第69回
桜花賞(12日、阪神10R、GI、3歳牝馬オープン、定量、芝・外1600メートル、1着本賞金8900円、1~4着馬に
オークス(5月24日、東京、GI、芝2400メートル)の優先出走権=出走18頭)飛んだ! 差した!! 圧巻Vだ。単勝120円の断然人気に支持された
ブエナビスタが、大外から直線で豪快に差し切り、牝馬クラシック第1冠を獲得した。上がり3ハロン33秒3はメンバー最速。1分34秒0(良)。
安藤勝己騎手(49)はクラシック最年長勝利記録を更新した。“女ディープ”の称号さえある桜の女王は、
オークスで2冠達成を狙う。
桜吹雪の舞う阪神競馬場で、大外のヴィクトリーロードを一直線に駆け抜けた。単勝オッズ1.2倍。圧倒的な1番人気に推された
ブエナビスタが、メンバー最速の上がり33秒3で鮮やかな差し切り勝ち。05年の無敗3冠馬
ディープインパクトの第1冠・
皐月賞の130円を超える支持率を集めた牝馬は、4連勝で桜の女王を射止めた。
「それなりにプレッシャーはあったのでホッとしています」。主戦の
安藤勝己騎手は笑みを浮かべた。49歳の誕生日だった3月28日、ドバイで騎乗停止処分を受けた。中央競馬で処分が適用された前週は九州の温泉地を回ってリラックスし、大事な一戦に臨んだ。クラシック最年長勝利の更新は、愛馬を信頼しきった度胸満点の騎乗で引き寄せた。
「スタートが良かったらある程度、前の位置で開くところを狙おうか、とも思ったけれど、外がいい馬場だし、後ろから外を回った方が安全」
五分のスタートから前半400メートル地点では後方から2番目。大一番でもいつも通りに構えた。3~4コーナーで前を行く
レッドディザイアと
ジェルミナルを目標に徐々に進出。残り300メートルで大外に持ち出してから加速し、ラスト50メートルで先に抜けたレッドを捕らえた。
「どれくらいの脚を使うかは分かっていたし、直線でも確実に脚を使っている動きだった」とアンカツが納得のレースを振り返る。
松田博資調教師も「実力通りに来たんじゃないですか」と余裕たっぷりだ。
阪神競馬場の厩舎は馬運車が一番多く通る場所で、少しナーバスになったが、パドックから本馬場入場と落ち着きを取り戻していた。不利な状況をすぐに克服できることが、名牝の証だ。
今後は「獲れるところをキッチリと獲って、それから考えたい」と松田博師は
オークス(5月24日、東京、GI、芝2400メートル)直行を明言。「千六は本質的に短い」と話していたアンカツも「折り合いに心配がなく、精神的にしっかりしているので、場所が変わっても大丈夫」と、早くも2冠“当確”ムードが漂う。
当面の目標は「とりあえず
オークスで負けないこと。この年になると獲ってないGIを獲りたい」とアンカツ。“牝馬のディープ”は、負けることは許されない大スターの領域に入った。(下村静史)