ジャンヌ
導師嵐山
岡村信将
暴君アッキー
村吉
桜花賞トライアルのフィリーズレビュー(芝1400メートル)が10日、阪神競馬場で18頭によって行われ、坂井騎乗で12番人気のノーワンと秋山騎乗で3番人気のプールヴィルが1着同着で、桜花賞(4月7日、阪神、GI、芝1600メートル)の切符をつかみ取った。坂井騎手はJRA重賞初制覇。JRA重賞の1着同着は2010年のオークス(アパパネ、サンテミリオン)以来9年ぶり6回目。3着のジュランビルまでが桜花賞の優先出走権を獲得した。 桜の切符をかけた、意地と意地のぶつかりあい。雨のなか、2頭が鼻面をそろえてゴール板を駆け抜けた。検量室前でノーワンが1着、プールヴィルは2着のゾーンに入ったが、約10分間の長い写真判定の末、ともったランプは『同着』。JRA重賞では2010年のオークス以来となる珍事。どよめきのなか、ノーワンとともに重賞初制覇を達成した4年目の坂井騎手が声を弾ませた。 「本当に際どくて分かりませんでしたが、同着でも勝つことができてよかったです。(重賞初制覇は)まずは師匠の矢作先生に伝えたいです」 スタートで後手に回ったが、二の脚をきかせて中団のインをキープ。直線は内から2頭目の狭い馬群をこじあけ、懸命にムチを振り下ろして勝利をもぎ取った。一昨年の11月から約1年間にわたるオーストラリア、米国での武者修行の成果を最高の結果で示した。 一方、一度は敗れたと思って引きあげかけたプールヴィルは、同着と分かるや表彰式へ。慌てて勝負服を着直した23年目のベテラン・秋山騎手もニッコリだ。 「負けていたと思っていたので、勝ててよかった。正直、ここ2戦は自分でも悔しい思いをしていたので、何とか勝ちたかった」。好位直後のインで脚をため、直線は馬場のいい外めへ。しぶとく脚を伸ばして同着に持ち込み、阪神JF5着の力を誇示した。庄野調教師も「秋山らしい、この馬らしい競馬だった」と人馬をたたえた。 今後は、ともに桜花賞を見据える。ノーワンの坂井騎手が「折り合いに問題のない馬だし、距離も問題ない」と言えば、プールヴィルの秋山騎手は「阪神JFもいいところがあったし、もちろんチャンスのある1頭」と力を込めた。ド根性娘たちが、桜の舞台でも輝きを放ちそうだ。(斉藤弘樹)★10日阪神11R「フィリーズレビュー」の着順&払戻金はこちら坂井 瑠星(さかい・りゅうせい) 1997(平成9)年5月31日生まれ、21歳。東京都出身。父は大井競馬の坂井英光騎手。2016年、栗東・矢作芳人厩舎所属でデビュー。同期は藤田菜七子騎手ら。今年7勝で、JRA通算1264戦78勝(10日現在)。重賞1勝。ノーワン 父ハーツクライ、母プレイガール、母の父カーリアン。鹿毛の牝3歳。栗東・笹田和秀厩舎所属。北海道新ひだか町・飛野牧場の生産馬。馬主は藤田好紀氏。6戦2勝。獲得賞金4750万5000円。重賞は初勝利。フィリーズレビューは笹田和秀調教師、坂井瑠星騎手ともに初勝利。馬名は「曲名より。チャンピオンになって欲しい願いを込めて」。プールヴィル 父ルアーヴル、母ケンホープ、母の父ケンダルジャン。鹿毛の牝3歳。栗東・庄野靖志厩舎所属。北海道千歳市・社台ファームの生産馬。馬主は吉田照哉氏。6戦3勝。獲得賞金6826万3000円。重賞は初勝利。フィリーズレビューは庄野靖志調教師、秋山真一郎騎手ともに初勝利。馬名は「絵画名より。フランスにある海辺の避暑地」。