3場メインのラストを飾ったみちのくも逃げ切りだ。
ラジオNIKKEI賞が5日、福島競馬場で12頭によって争われ、ハンデ53キロの8番人気
バビットが、好ダッシュから先手を奪って5馬身差で圧勝。団野騎手の落馬負傷で急きょ乗り替わった内田騎手を背に、未勝利戦から3連勝で重賞初制覇を果たした。2着は7番人気
パンサラッサ。1番人気
パラスアテナは4着だった。
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夏の福島もド派手な大逃走劇で開幕だ。果敢に先手を奪った8番人気の伏兵
バビットが、直線でさらに後続を引き離して5馬身差V。稍重馬場で前半5ハロン59秒6の平均ペースで引っ張ると、勢いは直線に入って衰えるどころか増すばかり。逃げてラスト3ハロンも最速の35秒8で駆け抜けられては、後続もお手上げだ。
「番手でもいいという話だったけど、いつも前に行っている馬だし、いいスタートだったのだから下げる必要はないな、と。4コーナーでも手応え十分だったけど、まさかこんなにいいパフォーマンスができるとはね」
内田騎手が汗をぬぐいながらパートナーの力強い走りをたたえた。7Rで団野騎手が落馬負傷したため、急きょの代打となったが、さすがは中央&地方通算で4400勝以上をマークする大ベテラン。「任された仕事は精いっぱいやらなきゃいけない。団野騎手が育ててきた馬だし、いい競馬をしてバトンタッチしたかった」と奮い立ち、最高の結果を残した。
2018年の
中山牝馬S(
カワキタエンカ)以来のJRA重賞2勝目となった浜田調教師は、「強かったですね。びっくりです」と衝撃の逃げ切りに驚きの表情。「体重はあまり変わらないけど、中身がついてきたのでしょう」と愛馬の成長にも目を細めた。
昨年の北海道トレーニングセールでわずか500万円(税抜き)で取引された馬が、未勝利戦から3連勝でGIIIもゲット。調教やレースのパドックで馬っけを出す癖はあるが、それでも競馬ではしっかり仕事をまっとうするところが面白い。
「馬っけはいい方に出ているのかな。内田さんには『距離は延びても大丈夫』と言ってもらえました」
この後はひと息入れ、秋は
菊花賞(10月25日、京都、GI、芝3000メートル)を目指す意向をトレーナーは示した。無敗の2冠馬
コントレイルが3冠を狙うクラシック最終戦は、夏のみちのくで名を上げた個性派の参戦でさらに盛り上がりそうだ。(板津雄志)
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バビット 父
ナカヤマフェスタ、母アートリョウコ、母の父
タイキシャトル。栗毛の牡3歳。栗東・
浜田多実雄厩舎所属。北海道浦河町・大北牧場の生産馬。馬主は宮田直也氏。戦績5戦3勝。獲得賞金5878万4000円。重賞は初勝利。
ラジオNIKKEI賞は
浜田多実雄調教師が初勝利、
内田博幸騎手は2008年レオマイスターに次いで2勝目。馬名は「人名より。合金名」。
★5日福島11R「
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