きいいろ
山口吉野
くりーく
3番人気のジュンライトボルトが、中団から差し切りJRA・GⅠ初制覇。デビュー9年目の石川裕紀人騎手(27)=美・相沢=にとっても、JRA・GⅠ19回目の参戦で初Vとなった。2着は4番人気のクラウンプライド、3着は6番人気のハピが入り、単勝1・5倍と断然人気のテーオーケインズは4着に終わった。◇寒風吹きすさぶ中京で、砂のニューヒーローが誕生した。王者テーオーケインズを破り、ジャイアントキリングを成し遂げたのはジュンライトボルトだ。稲妻のような末脚で突き抜けJRA・GⅠ初制覇。同じくGⅠ初勝利を挙げた石川騎手はウイナーズサークルで何度も拳をにぎり、お立ち台に上がると喜びを爆発させた。「今はやりの言葉ですが…ブラボー!! うれしい以外の言葉が見つかりません。スタートの前に馬の状態はすごく良く感じましたので、自信をもって乗りました。馬に感謝を伝えたいです」好スタートを決めて、中団でうまく流れに乗った。だが、最後の直線は前が壁、外からも包まれ、進路が見当たらない…。それでも、27歳のジョッキーは冷静だった。「馬の瞬発力を信じていました」。ラスト1ハロン手前で、僅かに外にあいたスペースを見つけて、スパートを開始。メンバー最速となる上がり3ハロン36秒2の末脚で、先に抜け出したクラウンプライドをクビ差で差し切った。デビュー9年目の石川騎手は、19回目のJRA・GⅠ挑戦で初制覇。今年7月のジュライSからダートに矛先を向けたパートナーとコンビを組み、チャンピオンズCへの出走が決まると、毎日、レース展開をシミュレーション。「今までで一番のチャンス」と闘志を燃やしていた。「レースが近づくにつれて緊張もしましたが、萎縮するのではなく、胸の高鳴りというか、やる気につなげて頑張ることができました。憧れた景色を見ることができました。夢のような景色でした」と笑みを浮かべた。JRA・GⅠ17勝目となった友道調教師だが、ダートは初勝利。「ダートではチャンスがあまりなかったのでね。装鞍所で石川君に『気分良く乗ってきてくれ』と伝えて、彼がよく考えて乗ってくれたと思います」と鞍上を褒めたたえた。今後は、来年のフェブラリーSやドバイ国際競走が目標となる見込み。トレーナーは「ダートを使い出して、馬体の幅が出てきて、首の周りの筋肉に迫力が出てきた。来年も期待しています」と力強く結んだ。コンビで4戦3勝2着1回の石川騎手とジュンライトボルト。好相性の人馬は、さらなる高みを目指していく。(増本隆一朗)◇◆石川騎手の師匠の相沢郁調教師 「ついにGⅠを勝てて良かったです。これからも精進して信頼されるジョッキーになってください!」◇ジュンライトボルト 父キングカメハメハ、母スペシャルグルーヴ、母の父スペシャルウィーク。鹿毛の牡5歳。栗東・友道康夫厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は河合純二氏。戦績25戦7勝。獲得賞金2億7772万3000円。重賞は2022年GⅢシリウスSに次いで2勝目。チャンピオンズカップは、友道康夫調教師、石川裕紀人騎手ともに初勝利。馬名は「冠名+稲妻+落雷」。◇石川 裕紀人(いしかわ・ゆきと) 1995(平成7)年9月22日生まれ、27歳。東京都出身。美浦・相沢厩舎所属。デビューした2014年に12勝を挙げ、民放競馬記者クラブ賞を受賞。17年のラジオNIKKEI賞(セダブリランテス)で重賞初勝利。4日現在、JRA通算242勝で重賞は7勝。今年は34勝で関東リーディング12位。◇★アラカルト★◆芝レース経験馬のV 名称がチャンピオンズCになった2014年以降では初。◆ダートキャリア4戦以内のV クロフネ(2戦目)以来、歴代2位の少キャリア。◆キングカメハメハ産駒 20年チュウワウィザード以来、2年ぶり4勝目で、レース史上最多。JRA・GⅠは今年の秋華賞(スタニングローズ)に続く25勝目。◆ノーザンファーム 20年チュウワウィザード以来、2年ぶり8勝目。JRA・GⅠは今年のエリザベス女王杯(ジェラルディーナ)に続く182勝目(障害を除く)。◆シリウスS勝ち馬の同年V 12頭が出走して初。◆関東馬不在 14年に次ぐ2度目。◇◆入場・売り上げチャンピオンズCの売り上げは158億3672万1600円で、前年比94・7%とダウン。入場者数は1万4130人(うち有料入場1万3565人)で同419・5%だった。