ダミアン・レーン(31)=オーストラリア=騎乗で1番人気の
ヘデントールが、ゴール前で猛追してきた6番人気
ビザンチンドリームとの叩き合いを制し、GⅠ初制覇を飾った。
ダイヤモンドSに続く重賞連勝で初タイトルを獲得し、古馬戦線の主役候補に名乗りを上げた。3着は早め先頭から粘り込みを図った4番人気の
ショウナンラプンタ。
ゴールデンウイーク真っただ中。4万7329人の大歓声を背に、熱い叩き合いを制した。
ヘデントールが1番人気に応えてGⅠ初制覇。3日から短期免許で騎乗しているレーン騎手は早速、大仕事を一つこなして笑みをこぼした。
「道中はスムーズで、直線も手応え十分でした。外から
ビザンチンドリームが来ていましたが、しっかりファイトしてくれました」
課題のスタートを決めると、序盤は中団で前に馬を置いて待機。2周目の3コーナーでライバルとともに外を通って進出開始。4コーナーでは先に抜け出した
ショウナンラプンタの外から鋭く伸び、さらに外から追い込んできたビザンチンと激しい競り合いに。グイッとアタマ差抜け出したところがゴールだった。
見守った木村調教師は「ホッとしています。トップオブトップのGⅠで(1番人気に支持されて)責任の大きさをかみしめていました」と胸をなで下ろした。
キャロットファームの馬でレーン騎手といえば、4月27日に香港GⅠ
クイーンエリザベスⅡCを制した
タスティエーラと同じ。そのレースで3冠牝馬
リバティアイランドが予後不良となったことが頭をよぎったのか、指揮官は自ら「先週の香港では苦しい出来事もありました。当事者の皆さまの複雑な思いは推し量れません」と切り出すと「それでも今週も競馬が開催され、仕事に打ち込むしかない状況でした。自分が果たすべき役割は、果たせました」と目を伏せた。全ての馬と騎手が無事に帰ってくること。そのありがたさを、改めてかみしめた。
今後の選択肢の一つとして、すでに
凱旋門賞(10月5日、仏パリロンシャン、GⅠ、芝2400メートル)に登録済み。師は現段階で出否の明言は避けたが「向かうのであれば、個人的には大きなエネルギーを割かざるを得ない気持ちがあります」と含みを持たせた。
長距離界に現れた伸びしろ十分の4歳馬。初のビッグタイトルを手に、さらなる高みを目指す。(北池良輔)
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ヘデントール 父
ルーラーシップ、母コルコバード、母の父
ステイゴールド。黒鹿毛の牡4歳。美浦・
木村哲也厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は㈲キャロットファーム。戦績9戦6勝。重賞は2025年GⅢ
ダイヤモンドSに次いで2勝目。獲得賞金4億8610万1000円。天皇賞・春はダミアン・レーン騎手、
木村哲也調教師ともに初勝利。馬名は「救世主(ポルトガル語)。コルコバードの丘のキリスト像より」。
★アラカルト
◆レーン騎手 2回目の騎乗で初勝利。前回は23年
シルヴァーソニックで3着。JRA・GⅠは23年の
日本ダービー(
タスティエーラ)以来で通算6勝目。JRA重賞は昨年の
キーンランドC(
サトノレーヴ)以来で通算16勝目。これで22年から4年連続でJRA重賞制覇となった。
◆木村調教師 管理馬3頭目の出走で初勝利。これまでは21年
オーソリティの10着が最高。
天皇賞・秋は22、23年に
イクイノックスで制している。JRA・GⅠは今年の
フェブラリーS(
コスタノヴァ)に続き今年2勝目、通算13勝目。JRA重賞も今年の
フェブラリーS以来で今年4勝目、通算35勝目。
◆
ルーラーシップ産駒 4頭目の出走で初V。これまでは20年
キセキの6着が最高。JRA・GⅠは24年
マイルCS(
ソウルラッシュ)以来で通算4勝目。JRA重賞は今年の
ダイヤモンドS(
ヘデントール)に続き今年3勝目、通算38勝目。
◆キャロットファーム 所有馬のべ7頭目の出走で初勝利。これまでは16年
ファタモルガーナ、24年
タスティエーラの7着が最高。JRA・GⅠは23年
マイルCS(
ナミュール)以来で通算35勝目。JRA重賞は3日の
ユニコーンS(
カナルビーグル)に続き今年5勝目、通算154勝目。
◆8大競走制覇 8大競走を完全制覇した馬主は(有)サンデーレーシング、金子真人ホールディングス(株)(※金子真人名義を含む)に続く3例目。
◆ノーザンファーム 23年
ジャスティンパレス以来で2年ぶり8勝目。JRA・GⅠは今年の
皐月賞(
ミュージアムマイル)に続き今年4勝目、通算217勝目(他にJ・GⅠ3勝)。JRA重賞は3日の
ユニコーンS(
カナルビーグル)に続き今年24勝目、通算882勝目。
◆4歳馬 23年
ジャスティンパレス以来、2年ぶり52回目。これで世代別の勝利は4歳馬52勝、5歳馬26勝、6歳馬8勝。
◆関東馬 22年
タイトルホルダー以来、3年ぶり48回目。通算では関東馬48勝、関西馬38勝。
◆単勝1番人気 昨年の
テーオーロイヤルに続き2年連続で通算41回目。
◆⑥番 13年
フェノーメノ以来、12年ぶり7回目。
★入場&売り上げ
天皇賞・春の入場者数は4万7329人で前年比78・3%、売り上げは220億5625万8100円で同105・4%だった。