現役屈指の個性派逃げ馬
メイショウタバルに、昨年のクラシック路線で見せ場を作った
サンライズアースと
ショウナンラプンタ。
未完の大器
ロードデルレイに堅実無比な上がり馬
ホールネスと
ヴェローチェエラなどなど……各路線から集結した面々の顔ぶれに、頭を抱えた方も多いだろう。各馬の出方や展開、結果に至るまで、今年の
日経新春杯は非常に”読みづらい”レースであったと思う。
レースの鍵を握っていたのは、間違いなく
メイショウタバルだ。
高い能力と旺盛過ぎる前進気勢を併せ持つこの馬がどう出るかで、展開は大きく変わると思えた。
ゲートが開くと、やはり
メイショウタバルは前に行った。
しかし、見た目にもゆったりと走っていた
神戸新聞杯と比べると、明らかに最初からスイッチが入っている。
完全に”やる気”になった彼が刻んだのは、1000m通過が57秒7、1600m通過が1分32秒4という、
スプリンターやマイラーもびっくりな猛ペース。さすがにこのペースではタフな中京2200mを乗り切れるはずがなく、離れて追いかけていた
サンライズアースや
ケイアイサンデラ、
バトルボーンらも直線を迎える頃にはかなり厳しい手応えだった。
そんな先行勢の間にポッカリと大きく開いた
ヴィクトリーロードを突き抜けてきたのが
ロードデルレイ。
道中は中団の内目でじっくりと構え、速い流れも手伝って折り合いはスムーズ。溜めに溜めた力を一気に開放して
メイショウタバルを捉え、後続もろとも一気に突き放していく。
最後は外から
ショウナンラプンタと
ヴェローチェエラ、内から
マイネルエンペラーが迫ってはきたが、時すでに遅し。2着との差は3馬身。ハンデ戦としては珍しい大差を付けての圧勝劇だった。
3歳1月のデビューから、その高い素質を評価されていた
ロードデルレイ。
なかなか順調に使っていくことができず、昨年も
鳴尾記念の出走取消から休養中に夏負けを発症。その影響か復帰後の2戦では陣営から絶望的なコメントも出ていたくらい状態が悪く、それがレースに行ってのテンションの高さに繋がっていた。
今回も大きく雰囲気が変わっている様子はなかったが、それでも状態は確実に上向いていたのだろう。道中の進路取り、折り合い、最後の脚、どれを取っても前走以上で、ようやく良さを出せたという印象が強い。
あとは今回掴んだいい流れをどこまで保っていけるか。元々G1でもと思えるポテンシャルを垣間見せていた馬なだけに、どうにか無事に春のG1戦線へ臨んで欲しいものだ。
2着の
ショウナンラプンタは、枠なりに外々を回る格好。特に3~4コーナーの押し上げによる負荷は高く映っただけに、2着確保したことをまず評価すべきだろう。
レースに行っての挙動や折り合いもこの馬としては落ち着いたもので、しっかりとレースに参加できるようになっているのは大きい。
距離に関してはどこがベストなのかというのが判断しにくいタイプだが、能力面に関してははっきりと重賞制覇が視野に入るレベルと見ていい。
3着の
マイネルエンペラーは内枠を利して全くロスのない競馬。
典型的な”切れないがバテない”という馬で、近い位置にいた好位勢が失速する中でも最後まで脚を伸ばし続けた。
兄姉に
マイネルファンロンや
ユーバーレーベンがおり、タフな舞台や馬場、展開は大好物と言える血統馬。同様の適性が活きそうなレースでは、今後も要警戒な存在と言える。
4着の
ヴェローチェエラは
ショウナンラプンタ同様、外枠だった分のロスが多少あったように思われる。
それでも圏内に届きそうなところまでは伸びていたので、この馬もまだまだ伸びしろがありそうだ。陣営の期待は大きいが、まだ完成に至っているというトーンは感じられないので、この1年でどれだけパフォーマンスを伸ばしてくるか注目しておきたいところ。
敗れた馬を見ていくと、
メイショウタバルはその気性面が今後も大きな課題となりそう。
調教時計の出方や今回のペースの刻み方からも、フィジカルの面では相当な大器である可能性が高いのだが、今回のようなレースぶりではさすがに厳しい。
スプリント路線やマイル路線でも通用しそうなラップを刻んでいる=距離を縮めれば好結果に繋がる、という単純な問題ではないように思えるし、今後の育成や進路選択を考える上で大きな岐路となったのは間違いないだろう。
どの条件でどんなレースをするか、今後も出走するたびに議論を巻き起こす存在になりそうだ。
ダービー以来だった
サンライズアースは序盤から積極的な競馬を展開するも、結果的に厳しいペースの中を先行するかたちとなり大きく失速。ほろ苦い復帰戦となってしまった。元々大型馬で休み明けの仕上げが難しそうなタイプでもあるし、最初から積極的に運ぶという戦法も合わないのかもしれない。
仕上がりが進んでじっくり運ぶかたちなら変わる余地はありそうだし、血統や馬格からダートを試してみるのも面白いかもしれない。選択肢は幅広くありそうな存在なので、どこに真の適性があるかじっくりと見極めたいところだ。