦、滋賀県のノーザンファームしがらきへ放牧に出される。「ワンターンの1600~1800メートルを使っていくことになると思う」とトレーナーは話しており、秋は
毎日王冠(10月11日、東京、GII、芝1800メートル)や、今年は阪神で行われる
マイルCS(11月22日、GI、芝1600メートル)が目標になりそう。大けがから立ち直った人馬が、今後の競馬シーンをさらに熱く盛り上げる。(漆山貴禎)
■
サトノアーサー 父
ディープインパクト、母キングスローズ、母の父リダウツチョイス。青鹿毛の牡6歳。栗東・
池江泰寿厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(株)サトミホースカンパニー。戦績20戦5勝。獲得賞金2億1837万6000円。重賞は2018年GIII
エプソムCに次いで2勝目。
関屋記念は
池江泰寿調教師が初勝利、
戸崎圭太騎手は16年
ヤングマンパワーに次いで2勝目。馬名は「冠名+人名より」。
★16日新潟11R「
関屋記念」の着順&払戻金はこちら